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2024年10月からの社会保険適用拡大に関するQ&Aが公開されました 2024年 3月 21日

所定労働時間または所定労働日数が通常の労働者(正社員)の4分の3に満たない短時間労働者でも、①1週の所定労働時間が20時間以上であること、②所定内賃金が月額8.8万円以上であること、③学生でないこと、④特定適用事業所に使用されていること、という要件を満たせば、健康保険と厚生年金保険の被保険者になります。


今年の10月から、④の特定適用事業所の企業規模要件が、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超える企業から常時50人を超える企業に拡大されるため、厚生労働省によるQ&Aが公開されました。関係のある方は、下記をご確認ください。


◆問9 「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、どのような状態を指すのか。どの時点で常時50人を超えると判断することになるのか。

(答)「被保険者の総数が常時50人を超える」とは、①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。


◆問10 特定適用事業所に該当した適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。

(答)特定適用事業所に該当した場合は、①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所を代表する本店又は主たる事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。②個人事業所の場合は、各適用事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります。)。


【厚生労働省「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分)」】

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240124T0010.pdf


4月より労災保険率の改定が予定されています! 2024年 2月 8日

厚生労働大臣は昨年12月22日に、労働政策審議会に対して「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行いました。事業主が支払う労災保険料算出に用いる労災保険率の改定などを主な内容とするものです。12月26日、同審議会からいずれも妥当であるとの答申があったことから、同省は令和6年4月1日の施行に向け、速やかに省令の改正作業を進めるとしています。


◆労災保険率とは?

労災保険率とは、労災保険料の計算に用いられる料率のことです。労災保険率は業種によって異なり(全部で54の事業)、それぞれの業種の過去3年間の災害発生状況などを考慮し、原則3年ごとに改定されています。建設事業などの危険な業種ほど高く、労災事故が起こりにくい業種ほど低く設定されています。


◆労災保険率を業種平均で0.1/1000引下げへ

労災保険率の業種平均は現在4.5/1000ですが、業種平均で0.1/1000引き下げられる予定です(4.4/1000へ)。

・引下げ→「林業、定置網漁業又は海面魚類養殖業」「採石業」「めつき業」「金属材料品製造業」などの17業種

・引上げ→「パルプ又は紙製造業」「電気機械器具製造業」「ビルメンテナンス業」の3業種

・変化なし→34業種


◆一人親方などの特別加入に係る第2種特別加入保険料率を改定へ

全25区分中、5区分で引下げとなる予定です。

・引下げ→「個人タクシー、個人貨物運送業者、原動機付自転車又は自転車を使用して行う貨物の運送の事業」「建設業の一人親方」「医薬品の配置販売業者」「金属等の加工、洋食器加工作業」「履物等の加工の作業」の5区分

・引上げ→なし


◆請負による建設の事業に係る労務費率(請負金額に対する賃金総額の割合)を改定へ

「鉄道又は軌道新設事業」「その他の建設事業」の労務費率を引き下げる予定です。


令和5年改正労基則等に係る裁量労働制に関するQ&A(追補版)が作成されました 2024年 1月 15日

厚生労働省は、今年8月に作成した裁量労働制に関するQ&Aについて、追補版を作成しました。追加された内容からいくつか抜粋して紹介します。


◆労働者の自己申告による労働時間の状況の把握は可能

専門型・企画型において、労働時間の状況の把握方法は「タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切なもの」であることが必要とされています。そのため、労働者の自己申告による把握は原則認められません。ただし、ここでいう「労働時間の状況」の概念およびその把握方法は、安衛法66条の8の3と同一のものであるため、やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合においては認められます。


◆事前に協定または決議し、制度を適用しない期間後に再適用することは可能

専門型・企画型において、健康・福祉確保措置として、把握した労働時間が一定時間を超えない範囲内とすること、および当該時間を超えたときはみなしの効果が生じないこととする措置を定めた場合に、一定期間の適用をしないこととしたうえで、同期間経過後に再度制度を適用することをあらかじめ協定または決議し、実施することは可能です。

ただし、適用しない期間は事前に労使協定の当事者となる労働者の過半数で組織する労働組合等または労使委員会と協議のうえで決定しておくことが必要です。また、再度適用するにあたっては、適用解除後の労働者の勤務状況(労働時間の状況を含みます)や健康状態等を踏まえて、使用者が個別具体的に再適用の可否を判断することに留意する必要があります。また、いったんは適用が解除された以上、改めて労働者の同意が必要です。


◆評価制度および賃金制度の運用状況の説明は、概要資料等の開示を想定

専門型・企画型において、裁量労働制の適用対象である「労働者に適用される評価制度およびこれに対応する賃金制度の運用状況(労働者への賃金・手当の支給状況や評価結果等をいう。)」の開示方法は、実際に支給されている平均賃金を示した資料を開示することや、賃金水準や制度適用に係る特別手当の実際の支給状況や評価結果等について、その分布をまとめた概要資料などを開示することが考えられます。特に適用対象である労働者が1名の場合は、賃金額等について一定の幅を持たせて開示すること、当該労働者の値が非適用労働者と比べてどの程度多いかもしくは少ないかという相対値を示すことなどが考えられますが、労使で協議のうえ、個人が特定できないようプライバシーの保護に十分留意が必要です。


【厚生労働省「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A」】

https://www.mhlw.go.jp/content/001164350.pdf


今年度の被扶養者資格再確認における「年収(130万円)の壁」対応 2023年 12月 10日

◆「被扶養者資格再確認」とは?

健康保険の被扶養者は、法令で毎年一定の期日を定め確認することとされています。協会けんぽ加入事業者には、令和5年度分の書類が、令和5年10月下旬から11月上旬にかけて順次発送されます。


◆提出期限までに事業者がすべきことは?

提出期限は、令和5年12月8日(金)です。期限までに、自社の被保険者に対して、令和5年9月16日現在の被扶養者(4月1日時点で18歳未満の方、4月1日以降に被扶養者になった方、任意継続被保険者の被扶養者は対象外)について、文書等により被扶養者の要件を満たしているかを確認し、被扶養者状況リストに結果を記入します。

別居している被扶養者、海外に在住している被扶養者については厳格な方法による再確認が必要となるため、協会けんぽから送られてくる被扶養者状況リストに同封の被扶養者現況申立書を記入し、確認書類とともに提出します。


◆「年収(130万円)の壁」対応の内容は?

政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、年収が130万円以上であっても人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入増加である場合、その旨の事業主証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする方針が示されました。

そのため、上記に該当することが確認できた場合は、被扶養者状況リストの「変更なし」にチェックをしたうえで、「一時的な収入変動」に係る事業主証明と併せて提出します。所得証明書等を提出する必要はありません。

なお、収入増加の理由が人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入増加でない場合は、事業主証明の提出は不要です。


【全国健康保険協会「事業主・加入者のみなさまへ「令和5年度被扶養者資格再確認の実施方法等について」(令和5年11月9日更新)」】

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat590/info231023/


「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正されました 2023年 10月 5日

◆改正の背景

「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正され、令和5年9月1日に通知されました。精神障害・自殺事案については、これまで平成23年策定の「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災認定が行われていました。「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」(厚生労働省)は、社会情勢の変化等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて検討を行い、今年7月にその報告書が取りまとめられたことを受け、今回の改正となりました。


◆改正のポイント

認定基準改正のポイントとなるのは次の3点です。

① 業務による心理的負荷評価表(※)の見直し

・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加

・具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加

・心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)

 ※実際に発生した業務による出来事を、同表に示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価

② 精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し

・悪化前おおむね6カ月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める

③ 医学意見の収集方法を効率化

・専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更


労災事案を防ぐためにも、従業員の心理的負荷の軽減について検討していきましょう。


【厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html


令和5年度最低賃金額 全国平均で初の1,000円超え 2023年 9月 11日

◆目安はAランク41円、Bランク40円、Cランク39円

7月28日、中央最低賃金審議会で令和5年度の地域別最低賃金額改定の目安の答申が取りまとめられ、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円に決定しました。引上げ額はこれまでで最も大きく、全国平均で時給1,002円と、初めて1,000円を超えました。

これを受けて全国の地方最低賃金審議会で議論が始まり、8月7日には東京都では41円引き上げて1,113円、また秋田県では過去最高の上げ幅となる44円引き上げて897円とするよう答申した、と報じられています。


◆引上げ額の目安が4.3%を基準として検討された理由

政府の方針や賃金、通常の事業の賃金支払能力、労働者の生計費を総合的に勘案して4.3%が基準とされましたが、目安の議論を行ってきた公益委員見解では、消費者物価の上昇が続いていることや、昨年 10 月から今年6月までの消費者物価指数の対前年同期比は 4.3%と、昨年度の全国加重平均の最低賃金の引上げ率(3.3%)を上回る高い伸び率であったこともあり、特に労働者の生計費を重視した目安額としたとされています。また、この目安額が中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものであると言わざるを得ない、ともしています。


◆厚生労働大臣が中小企業・小規模事業者に対する支援策に言及

中央最低賃金審議会の答申において要望のあった、業務改善助成金の対象事業場拡大等について、加藤厚生労働大臣は8月8日の記者会見において、できるだけ早期に行うよう検討を進め、検討内容を踏まえて後日発表したいと表明しています。


【厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34458.html


永年勤続表彰金の社会保険、労働保険および課税上の取扱い 2023年 8月 1日

◆社会保険上の取扱い

今年6月27日に、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に以下の問答が追加されました。

問: 事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。

答: 永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。

ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。

【永年勤続表彰金における判断要件】

① 表彰の目的

企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。

② 表彰の基準

勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。

③ 支給の形態

社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。


◆労働保険上の取扱い

行政手引50502によると、「勤続年数に応じて支給される勤続褒賞金は、一般的には、賃金とは認められない。」とされています。


◆課税上の取扱い

国税庁のタックスアンサーNo.2591によると、創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念品などは、一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

ただし、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。


【厚生労働省「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について」(令和5年6月27日事務連絡)】

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230629T0010.pdf


令和6年4月から労働条件明示ルールが改正されます 2023年 6月 14日

◆労働条件明示事項が追加に

労働基準法施行規則等の改正により、令和6年4月から労働条件明示のルールが変わります。具体的には、労働契約の締結・更新のタイミングの労働条件明示事項が追加されます。明示が必要なタイミングごとに、新しく追加される明示事項を見てみましょう。

1 すべての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時

 →明示事項①:就業場所・業務の変更の範囲

2 有期労働契約の締結時と更新時

 →明示事項②:更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容

※あわせて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要になります。

3 無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時

 →明示事項③:無期転換申込機会、明示事項④:無期転換後の労働条件

※あわせて、無期転換後の労働条件を決定するにあたって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないこととなります。


◆労働条件通知書を見直しましょう

上記1については、すべての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、これらの「変更の範囲」についても明示が必要になります。改正に適応した労働条件通知書となるよう、書式を見直しましょう。また、有期契約労働者については、上記2・3に基づき、会社の方針を踏まえしっかりと説明する必要があることに注意しましょう。労働条件通知書の見直しについては、弊所へご相談ください。


【厚生労働省「労働条件明示改正リーフレット」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001080267.pdf


新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応 2023年 5月 13日

◆5類移行に伴う新型コロナに対する考え方は?

5月8日から、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけを「5類感染症」に引き下げ、マスクの着用や外出自粛の要請は季節性インフルエンザと同様に、企業や個人に委ねられることになりました。

そのうえで、厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染した場合、これまでの分析結果や諸外国の事例を踏まえ、以下を推奨しています。

○発症後5日を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控える

○発症後10日間が経過するまでは、マスクを着用し高齢者等との接触は控える

また、濃厚接触者として保健所から特定されることはなくなり、外出自粛を要請されることはなくなりました。

家族や同居者が新型コロナウイルスに感染した場合は、可能であれば部屋を分け、感染者の世話はできるだけ限られた人のみで行うことなどに注意する必要があります。また、感染者の発症日を0日として、特に5日間は自身の体調に注意し、7日目までは発症する可能性があるため、マスク着用等の感染対策や周囲への配慮が必要です。


◆医療提供体制について

これまでは新型コロナウイルスに感染した場合、限られた医療機関でのみ受診可能でしたが、5月8日以降は、幅広い医療機関での受診が可能になります。また、PCR検査や入院・外来の医療費については、季節性インフルエンザなどと同様に健康保険が適用され、1割から3割の自己負担が基本となります。

 また、新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金については、これまでは療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明の添付が不要でしたが、5月8日以降の申請については、医師の証明が必要となりますので注意が必要です。


【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html


【全国健康保険協会「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の申請について」】

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat550/covid_19/shinsei/


令和5年度 労働保険の年度更新の注意点 ~例年の算定方法と異なります 2023年 4月 10日

◆労働保険の年度更新とは

労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっています。

労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算することになっているため、事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これが「年度更新」の手続きです。

この手続きは、毎年6月1日~7月10日に行わなければなりません


◆令和5年度の注意点

令和4年度の雇用保険率が年度の途中で変更になったため、令和4年度確定保険料の算定において、一元適用事業および二元適用事業(雇用保険)の場合は、保険料算定基礎額と保険料額を労災保険分と雇用保険分ごとに、前期(令和4年4月1日~同年9月30日)と後期(令和4年10月1日~令和5年3月31日)に分けて算出する必要があります。

これに伴い、令和5年度の年度更新について、年度更新申告書と確定保険料一般拠出金算定基礎賃金集計表の様式が変更されているので、注意が必要です。

なお、二元適用事業(労災保険)の場合は、令和4年度の確定保険料の算定方法は例年と変更ありません。

また、一般拠出金および特別加入保険料の算定方法についても例年と変更ありません。


【厚生労働省「労働保険年度更新に係るお知らせ」】

https://onl.sc/2Uu544X


リーフレット「賃金のデジタル払いが可能になります!」が公表されました 2023年 3月 2日

令和5年4月1日から、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払いが認められることになりました。導入の際は以下の点に留意しましょう。


◆今後の流れ

① 2023年4月~……資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚生労働省で審査(数か月かかる見込み)

② 大臣指定後……各事業場で労使協定を締結

③ 労使協定締結後……個々の労働者に説明し、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払い開始


◆事前の協定締結が必須です

賃金のデジタル払いを事業所に導入するには、まずは、雇用主と労働者で労使協定の締結が必要です。その上で、雇用主は以下の事項を労働者に説明し、労働者の項別の同意を得る必要があります。

・受け取り額は適切に設定を

指定資金移動業者口座は、「預金」をするためではなく、支払いや送金に用いるためのものであることを理解の上、支払いなどに使う見込みの額を受け取るようにしてください。また、受け取り額は、1日当たりの払出上限額以下の額とする必要があります。

・口座の上限額は100万円

口座の上限額は100万円以下に設定されています。上限額を超えた場合は、あらかじめ労働者が指定した銀行口座などに自動的に出金されます。この際の手数料は労働者の負担となる可能性がありますので、指定資金移動業者にご確認ください。

・口座残高の現金化も可能(月1回は口座からの払い出し手数料なし)

ATMや銀行口座などへの出金により、口座残高を現金化(払出し)することもできます。少なくとも毎月1回は労働者の手数料負担なく指定資金移動業者口座から払い出しができます。払出方法や手数料は指定資金移動業者により異なります。

・口座残高の払戻し期限は少なくとも10年間

口座残高については、最後の入出金日から少なくとも10年間は、申し出などにより払戻してもらうことができます。


【厚生労働省「賃金のデジタル払いが可能になります!」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001065931.pdf


令和4年障害者雇用状況と実雇用率算定方法の改正 2023年 2月 13日

◆雇用障害者数、実雇用率が過去最高

厚生労働省は、民間企業や公的機関などにおける、令和4年6月1日時点の「障害者雇用状況」集計結果を取りまとめ、公表しました。

民間企業(障害者雇用促進法において義務付けられている43.5人以上の規模:法定雇用率2.3%)の雇用障害者数は、61万3,958.0人(対前年比2.7%増、対前年差1万6,172.0人増)、実雇用率2.25%(対前年比0.05ポイント上昇)と、いずれも過去最高を更新しています。

また、法定雇用率達成企業の割合は、48.3%(対前年比1.3%増)となっています。なお、法定雇用率未達成企業は、5万5,684社でそのうち障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は3万2,342社で、未達成企業に占める割合は58.1%となっています。


◆精神障害者の雇用が増加

雇用者を障害種別で見ると、身体障害者は35万7,767.5人(対前年比0.4%減)、知的障害者は14万6,426.5人(同4.1%増)、精神障害者は10万9,764.5人(同11.9%増)と、特に精神障害者の伸び率が大きくなっています。

その理由として、平成30年4月から精神障害者の雇用が義務化され、雇用者は今も増加傾向となっていることが挙げられます。しかし、精神障害者は、身体障害者や知的障害者に比べて長時間安定して働くことが難しく、職場定着率が低いことが課題となっています。


◆短時間労働者の実雇用率算定方法の見直し

そこで政府は、「短時間(週所定労働時間が20時間以上30時間未満)であれば働ける」という精神障害者の就労機会を拡大するため、一定の要件を満たした場合に、従来1人あたり0.5ポイントとカウントするところを1ポイントとカウントする特例措置を設けました(令和4年度末までとされていたが省令の改正で延長予定)。

また、改正障害者雇用促進法では、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者を雇用した場合についても、雇用率を1人あたり0.5ポイントとしてカウント(予定)することとしました(令和6年4月までに施行予定)。


【厚生労働省「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001027391.pdf


【厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要」】

https://www.mhlw.go.jp/content/001000995.pdf


新型コロナの影響による休業に伴い報酬が急減した場合の健康保険および厚生年金保険の標準報酬月額に関する特例措置が終了します 2023年 1月 15日

◆特例措置の内容

新型コロナの影響により事業所が休業し、従業員の報酬が著しく下がった場合に、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額の等級を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、翌月から改定可能とする特例措置が講じられています。

この特例措置による等級の引下げは給付額等に影響することから、改定を受けるにあたっては従業員の書面による同意が必要となっています。


◆令和4年12月で特例措置が終了

11月29日、この特例措置を令和4年12月で終了する通達が出されました。終了後の標準報酬月額の改定および決定については、「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」(昭和36年1月26日付け厚生省保険局長通知)等に基づき取り扱われることとなります。


◆令和4年10~12月の間で特例措置による改定を受ける場合の手続方法

改定を受ける場合は、事業主が、「被保険者報酬月額変更届(特例改定用)」に申立書を添えて、急減月が生じた後、速やかに管轄の年金事務所へ提出します。

受付期間は、令和4年10月または同年11月を急減月とする届出が令和4年10月31日から令和5年1月末まで、また令和4年12月を急減月とする届出が令和4年12月26日から令和5年2月末までとされています。

なお、本特例措置の届出および申立書の内容が事実であることを確認できる書類については、事業所調査等により後日確認する場合があるので、届出日から2年間は保存を要します。


【厚生労働省「令和4年12月に新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した者等についての健康保険及び厚生年金保険の標準報酬月額の保険者算定の特例の延長並びに特例措置の終了について(令和4年11月29日年管管発1129第2号・年年発1129第1号)」】

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T221201T0030.pdf


【日本年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額の特例改定の期間が延長されることになりました」】

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2022/202210/20221011.html


雇用調整助成金の特例措置が終了します 2022年 12月 20日

◆12月以降は通常制度による支給となります

雇用調整助成金の支給上限額引上げや助成率引上げ、提出書類の簡素化等の特例措置が、有効求人倍率の回復等を理由に終了し、令和4年12月以降、通常制度による支給となります。そのため、1日あたり支給上限額は一律8,355円となります。


◆特に業績が厳しい事業主に対する経過措置が設けられます

ただし、特に業績が厳しい事業主については、令和5年1月31日まで1日あたり支給上限額を9,000円とする経過措置が設けられます。助成率も、令和3年1月8日以降解雇等を行っていない場合は10分の9(大企業は3分の2)となります。


◆令和5年2月以降はどうなる?

原則どおりの扱いとなりますが、クーリング期間制度が適用されずに再度の申請ができたり、申請書類が簡素化されたりする等の措置が、令和4年12月から令和5年3月の間、講じられます。

しかしながら、これまで新型コロナ特例を利用せず、令和4年12月以降新規に雇用調整助成金を利用する事業主は、経過措置ではなく通常制度による申請を行うため、生産指標の要件等、通常制度の要件に該当する必要があります。


◆令和4年12月から新たにコロナを理由として雇用調整助成金を申請する場合の要件緩和

その場合でも、令和4年12月1日から令和5年3月31日までの間、支給要件が一部緩和されます。具体的には、計画届の提出が不要とされたり、休業や教育訓練の延べ日数から時間外労働の日数を差し引く残業相殺が行われなかったりするほか、一部の労働者を対象とした短時間休業も助成対象となります。


【厚生労働省「令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置(コロナ特例)の経過措置について(予定)」PDF】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001008098.pdf


【厚生労働省「令和4年12月から新たにコロナを理由として雇用調整助成金等を申請する事業主のみなさまへ」PDF】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001007940.pdf


10月から始まる社会保険適用拡大への対応はお済みですか? 2022年 10月 4日

◆従業員数101人以上の会社のパート・アルバイトが厚生年金・健康保険の加入対象に

加入対象は、(1)週所定労働時間20時間以上、(2)月額賃金8.8万円以上、(3)2カ月超雇用見込みがある、(4)学生ではない、の4つに該当する従業員ですが、手取り収入への影響から、働き方を変える人が出てくると考えられます。例えば、加入希望の人がシフトを増やして手取り減を回避したいと言ったり、扶養を外れたくない人がシフトを減らしたいと言ったりするかもしれません。

会社の保険料負担や発生する手続きも気になりますが、従業員が働き方を変えるとシフト編成等に影響が生じる可能性もあります。従業員へのヒアリング等を行い、支障が出ないように準備しましょう。


◆短期パートの適用漏れに注意

上記要件のうち、(3)は当初契約の雇用期間が2カ月以内でも、契約更新等されると、当初から社会保険に加入となります。これまでの「1年超」との要件が撤廃されるため、特に適用漏れに注意が必要です。

年金事務所による調査で適用漏れは厳しくチェックされ、万が一あると保険料の遡及払いが発生し、従業員負担分も含めていったん会社が立て替えざるを得なくなったりします。適正に手続きがされているか、チェックしておくとよいでしょう。


◆雇用保険料率も10月から引上げ

従業員数100人未満の会社も、雇用保険料率の引上げによる影響があります。一般の事業で事業主分が1,000分の6.5から8.5に、労働者分が1,000分の3から1,000分の5に引き上げられます。

特に労働者分は平成29年度以降据え置かれていたため、若い従業員には率が変わるものと認識していない人もいるかもしれません。10月分の給与明細と一緒に、保険料率の変更を案内してあげるとよいでしょう。


【日本年金機構「令和4年10月から短時間労働者の適用拡大・育休免除の見直し等が行われます」】

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0729.html


【厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」】

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0729.html

https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf


受けさせっぱなしはNG!健康診断有所見者へは「受診勧奨」を! 2022年 9月 10日

◆事業者にもメリットの多い「受診勧奨」

健康診断、「受けさせっぱなし」になってはいませんか?

「要再検査」「要精密検査」「要医療」など有所見と判定された労働者に対して、事業者は、「二次健康診断の対象となる労働者を把握し、当該労働者に対して、二次健康診断の受診を勧奨するとともに、診断区分に関する医師の判定を受けた当該二次健康診断の結果を事業者に提出するよう働きかけることが適当である」とされています(厚生労働省「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」)。この受診勧奨をしなかったために企業が安全配慮義務違反に問われた事件もあり、注意を要します。

また、病気が重症化する前に医療機関を受診すれば、労働者の健康リスクは低減されます。労働者に、健康に長い間働き続けてもらうことができれば、企業の生産性向上、ひいては業績向上にもつながるでしょう。

近時は個人情報保護やプライバシーの観点から受診勧奨を行わない企業も多いようですが、ぜひ積極的に行いたいものです。


◆受診勧奨の方法

口頭で医療機関の受診を促すこともありますが、受診勧奨は、一般的には文書で行うことが多いようです。受診勧奨文書の例がウェブサイト等で公開されていますので、参考にして作成するとよいでしょう。


◆勧奨しても受診しない労働者がいる場合の対応

受診勧奨を行っても、労働者が受診しないということも考えられます。安全配慮義務の観点からは、万一に備え、企業が義務履行のために最善を尽くしていたという証拠を残しておくことが大切です。たとえば、企業がどのような受診勧奨を行ったのか、それに対し労働者がどのような理由で受診を拒否したのか、記録しておくことなどが考えられるでしょう。


新型コロナに係る傷病手当金の支給に関するQ&Aが改訂されています 2022年 8月 3日

「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」が改訂され、新たに7つのQが追加されました。例えば、次のようなものです。

〇被保険者が、業務災害以外の事由で罹患した新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)の療養のため、労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

 ⇒傷病手当金の支給対象となりうる。

〇被保険者の検査は実施していないが、同居家族が濃厚接触者となり有症状になった場合等において、医師の判断により当該被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染していると診断されたため、当該被保険者が労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

 ⇒傷病手当金の支給対象となりうる。


 ほかにも、

〇傷病手当金の支給申請にあたり、保健所等が発行する「宿泊・自宅療養証明書」の添付は必要か

〇傷病手当金の支給申請関係書類として「宿泊・自宅療養証明書」が提出された場合に、これを医師の意見書として取り扱ってよいか

〇被保険者が、新型コロナウイルスの治癒後にも、事業主から感染拡大防止を目的として自宅待機を命じられたため労務に服することができない場合、当該期間について、傷病手当金は支給されるのか

〇事業主から自宅待機を命じられていた期間中に新型コロナウイルス感染症に感染した場合、傷病手当金の待期期間の始期はいつか

〇海外で新型コロナウイルス感染症に感染し、医師の意見書を添付できない場合は、何をもって労務不能な期間を判断すればよいか

といった事項について回答が示されています。


 それぞれの内容が細かくて難しい点もあるので、従業員から相談があった際には弊所までご相談ください。


【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」 の改訂について】

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220705S0010.pdf


人材開発支援助成金「人への投資促進コース」新設 2022年 6月 24日

◆国民からのアイディアを募集

令和4年4月から、人材開発支援助成金の各コースで要件や助成額等が変更され、新たに「人への投資促進コース」が創設されました。このコースは、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)において、岸田首相が「人への投資を抜本的に強化するため、3年間で、4,000億円の施策パッケージを提供すること」「デジタルなど成長分野への労働移動の円滑化や、人材育成を強力に推進すること」を掲げ、国民からのアイディアを募集して創設されたものです。


◆5つの訓練メニュー

「人への投資促進コース」は、国民から寄せられた「企業の従業員教育、学び直しへの支援」や「デジタル人材などの育成強化」などの提案をもとに、以下の5つの訓練メニューに分かれています。

・高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練

高度デジタル訓練(ITスキル標準(ITSS)レベル3または4)、大学院(海外も含む)での訓練を行う事業主が助成対象

・情報技術分野認定実習併用職業訓練

IT分野未経験者に対するOFF-JTとOJTの組み合わせ型の訓練を行う事業主が助成対象

・長期教育訓練休暇等制度

教育訓練休暇制度(30日以上の連続休暇取得)や教育訓練短時間勤務等制度(30回以上の労働時間の短縮および所定外労働時間の免除)を導入し、労働者の自発的な職業能力開発を促進した場合に助成を拡充

・自発的職業能力開発訓練

自発的職業能力開発経費負担制度を定めるとともに、その制度に基づき、被保険者に対して経費を負担する事業主が助成対象

・定額制訓練

労働者の多様な訓練の選択・実施を可能する定額受け放題研修サービス(サブスクリプション)を行う事業主が助成対象

各訓練に関する対象の詳細や支給要件、助成率・助成額、申請書類等については、厚生労働省のパンフレットを参照にしてください。


【厚生労働省「令和4年度版パンフレット(人への投資促進コース)詳細版」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000922575.pdf


令和4年度労働保険の年度更新実務の注意点 2022年 5月 10日

◆「年度更新」とは?

会社は、労災保険と雇用保険に加入する義務を負っており、業種や従業員数に応じた保険料を納付することとされています。

保険料の額は毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間を単位として計算され、年度ごとに概算で保険料を納付し、年度末に賃金総額が確定した後で精算するという方法がとられています。

この、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが、「年度更新」です。


◆令和4年度は年度途中で雇用保険料率が改定

令和4年3月30日に成立した改正雇用保険法により、令和4年度の雇用保険料率は、年度前半(4月~9月)は3/1,000、年度後半(10月~令和5年3月)は5/1,000とされています(失業等給付に係る雇用保険料率(労使折半))。

そのため、概算保険料の計算を2段階で行う必要があり、例年とは手順の一部が異なります。


◆改正にあわせて様式の記載欄にも変更あり

まず、令和3年度の確定保険料を算定するための「確定保険料算定基礎賃金集計表」に設けられた概算保険料(雇用保険分)算定内訳の記載欄に、雇用保険率の適用期間ごとに賃金総額の見込額を記入する必要があります。

また、申告書の概算・増加概算保険料算定内訳の「⑬保険料率欄」には、年度途中で雇用保険率が変更されることを受け、印字がされていないため注意が必要です。

年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければならず、遅れると追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課されることもあります。不安や疑問点がある場合には、社会保険労務士にご相談ください。


【厚生労働省「労働保険とはこのような制度です」】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/howtoroudouhoken/index.html


【厚生労働省「労働保険の年度更新とは」】

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/kousin.html


【厚生労働省「令和4年度労働保険の年度更新期間について」】※.URLは短縮したものを表記しています

https://x.gd/LwJvZ


令和4年4月からの年金制度 2022年 4月 1日

年金制度改正法(令和2年法律第40号)等の施行により、年金制度の一部が改正されます。4月からどのように変わるのか見ていきます。

このような契約には柔軟に労働日・労働時間を設定できる点で当事者双方にメリットがある一方、労働紛争が発生することもあります。厚生労働省が、使用者が現行の労働関係法令等に照らして留意すべき事項を取りまとめましたので、抜粋してご紹介します。


◆繰下げ受給の上限年齢引上げ

老齢年金の繰下げ年齢の上限が75歳に引き上げられます(現在の上限は70歳)。また、65歳に達した日後に受給権を取得した場合についても、繰下げの上限が10年に引き上げられます(現在は5年)。

◆繰上げ受給の減額率の見直し

年金の繰上げ受給をした場合の減額率が、1月あたり0.4%に変更されます(現在は0.5%)。


◆在職老齢年金制度の見直し

60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲が拡大されます(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準が28万円から47万円に緩和。65歳以上の在職老齢年金と同じ基準に)。


◆加給年金の支給停止規定の見直し

加給年金の加算対象となる配偶者が、被保険者期間が20年(中高齢者等の特例に該当する方を含む)以上ある老齢、退職を支給事由とする年金の受給権を有する場合、その支給の有無にかかわらず加給年金が支給停止となります(経過措置あり)。


◆在職定時改定の導入

現在は、老齢厚生年金の受給権者が厚生年金の被保険者となった場合、65歳以降の被保険者期間は資格喪失時(退職時・70歳到達時)にのみ年金額が改定されますが、在職中の65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者について、年金額が毎年1回定時に改定が行われるようになります。


◆国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え

国民年金制度または被用者年金制度に初めて加入する方には、「基礎年金番号通知書」が発行されることになります。既に年金手帳を所持している方には「基礎年金番号通知書」は発行されません。


【日本年金機構「令和4年4月から年金制度が改正されます」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000870906.pdf


「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項~厚生労働省 2022年 3月 18日

パートやアルバイトを中心に、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような形態があります。

このような契約には柔軟に労働日・労働時間を設定できる点で当事者双方にメリットがある一方、労働紛争が発生することもあります。厚生労働省が、使用者が現行の労働関係法令等に照らして留意すべき事項を取りまとめましたので、抜粋してご紹介します。


◆シフト制労働契約の締結に当たっての留意事項

① 始業・終業時刻

労働契約の締結時点で、すでに始業と終業の時刻が確定している日については、労働条件通知書などに単に「シフトによる」と記載するだけでは不足であり、労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で、労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等を併せて労働者に交付する必要があります。

② 休 日

具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります。


◆シフト制労働者を就労させる際の注意点

① 年次有給休暇

所定労働日数、労働時間数に応じて、労働者には法定の日数の年次有給休暇が発生します。使用者は、原則として労働者の請求する時季に年次有給休暇を取得させなければなりません。「シフトの調整をして働く日を決めたのだから、その日に年休は使わせない」といった取扱いは認められません。

② 休業手当

シフト制労働者を、使用者の責に帰すべき事由で休業させた場合は、平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要です。


そのほかの詳細は、下記をご参照ください。


【厚生労働省「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項(使用者の方向けリーフレット)」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000870906.pdf


雇用保険マルチジョブホルダー制度がスタート 2022年 1月 18日

◆雇用保険マルチジョブホルダー制度とは?

令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されました。これは、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。

【適用要件】

・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること

・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること

・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること


◆手続きは本人が行うのが原則

マルチ高年齢被保険者であった方が失業した場合には、一定の要件を満たせば、高年齢求職者給付金を一時金で受給することができます。老後の生活資金や介護費用等のために、利用を検討する労働者もいるかもしれません。ただし、この制度では、マルチ高年齢被保険者としての適用を希望する本人が手続きを行う必要があります。手続きに必要な証明(雇用の事実や所定労働時間など)は、本人から事業主に記載を依頼して、ハローワークに申し出ることになっています。


◆事業主に求められること

労働者から手続きに必要な証明を求められた場合は、速やかに対応しましょう。また、マルチジョブホルダーが申出を行ったことを理由として、解雇や雇止めなどの不利益な取扱いを行うことは法律上禁じられています。マルチジョブホルダーがマルチ高年齢被保険者の資格を取得した日から雇用保険料の納付義務が発生しますので、制度についてしっかりと理解し、対応していきましょう。


【厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000136389_00001.html


改正育児介護休業法の施行に向けて、準備を始めましょう 2021年 12月 5日

◆大きく変わる育児休業制度

来年4月1日から改正育児介護休業法が施行され、「パパ育休」が新設されるほか、労働者に対する会社の育児休業制度に関する情報提供、育児休業を取得するか否かの意向確認が必要になったり、育児休業の分割取得ができるようになったりします。

当然、育児介護休業規程の見直しや制度利用に関する社内書式の整備が必要となりますが、それだけではありません。


◆労使協定の締結も必要

現在は雇用期間によっては育児休業が取得対象外となっているパートタイマー等について、改正により取得要件が緩和されます。そのため、引き続き雇用された期間が1年未満の人を取得対象とするか否か、労使協定を締結して決定する必要があります。


◆会社の制度を周知する資料の作成等も必要

上記のとおり、改正法施行後は、労働者本人またはその配偶者から妊娠・出産等の申出があった場合、制度に関する情報提供や育児休業取得に関する意向確認が事業主の義務とされます。情報提供は、規程を渡すだけでは不十分で、育児休業の申出先や育児休業給付、休業期間中の社会保険料の取扱いに関する情報の提供も必要です。

資料が既に用意されている場合は、所定の要件を満たしているかをチェックすれば済みますが、新たに作成する場合は、会社がどのような制度を設けているのか、明文化されていないものの見落としはないかなど、確認して作成する必要もあります。


◆厚生労働省が規定例等を公開

11月5日、厚生労働省より今回の改正に対応した規定例や書式例が示されました。これらを参考に、自社に合った内容にカスタマイズしながら余裕を持って準備を進めましょう。


【厚生労働省「育児・介護休業法について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html


傷病手当金の支給期間が改正されます 2021年 11月 22日

◆傷病手当金とは

傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガの療養のため連続する3日間を含み4日以上仕事に就くことができず、給与支払いがない場合に、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。

支給期間は、支給を開始した日から最長1年6カ月です。この1年6カ月には、復職し再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合の、復職した期間も含まれます。


◆改正により支給期間を通算化

令和4年1月1日から、この支給期間が通算化され、療養中に復職し再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合、復職期間を除いて支給期間がカウントされることとなります(具体的な支給期間の計算方法は、令和3年11月中に明らかになる見通しです)。


◆仕事と治療の両立をしやすくするための改正

通算化されることとなった理由は、がん治療など入退院を繰り返して療養する患者が柔軟に傷病手当金制度を利用できないとの問題点が指摘され、支給期間が通算化されている共済組合と取扱いを合わせるべき、などの意見もあり、見直されることとなったものです。


■両立支援に取り組む会社に対する支援

会社による仕事と治療の両立のための取組みとしては、新たに休暇制度を導入したり健康づくりのための制度を導入したりする等があり、こうした取組みが要件を満たす場合には、助成金の対象となる可能性があります。


【厚生労働省】

「社会保障審議会医療保険部会における議論の整理について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15749.html

「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案概要」PDF(231KB)

https://www.mhlw.go.jp/content/000733601.pdf

「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」PDF(2.46MB)

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000780068.pdf


ハローワークの新しい求人サービス機能について 2021年 10月 6日

◆9月21日より新機能追加

オンラインで求人や採用の手続きが進められるハローワークインターネットサービスに、次の新機能が追加されます。

○オンラインハローワーク紹介

○オンライン自主応募


◆オンラインハローワーク紹介とは

ハローワークが求職者と求人者の適合性を判断した、マッチングしそうな求人の紹介を受けられるようになります。

ハローワークが送った求人に求職者が応募すると、求人者マイページに応募通知が届きます。そして、応募者の応募書類や志望動機等の確認、メッセージ機能を使った選考を行うことができます。選考結果の通知や管理もできるので、電話やFAX等による連絡事務が不要になり、応募書類の管理や採否入力の効率化を図ることができるようになります。


◆オンライン自主応募とは

ハローワークインターネットサービスに掲載されている求人に対して、求職者が求人者マイページを通じて直接応募できるようになります(この応募者は、上記のようにハローワークによる求職者と求人の適性の確認を経ていないため、募集要件に合致しない方が応募する場合があります)。また、オンライン自主応募での採用は、ハローワーク等の職業紹介を要件とする特定求職者雇用開発助成金等は対象とはならないとされています。

応募があると、求人者マイページに通知が届きますが、ハローワークからの連絡はありませんので、求人者マイページを定期的に確認する必要があります。オンライン上で応募書類や志望動機等の確認、メッセージ機能を使った選考を行うことができ、選考結果の通知や管理もできる点は、オンラインハローワーク紹介と同様です。


【厚生労働省「2021年9月21日からハローワークインターネットサービスの機能がより便利になります!」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20400.html


「副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A」の改訂版が公表されました 2021年 9月 5日

◆改訂の経緯

平成30年1月に厚生労働省より「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)が公表されました。このガイドラインの公表にあたっては、補足資料として「副業・兼業の促進に関するガイドライン(Q&A)」(以下、「ガイドラインQ&A」という)も作成されました。

令和2年9月にガイドラインは改定されていましたが、今年7月、ガイドラインQ&Aの改訂版が公表されました。


◆ガイドラインQ&Aの改定内容

このガイドラインQ&Aは、労働時間管理等、健康管理、労災保険の給付について9個のQ&Aで構成されていましたが、改訂版では28個に増え、より具体的かつ網羅的に解説されています。

特に、実務上疑問の声が多い労働時間管理については、自社と副業先で従事する業務に適用される労働時間制度が異なる場合(変形労働時間制、裁量労働制、フレックスタイム制など)における通算の考え方や、法定休日、1週間単位での通算の仕方について等の考え方も明記されています。

また、ガイドラインで示している簡便な労働時間管理の方法(管理モデル)を導入する場合の労働時間の管理や、時間外労働の上限規制の遵守、割増賃金の支払いについても解説されています。

副業・兼業を認めている会社は、ガイドラインとあわせて、改訂されたガイドラインQ&Aをしっかり確認しておくとよいでしょう。


【参考】厚生労働省「「副業・兼業の促進に関するガイドラインQ&A」PDF

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000473062.pdf


健康保険法改正で傷病手当金の通算や育休中の社会保険料免除が変更に 2021年 8月 18日

「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が第204回国会で可決・成立し、6月11日に公布されています。

以下で、主な改正事項をご紹介します。


◆傷病手当金の支給期間の通算化(令和4年1月1日から施行)

傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のために休業するときで、一定の要件に該当した場合に支給されるもので、支給期間は、支給が開始された日から最長1年6カ月です。これは、1年6カ月分支給されるということではなく、1年6カ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も含めて1年6カ月に算入されます。支給開始後1年6カ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

今回の改正は、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるように、支給期間の通算化を行うというものです(支給を始めた日から通算して1年6カ月支給)。がん治療などで入退院を繰り返すなど、長期間にわたり療養のための休暇をとりながら働くケースなどがあることから、改正になりました。


◆任意継続被保険者制度の見直し(令和4年1月1日から施行)

任意継続被保険者制度は、健康保険の被保険者が、退職した後も選択によって引き続き最大2年間、退職前に加入していた健康保険の被保険者になることができる制度です。

保険料は全額被保険者負担(事業主負担なし)で、従前の標準報酬月額または、当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額に保険料率を乗じた額を負担します。任意継続被保険者となった日から2年を経過したときや、保険料を納付期日までに納付しなかったとき、就職して健康保険などの被保険者資格を取得したとき、後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき、被保険者が死亡したときのいずれかに該当するときは、被保険者の資格を喪失します。

今回の改正は、任意継続被保険者の保険料の算定基礎の見直しや(健康保険組合が規約に定めた場合は、当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額より従前の標準報酬月額が高い任意継続被保険者については、従前の標準報酬月額を保険料の算定基礎とすることができるようになる)、被保険者からの申請による資格喪失を可能とするというものです。


◆育児休業中の保険料の免除要件の見直し(令和4年10月1日から施行)

育児休業中の社会保険の保険料免除は、現在、月の末日時点で育児休業をしている場合に、当該月の保険料(賞与保険料含む)が免除される仕組みです。そのため例えば、月中に2週間の育休を取得したとしても、休業期間に月の末日を含まなければ免除の対象にはなりません。

今回の改正は、短期の育児休業の取得に対応して、育児休業期間に月末を含まない場合でも、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1カ月を超える育児休業を取得している場合に限り免除の対象とするというものです。


若者雇用促進法に基づく「事業主等指針」が改正に 2021年 6月 7日

◆事業主等指針とは?

事業主等指針とは、「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号)のことをいい、若者雇用促進法に基づき、若者を募集・採用等する事業主等が講ずべき措置をまとめたものです。


◆事業主等指針の改正

厚生労働省は、令和3年4月30日、この事業主等指針を改正しました。今回の改正によって、事業主等が青少年の募集および採用にあたって講ずべき措置、事業主が青少年の職場への定着促進のために講ずべき措置について、主に次の事項が追加されました。


◆就活生等に対するハラスメント問題への対応

事業主は、雇用する労働者が、就職活動中の学生やインターンシップを行っている者等に対する言動について、必要な注意を払うよう配慮することが望ましいこと。

事業主は、パワーハラスメント指針等に基づき、職場におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントならびに妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメントの防止のため、雇用管理上の措置を講ずること。


◆公平・公正な就職機会の提供

採用内定または採用内々定と引き替えに、他の事業主に対する就職活動を取りやめるよう強要すること等の青少年の職業選択の自由を妨げる行為等については、青少年に対する公平・公正な就職機会の提供等の観点から行わないこと。


◆内定辞退等勧奨の防止

採用内定者等について、労働契約が成立したと認められる場合は、当該採用内定者に対して、自由な意思決定を妨げるような内定辞退の勧奨は、違法な権利侵害にあたるおそれがあることから行わないこと。


◆募集情報等提供事業者・募集者等における個人情報の管理

募集情報等提供事業者、募集者等は、職業安定法に基づく職業紹介事業者等指針(求職者等の個人情報の取扱いについて、個人情報の収集、保管および使用、個人情報の適正な管理、個人情報の保護に関する法律の遵守等)第4条に基づき、求職者等の個人情報を適切に取り扱うこと。


不妊治療と仕事の両立のための助成金 2021年 5月 10日

不妊治療に取り組む従業員を支援する中小事業主を対象とした助成金(厚生労働省)をご紹介します。


◆両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)

不妊治療のために利用可能な休暇制度・両立支援制度(①不妊治療のための休暇制度(特定目的・多目的とも可))、②所定外労働制限制度、③時差出勤制度、④短時間勤務制度、⑤フレックスタイム制、⑥テレワーク、のいずれかまたは複数)について、利用しやすい環境整備に取り組み、不妊治療を行う従業員に休暇制度・両立支援制度を利用させた中小企業事業主は、本助成を受けることができます。

【支給額は?】※要件を満たした場合、A、Bそれぞれが支給されます。

A:環境整備、休暇の取得等

支給要件のすべてを満たし、最初の従業員が、不妊治療のための休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用した場合

…1中小企業事業主 28.5万円<生産性要件を満たした場合36万円>

B:長期休暇の加算

Aを受給した事業主であって、従業員に不妊治療休暇制度を20日以上連続して取得させ、原職等に復帰させ3カ月以上継続勤務させた場合

…1中小企業事業主 28.5万円<生産性要件を満たした場合36万円>

※1事業主当たり1年度に5人まで

【支給要件は?】※次のすべての条件を満たすことが求められます。

(1) 不妊治療と仕事の両立のための社内ニーズ調査の実施

(2) 整備した上記①~⑥の制度について、労働協約または就業規則への規定および周知

(3) 不妊治療を行う従業員の相談に対応し、支援する「両立支援担当者」の選任

(4) 「両立支援担当者」が不妊治療を行う従業員のために「不妊治療両立支援プラン」を策定


◆働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

不妊治療のための休暇を新たに導入したい場合に活用できる助成金で、不妊治療等のために利用できる特別休暇制度(多目的・特定目的とも可)を導入した中小企業事業主が受給できます。

【支給額は?】

外部専門家によるコンサルティングや就業規則等の作成・変更などの休暇制度の導入に関する経費の3/4(一定の要件を満たした場合4/5。上限50万円)。


正社員登用制度の整備とキャリアアップ助成金 2021年 4月 8日

◆4月1日から中小企業でも「同一労働同一賃金」が義務化

正社員と非正規社員の不合理な労働条件の相違を禁止する「同一労働同一賃金」が、令和3年4月1日から、中小企業に対しても義務化されます。

具体的には、諸手当、賞与、退職金等の待遇について不合理な相違があってはならないというものですが、昨年10月に出された最高裁判決では、賞与や退職金について、不支給は不合理とはいえないとの判断が示されたものもあります(大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件)。


◆注目される「正社員登用制度」

上記メトロコマース事件では、原則勤続1年以上の希望者全員が受験できる正社員登用制度があり、原告である契約社員が、試験に2回失敗し断念したことが、企業側は正社員登用の機会を与えていたと判断され、結論に大きく影響したといわれています。

一連の判決を受け、企業の一部には、賞与や退職金について、正社員人材の確保・定着を目的として設けているとして、非正規社員に対して異なる扱いとする代わりに、正社員登用制度を整備する動きも見られます。


◆非正規社員の正社員化を進める際に活用できるキャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、雇用期間の定めがある非正規社員の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化等を実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。

本助成金の正社員化コースでは、有期雇用の非正規社員を正社員等に転換、または直接雇用した場合に助成金が支給されますが、限定正社員制度を新設した場合の加算措置があります。具体的には、勤務地限定正社員制度、職務限定正社員制度、短時間正社員制度(令和3年度予算により4月1日から追加予定)が加算対象とされます。


◆段階的な正社員登用制度の構築がおススメ

これまで正社員登用制度のなかった企業において、一直線に正社員への登用制度を整備するのは、人件費の面で負担増となることも考えられます。また、在籍中の契約社員やパートタイマーに正社員志望者がいなければ、設ける意味がありません。

優秀な人材を確保したいという企業において、すでに実績がある非正規社員に正社員になってもらうというのは有効な方法の1つですので、上記で紹介した限定正社員制度の導入から始めて、段階的に正社員登用制度の構築を進めてみてはいかがでしょうか。


緊急事態宣言対象地域における雇用調整助成金の雇用維持要件が緩和されます 2021年 3月 19日

◆雇用調整助成金の特例措置はいつまで?

現在、東京、千葉、神奈川、埼玉、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡が、3月7日まで緊急事態宣言対象地域とされています。この緊急事態宣言を受け、雇用調整助成金(以下、「雇調金」という)の助成率引上げ等の特例措置は、同宣言が全国で解除された月の翌月末まで延長されることが決定しています(令和3年2月8日厚生労働省令第28号)。


◆緊急事態宣言対象地域における雇調金の雇用維持要件緩和とは?

厚生労働省のプレスリリース(令和3年2月5日)で、雇調金の助成率決定の要件となっている、解雇等を行っていないこと等とする雇用維持要件について、緩和する予定であることが公表されました。

具体的には、現行は令和2年1月24日以降の解雇等の有無により判断されているところ、令和3年1月8日以降緊急事態宣言解除月の翌月末までの休業等については、令和3年1月8日以降の解雇等の有無により、適用する助成率が判断されることとなる見通しです。


◆雇用維持要件を満たした場合の助成率は?

解雇等を行っていない中小企業は10/10、大企業は3/4が適用されます。

なお、緊急事態宣言対応特例として、全国の大企業の、(1)営業時間の短縮等に協力する事業主、(2)特に業況が悪い事業主(いずれの事業主要件にも当てはまる場合は(2)として申請)に対して、解雇等を行わなかった場合は10/10、解雇等を行った場合は4/5とする措置が講じられています。

上記(1)は、緊急事態宣言対象地域において宣言が解除された月の翌月末までの休業等が、また(2)は、全国で宣言が解除された月の翌月末までの休業等(いずれも短時間休業を含む)が、対象となります。


◆新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象も拡大予定

シフト制、日々雇用、登録型派遣などの働き方で、労働契約上、労働日が明確でない人向けの休業支援金・給付金は、中小企業に雇用される人を対象としてきましたが、1月からの緊急事態宣言を受け、大企業に雇用される人も対象とされる予定です。

2月中下旬頃受付開始予定で、申請方法等の詳細は、改めて公表される予定です。


「36協定届」が新しくなります 2021年 2月 2日

◆改正の内容

 2021年4月1日より、36協定届の様式が新しくなります。

改正内容は、大きく2点あります。

① 36協定届における押印・署名の廃止

② 36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

◆36協定届における押印・署名の廃止

 労働基準法施行規則等の改正により、使用者の押印および署名が不要になりました(記名は必要)。

*36協定と36協定届を兼ねる場合の留意事項

 労使で合意したうえで労使双方の合意がなされたことが明らかとなるような方法(記名押印または署名など)により36協定を締結すること

◆36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

 労働者代表(事業場における過半数労働組合または過半数代表者)についてチェックボックスが新設されています。

*過半数代表者の選任にあたっての留意事項

 ・管理監督者でないこと

 ・36協定を締結する者を選出することを明らかにしたうえで、投票、挙手等の方法で選出すること

 ・使用者の意向に基づいて選出された者でないこと

◆新旧様式の届出の適用

 2021年3月31日以前であれば、4月1日以降の期間を定める協定であっても、原則、旧様式を用いることになります。しかし、新様式を使用することも可能で、その場合は、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスにチェックする必要はありませんが、使用者の記名押印または署名が必要になります。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、3月31日以前であっても、使用者や労働者の押印または署名がなくても提出することができます。

 また、4月1日の施行日以降であっても、当分の間旧様式を用いることもできます。その際の留意点は次のとおりです。

・旧様式の押印欄を取り消し線で削除する

・協定届・決議届については、旧様式に、協定当事者の適格性にかかるチェックボックスの記載を直接追記する、または同チェックボックスの記載を転機した紙を添付する(チェックボックスにチェックがないと、形式上の要件に適合している協定届・決議届と認められませんので、注意が必要です)


※新様式は以下のURLからダウンロードして使用できます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/index.html

【厚生労働省リーフレット】

https://www.mhlw.go.jp/content/000708408.pdf


雇用調整助成金の今後について 2021年 1月 15日

◆来年2月いっぱいで現行の特例措置は終了予定

新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金の特例措置として、令和3年2月末まで日額上限額の引上げ等がされていますが、3月以降段階的に縮減し、5~6月にリーマンショック時並みの特例とするとの方針が、今月8日にまとめられた総合経済対策で表明されています。

そして、令和3年1月末および3月末時点の感染状況や雇用情勢が大きく悪化している場合、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業について特例を設ける等、柔軟に対応するとされています。


◆3月以降の雇用調整助成金の特例措置はどうなる?

参考としてリーマンショック時の主な特例措置の内容を紹介すると、次のとおりです(実施時期にはばらつきがあります)。

(1) 助成率:中小企業 4/5、大企業 2/3(コロナ特例措置では雇用を維持している場合、中小企業10/10、大企業3/4)

(2) 生産指標要件:最近3カ月の生産量等が直前3カ月または前年同期と比べて原則5%以上減少(コロナ特例措置では1カ月5%以上減少)

(3) 対象被保険者:被保険者期間6カ月未満の者も助成(コロナ特例措置では緊急雇用安定助成金により被保険者でない労働者も助成)

(4) 支給限度日数:3年300日(コロナ特例措置では令和2年4月1日から令和3年2月末までの期間+1年100日、3年150日)


◆3月以降は在籍型出向による雇用維持支援にシフト

総合経済対策では、「産業雇用安定助成金(仮称)」を創設し、出向元と出向先の双方を支援するとともに、出向元企業への雇用調整助成金による支援、労働移動支援助成金による受入れ企業への支援も引き続き実施するとされています。

現在従業員を休業させ雇用調整助成金を活用している企業においては、上記のような変更への対応を検討しておく必要があるでしょう。


◆人手不足企業向けには新たな雇入れ助成も

コロナ禍による離職者等で、就労経験のない職業に就くことを希望する求職者を一定期間試行雇用する事業主に対する賃金助成制度(トライアル雇用助成金)を創設するとともに、紹介予定派遣を通じた正社員化(キャリアアップ助成金)を促進するとされています。

人手不足に悩んでいる企業においては、こうした制度の活用による人材確保も検討してみるのもよいかもしれません。


来年4月施行の70歳までの就業機会の確保(努力義務)について 2020年 12月 2日

◆これまでの高齢者雇用安定法(65歳までの雇用確保(義務))の内容

高年齢者雇用安定法は、①60歳未満の定年禁止、②65歳までの雇用確保措置を定めています。①は、事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければならないということです(法8条)。②は、定年を65歳未満に定めている事業主は、ア.65歳までの定年引上げ、イ.定年制の廃止、ウ.65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入、のいずれかの措置を講じなければならないといものです(法9条)。①②いずれも当該労働者を60歳まで雇用していた事業主を対象に義務づけられています。


◆令和3年4月1日からの改正~70歳までの就業機会の確保(努力義務)の内容

65歳から70歳までの就業機会を確保することを目的に、来年4月1日からは、上記65歳までの雇用確保(義務)に加え、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務が新設されました。当該労働者を60歳まで雇用していた事業主が対象となります。

① 70歳までの定年引上げ

② 定年制の廃止

③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

④ 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

⑤ 高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

ア. 事業主が自ら実施する社会貢献事業

イ. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

 ④⑤は創業支援等措置(雇用によらない措置)となり、過半数労働組合等の同意をえて導入します。


◆留意点

① 70歳までの就業確保措置は努力義務となるため、対象者を限定する基準を設けることが可能となります(70歳までの定年引上げ、定年制の廃止を除く)。ただし、対象者の基準を設ける場合は、労使間で十分に協議した上で過半数労働組合等の同意を得ることが望ましいとされています。また、労使間での十分な協議の上で設けられた基準であっても、事業主が恣意的に高年齢者を排除しようとするなど法の趣旨等に反するものは認められません(不適切な例として、会社が必要と認めた者に限るなど)。

② 継続雇用制度、創業支援等措置を実施する場合において、「心身の故障のため業務に耐えられないと認められること」「勤務(業務)状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責(義務)を果たし得ないこと」といった事項等を就業規則や就業支援等措置の計画に記載した場合には、契約を継続しないことが認められます。


9月から複数事業労働者向けの労災保険給付が始まりました 2020年10月 6日

◆改正の趣旨

これまでは、複数の会社で働いている労働者の方について、働いているすべての会社の賃金額を基に保険給付が行われないこと、すべての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を合わせて評価して労災認定されないことが課題でした。

このため、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で複数就業している方が増えているなど、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から、労働者災害補償保険法が改正されました。


◆改正の対象者

今回の改正制度の対象となるのは「複数事業労働者」の方です。「複数事業労働者」とは、被災した(業務や通勤が原因でけがや病気などになったり死亡した)時点で、事業主が同一でない複数の事業場と労働契約関係にある労働者の方のことをいいます。

被災した時点で複数の会社について労働契約関係にない場合であっても、その原因や要因となる事由が発生した時点で、複数の会社と労働契約関係であった場合には「複数事業労働者に類する者」として、改正制度の対象となります。また、労災保険に特別加入している方も対象になります。


◆改正内容

① 複数事業労働者の方への保険給付が、すべての働いている会社の賃金額を基礎に支払われるようになります(これまでは災害発生事業場での賃金額しか保険給付の基礎とされていませんでした)。

② 新しく複数の事業の業務を要因とする傷病等(負傷、疾病、障害または死亡)についても、労災保険給付の対象となります。新しく支給事由となるこの災害を「複数業務要因災害」といいます。なお、対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。

複数事業労働者の方については、1つの事業場のみの業務上の負荷(労働時間やストレス等)を評価して業務災害に当たらない場合に、複数の事業場等の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定できるか判断します。これにより労災認定されるときには、上記の「複数業務要因災害」を支給事由とする各種保険給付が支給されます。

1つの事業場のみの業務上の負荷を評価するだけで労災認定の判断ができる場合は、これまでどおり「業務災害」として、業務災害に係る各種保険給付が支給されます。なお、この場合であっても、すべての就業先の事業場の賃金額を合算した額を基礎に保険給付されます。

③ 労災保険には、各事業場の業務災害の多寡に応じ、労災保険率または保険料を増減させる、メリット制があります。新設の複数業務要因災害については、メリット制には影響しません。一方、複数事業労働者の業務災害については、業務災害が発生した事業場の賃金に相当する保険給付額のみがメリット制に影響します。


8月1日から雇用保険の基本手当日額が変更になっています 2020年 9月 5日

◆「基本手当日額」の変更

雇用保険の基本手当日額が、令和元年度の平均給与額が平成30年度と比べて約0.49%上昇したことおよび最低賃金日額の適用に伴い変更されています。なお、平均給与額については、「毎月勤労統計調査」による毎月決まって支給する給与の平均額(再集計値として公表されているもの)が用いられています。


◆具体的な変更内容

1 基本手当日額の最高額の引上げ

  基本手当日額の最高額は、年齢ごとに以下のようになります。

 (1) 60歳以上65歳未満  7,150円 → 7,186円(+36円)

 (2) 45歳以上60歳未満  8,330円 → 8,370円(+40円)

 (3) 30歳以上45歳未満  7,570円 → 7,605円(+35円)

 (4) 30歳未満      6,815円 → 6,850円(+35円)

2 基本手当日額の最低額の引上げ

              2,000円 → 2,059円(+59円)

※ 基本手当日額の算定基礎となる賃金日額の最高額、最低額等については、毎年度の平均給与額の変動に応じて変更されていますが、これにより変更された最低額が、最低賃金日額(地域別最低賃金の全国加重平均額に20を乗じて7で除して得た額)を下回る場合は、最低賃金日額を最低額とすることとされています(雇用保険法第18条第3項)。

  令和2年8月1日以降の基本手当日額の最低額については、最低賃金日額に、基本手当の給付率80%を乗じて計算されています。

(計算式)

901円(令和2年4月1日時点での地域別最低賃金の全国加重平均額)×20÷7×0.8

=2,059円


*変更の詳細については厚生労働省のパンフレットをご確認ください。

【厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」PDF】

https://www.mhlw.go.jp/content/11607000/000654410.pdf


新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の受付が始まりました 2020年 8月 2日

◆個人向け新型コロナ対応休業支援金とは?

雇用調整助成金が活用できない企業の労働者を対象に、休業実績に応じて賃金の8割が支給(上限月額33万円)されます。

雇用されていれば、雇用保険被保険者でなくても、学生アルバイトや外国人労働者、技能実習生は対象となります。登録型派遣、日雇派遣労働者も、要件を満たせば対象となりますが、海外勤務者や日雇労働者、地方公共団体の非常勤公務員は対象となりません。


◆申請方法等

 申請は、労働者本人または事業主のどちらか一方が行えばよく、事業主申請の場合も申請者本人の口座に振り込まれます。

 申請には、支給申請書と支給要件確認書(事業主提出の場合は続紙も)、本人確認書類、振込先口座のキャッシュカードや通帳のコピー、休業前および休業中の賃金額が確認できる書類のコピーが必要です。


●本人申請の場合も事業主は要件確認書に記入

 支給要件確認書には、事業主による休業証明のための記入欄(以下、「事業主欄」という)があり、厚生労働省のQ&Aでは、労働者の雇用、賃金支払いの事実や休業の事実について、最低限事業主からの確認が必要とされています。

 事業主が休業証明を拒んだ場合、労働者は、事業主の協力が得られない旨をその背景事情とともに記載して申告することとなり、事業主は労働局から報告を求められます 。

 なお、故意に偽りの証明を行い支援金を受けることは不正受給にあたり、支給決定取消しだけでなく、全額返還、また不正受給の日の翌日から納付の日までの年3%の延滞金および返還額の2倍相当額の納付が命じられ、事業主名等の公表もされます。


●休業中の賃金額が確認できる書類について

 賃金台帳、給与明細、賃金の振込通帳の3種類により賃金額を確認できない場合は支給できないとされています(新卒者で1日も勤務していない場合等は、雇用契約書 ・労働条件通知書等を添付)。これらの書類提供に関しても、事業主の協力が必要です。


●申請書送付先

下記にて申請書類の形式的な確認を行ったのち、管轄都道府県労働局の支援金集中処理センターに振り分けられます。

〒600-8799 日本郵便株式会社京都中央郵便局留置

厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当


新型コロナ感染症による社会保険の標準報酬月額の特例改定 2020年 7月 1日

◆標準報酬月額の特例改定

今般の新型コロナウイルス感染症の影響により休業した方で、休業により報酬が著しく下がった方について、一定の条件に該当する場合は、事業主からの届出により、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を、通常の随時改定(4か月目に改定)によらず、特例により翌月から改定可能となりました。


◆対象となる方

以下の3つの要件すべてに該当している方が対象となります。

① 事業主が新型コロナウイルス感染症の影響により休業(時間単位を含む)させたことにより、急減月(令和2年4月から7月までの間の1か月であって、休業により報酬が著しく低下した月として事業主が届け出た月)が生じた方

② 急減月に支払われた報酬の総額(1か月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がった方

※固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象となります。

③ 特例による改定を行うことについて、本人が書面により同意している方

※被保険者本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要です(改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金および年金の額が算出されることへの同意を含む)。

※本特例措置は、同一の被保険者について複数回申請を行うことはできません。


◆対象となる保険料

令和2年4月から7月までの間に休業により報酬等が急減した場合に、その翌月の令和2年5月から8月分保険料が対象となります。

※令和3年1月末日までに届出があったものが対象となります。それまでの間は遡及して申請が可能ですが、給与事務の複雑化や年末調整等への影響を最小限とするため、改定をしようとする場合はできるだけ早めの手続きが求められます。

◆注意事項

・通常の月額変更届・算定基礎届と提出先が異なります。

⇒管轄の年金事務所に郵送、もしくは窓口へ提出します。

・通常の月額変更届・算定基礎届と様式が異なります。

⇒届書および申立書は、日本年金機構ホームページからダウンロードできます。

・この特例改定の届出は、電子証明書を利用したe-Govからの電子申請やGビズIDを利用した電子申請、電子媒体による申請には現時点では対応していません。

・特例改定の届出を行うか否かにかかわらず、通常の算定基礎届の提出は変更なく必用です。

【日本年金機構のリーフレット】

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.files/01.pdf


6月から職場におけるハラスメント防止対策が強化されます 2020年 6月 1日

◆パワーハラスメント

労働施策総合推進法の改正により、6月1日から、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。なお、中小事業主は、令和4年4月1日から義務化されます(それまでは努力義務です)。


(1) 事業主および労働者の責務

・事業主の責務……

①職場におけるパワーハラスメントを行ってはならないこと等これに起因する問題に対する労働者の関心と理解を深めること

②その雇用する労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう研修を実施する等、必要な配慮を行うこと

・労働者の責務……

①ハラスメント問題に関する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に注意を払うこと

②事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること


(2) パワーハラスメントの防止のために事業主が講ずべき措置

① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること

② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること

⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと

⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと

⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること

⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること

⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること


(3) 事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止

事業主は、労働者が職場におけるパワーハラスメントについての相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることが、法律上禁止されます。


◆セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

これらについては、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法により、雇用管理上の措置を講じることが既に義務付けられていますが、6月1日から以下のとおり、事業所の規模を問わず防止対策が強化されます(①・②の内容はパワーハラスメントと同様です)。


① 事業主および労働者の責務

② 事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止

③ 自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応


自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行い、他社が実施する雇用管理上の措置事実確認等への協力を求められた場合、これに応じるよう努めることとされました。


新型コロナウイルスによる厚生年金保険料等の納付猶予制度 2020年 5月15日

日本年金機構のホームページに、厚生年金保険料等の納付猶予について、次のとおりお知らせが出ています。

新型コロナウイルスの影響により、厚生年金保険料等を一時に納付することにより事業の継続等を困難にするおそれがあり、一定の要件に該当する場合、厚生年金保険料等を分割納付できる仕組みがあります。事業主の方は、納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6月以内に「換価の猶予」の申請ができます。

また、災害等によって事業所の財産に相当な損害を受け、厚生年金保険料等の納付が困難となった場合は、事業主の方からの申請に基づき、保険料等の「納付の猶予」を受ける制度があります。


◆「換価の猶予」の概要

申請要件は、次のすべてに該当することです。


a. 厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあること

b. 厚生年金保険料等の納付について誠実な意思を有すること

c. 納付すべき厚生年金保険料等の納期限から6か月以内に申請されていること

d. 換価の猶予を受けようとする厚生年金保険料等より以前の滞納又は延滞金がないこと

e. 原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること


換価の猶予が認められた場合は、

① 猶予された金額を猶予期間中の各月に分割して納付することになります。

② 猶予期間中の延滞金の一部が免除されます。

③ 財産の差押や換価(売却等現金化)が猶予されます。


猶予期間は、原則1年の範囲内で年金事務所が認めた期間となります。


◆「納付の猶予」の概要

猶予の要件は次のとおりです。


a. 次のいずれかに該当する事実があること

・財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難にあったこと

・事業主又はその生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと(個人事業所)

・事業を廃止し、又は休業したこと、等

b. a.の該当事実により、納付すべき厚生年金保険料等を一時に納付することができないと認められること

c. 申請書が提出されていること

d. 原則として、猶予を受けようとする厚生年金保険料等の金額に相当する担保の提供があること


納付の猶予が認められた場合の効果は、上記「換価の猶予」と同じです。

詳しくは、下記ホームページをご覧の上、管轄の年金事務所までお問い合わせください。


【日本年金機構「新型コロナウイルス感染症の影響により厚生年金保険料等の納付が困難となった場合の猶予制度について」】

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202003/20200304.html


新型コロナウイルス感染症対策で利用可能な厚労省の助成金まとめ(3月10日時点) 2020年 3月13日

◆影響拡大を受け相次いで対策を公表

2月27日になされた政府の休校・自粛要請により、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大しています。3月10日に発表された緊急対策第2弾までの内容から、雇用維持・事業継続のために活用できる助成金を紹介します。


◆雇用調整助成金

業種を問わず、受注量が減ったり、行政の要請で事業所を閉鎖したり、労働者が発症したため自主的に事業所を閉鎖したり、労働者が子の世話のため休暇を取得し生産体制の維持等が困難になった等、影響を受ける事業主が対象です。

特例により、直近1カ月の生産指標が前年同期比10%以上減で受給でき、雇用期間6カ月未満の労働者も対象となるほか、過去1年以内に本助成金を受給していても受給できます。支給限度日数も、1年間で100日(3年間で通算150日)の制限とは別枠で受給可能となっています。

助成額は、休業手当、教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向元事業主の負担額の3分の2(大企業は2分の1。1人1日当たり上限8,335円)です。

休業等を実施したのち必要書類を労働局に提出して支給申請を行います。


◆時間外労働等改善助成金〔テレワークコース〕

就業規則等を作成・変更し、2月17日から5月31日までの間にテレワークを新規で導入し、実施した労働者が1人以上いれば対象となります。

助成額は対象経費合計額の2分の1(上限100万円)で、対象経費には、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費、委託費があります(パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象外。web会議用機器、社内のパソコンを遠隔操作するための機器等が対象)。

5月29日までに必要書類をテレワーク相談センターに提出して取組みを実施したのち、7月15日までに支給申請書等を提出します。


◆時間外労働等改善助成金〔職場環境改善コース〕

3月25日までに就業規則に特別休暇の規定を新設・施行すると対象となります(来年度新設予定の「働き方改革推進支援助成金」で5月31日までの同様の取組みを助成予定ですが、詳細未詳)。

補助率は、4分の3(30名以下かつ対象ソフト・機器等の購入経費が30万円を超える場合は5分の4)か50万円のいずれか低いほうとなります。

申請は、3月13日までに必要書類を労働局に提出(3月14日以降に交付申請されたものは、4月以降に交付決定)して取組みを実施したのち、3月25日までに支給申請書等を提出します。


◆小学校休業等対応助成金

小学校等(放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認可外保育施設等を含む)の臨時休校等により、3月31日までの間に子の世話を行うため労働者(祖父母や里親等含む)に、年次有給休暇とは別に休暇(半休、時間休を含む)を、年次有給休暇取得時同様、有給で取得させると、対象となります。

助成額は、支払った賃金相当額(日額上限8,330円)です。

3月10日時点で申請期間や手続きは未定で、詳細が固まり次第厚労省ホームページ等にて公表される予定です。


子の看護休暇・介護休暇~時間単位での取得が可能に 2020年 2月 5日

◆施行は2021年1月

「病院に寄ってから出勤したいけれど、半日の休みは必要ない……」「急な迎え要請で少しだけ早く帰りたい……」、そんな育児や介護を行う労働者が子の看護休暇や介護休暇を柔軟に取得できるよう、育児・介護休業法施行規則等が改正され、時間単位で取得できるようになりました。改正のポイントは以下のとおりで、施行は2021年1月からです。


>改正前 ・半日単位での取得が可能

     ・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない


>改正後 ・時間単位での取得が可能

     ・すべての労働者が取得できる


◆制度導入におけるポイント(厚労省Q&Aより)

―「分」単位で看護・介護休暇を取得できる制度を既に導入している場合は、法を上回る内容になっているため、別途、時間単位で取得できる制度を設ける必要はない。


―時間単位での看護・介護休暇を取得する場合の「時間」は、「1日の所定労働時間数未満の時間」とし、1日の所定労働時間数と同じ時間数の看護・介護休暇を取得する場合には、日単位での看護・介護休暇の取得として取り扱う。


―「中抜け」による時間単位での取得を既に認めている場合、法を上回る望ましい取扱いであるため、改正後に「中抜け」を想定しない制度に変更する必要はない。


―フレックスタイム制度のような柔軟な労働時間制度が適用される労働者であっても、申出があった場合には、時間単位で看護・介護休暇を取得できるようにしなければならない。


―労働者にとって不利益な労働条件の変更になる場合は、労働契約法の規定により原則として労使間の合意が必要になる。


―制度の弾力的な利用が可能となるよう配慮することが求められる。


◆就業規則や社内規程の見直しも必要に

来年の施行までに、就業規則や社内規程の見直し・修正が必要になってきます。また、業務内容によっては、時間単位での休暇取得が難しい労働者がいます。その場合は、労使協定を締結することにより、その業務に従事する労働者を除外することができます。

その他に、本制度を導入し、要件を満たした事業主には、「両立支援等助成金」が支給されますので、情報収集をしておくとよいでしょう。


健康保険の被扶養者に国内居住要件が求められます 2020年 1月 8日

外国人労働者の受入れ拡大に伴い、2020年4月1日から健康保険法の被扶養者にも国内居住要件が求められることになりました。外国人労働者の母国に残された家族の疾病、負傷などについても日本の健康保険で給付を行うことになれば、保険財政を圧迫するからです。被扶養者として認められるには、原則として、日本国内に住所を有することが要件ですが、外国にいても被扶養者として認められる者や日本国内にいても被扶養者から除外される者など一定の例外がありますので、そこを整理します。


◆法律の条文(改正後の健康保険法第3条7項)

この法律において「被扶養者」とは、次に掲げる者で、日本国内に住所を有するもの又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの(※1)をいう。ただし、後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者(※2)は、この限りでない。

1号~4号  略


◆日本国内に住所を有しないが、例外的に被扶養者と認められる者

上記※1の「渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの」とは、下記の人たちをいいます。


① 外国において留学をする学生

② 日本からの海外赴任に同行する家族

③ 海外赴任中の身分関係の変更により新たな同行家族とみなすことができる者(海外赴任中に生まれた被保険者の子ども、海外赴任中に結婚した被保険者の配偶者など)

④ 観光・保養やボランティアなど就労以外の目的で一時的に日本から海外に渡航している者(ワーキングホリデー、青年海外協力隊など)

⑤ その他日本に生活の基礎があると認められる特別な事情があるとして保険者が判断する者


◆日本国内に住所を有するが、例外的に被扶養者と認められない者

上記※2の「この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」とは、下記の人たちをいいます。


① 「医療滞在ビザ」で来日した者。医療滞在ビザとは、日本において治療等を受けることを目的として訪日する外国人患者等(人間ドックの受診者等を含む)及び同伴者に対し発給されるものです。

② 「観光・保養を目的とするロングステイビザ」で来日した者(富裕層を対象とした最長1年のビザ)


なお、国民年金の第3号被保険者についても、健康保険と同じ2020年4月1日から国内居住要件が求められますが、その要件は上記※1、※2と同様に判定されます。第1号被保険者については、従来から国内居住要件がある一方で、国内にいても被保険者から除外される例外規定が新設されましたが、それは上記※2と同様に判定されます。


マイナンバーカードで旧姓併記が可能に、企業への影響は? 2019年12月20日

◆住民票、マイナンバーで旧姓併記開始

改正住民基本台帳法施行令等の施行により、11月5日から、住民票、マイナンバーカード、印鑑登録証明書、公的個人認証サービスの署名用電子証明書等に、旧姓・旧氏(きゅううじ。戸籍上、過去に記載・記録された氏のこと。以下「旧姓」で統一します)を併記することが可能になりました。

数年前から内閣府・男女共同参画局「女性活躍加速のための重点方針2016」等に盛り込まれていた政府方針が、実現したかたちです。

旧姓併記により、結婚等により姓が変わった人は、さまざまな本人確認のシーン(契約、銀行口座名義、就職・転職時……)で、証明に旧姓を用いることもできます。


◆併記の手続き

旧姓併記の希望者は、旧姓が記載されている戸籍謄本等を用意し、マイナンバーカード(通知カード)を市区町村役場に提出します。

まだマイナンバーカードを作成していない人であれば、「山田[佐藤]花子」というように、姓と名の間にカッコ書きで旧姓が併記されたカードが交付されます。


◆企業に職場の旧姓使用を認める義務はあるか

職場で旧姓を使用することについて争った裁判(日本大学第三中学・高校事件、東京地判平28・10・11)では、企業は旧姓使用を認めるよう配慮することが望ましいとしつつ、旧姓使用を認めないことは違法ではない、とされました。企業は、旧姓使用を認めなければならない法的義務までは負っていないものの、むしろ積極的に旧姓使用を認めることが有効といわれています。


◆旧姓は「使い分け」から「併記」の時代へ?

今回の旧姓併記は、主に女性が結婚後も旧姓を広く使いやすくすることを目的としたものといえます。企業実務においては、従業員の姓をシーンによって使い分けるのは珍しいことではありません(労働社保など雇用管理上の事務処理は戸籍上の姓で行い、対顧客等には広く認知されている旧姓を用いるなど)が、いずれは「使い分け」ではなく「併記」をすることが主流となるかもしれません。


【総務省「住民票、マイナンバーカード等への旧氏の記載等について」】

http://www.soumu.go.jp/main_content/000614623.pdf


来年1月からハローワーク求人票が変わります 2019年11月15日

◆ハローワークで求人する企業が再び増えている

ハローワークに登録した求人情報は、5年前から職業紹介事業を行う地方自治体や民間事業者に、オンラインで提供されています。

近年では、求職者が求人情報専門の検索サイトIndeed等を利用して、多くの情報の中からより求める条件に合致する企業を選んで応募するようになっています。

ハローワークがオンライン提供する求人情報は、こうしたサイトでもヒットする可能性があることから、ハローワークを通じた求人が見直されつつあります。


◆「人材確保対策コーナー」での求人相談も人気

厚生労働省では、2018年4月より全国84のハローワークに「人材確保対策コーナー」を設置し、介護・医療・保育の福祉人材分野と警備業、運輸業、建設業などの業種のマッチング支援を強化するため、専門相談員を配置しています。

求職者にも担当者がついて企業見学会や就職面接会などを実施しているため、求職者と密に接点を持つことができ、利用が増えているようです。


◆新しい求人票ではより多くの情報を掲載できるようになる

そうしたなか、ハローワークのシステムと求人票の様式が新しくなります。

A4判片面から両面となり、固定残業代制度、職務給制度や復職制度の有無のほか、残業・休日労働に関する労使協定(36協定)で、繁忙期等により長い労働時間を設定する特別条項を定めているかなど、登録する項目が追加されます。

また、会社や職場の写真、面接会場の地図や取扱商品の写真など、画像情報も登録できるようになるため、より内容を工夫できるようになります。


◆「マイページ」で求職者とも直接やり取りできるようになる

新しいハローワークインターネットサービスでは、会社が「マイページ」を設けて、担当者が会社のパソコンで、求人内容を変更したり募集停止をしたりすることができるようになります。

また、求職者もマイページを登録している場合には、メッセージ機能を使って直接やり取りができるようになるため、求職者からの質問等によりきめ細かな対応ができ、安心感を持ってもらえるようになります。

新サービスの運用は2020年1月6日からで、既に求人票を登録済みの会社も、情報を追加登録することができますので、なかなか応募が来ないと悩んでいる場合には、追加登録を検討してみてはいかがでしょうか。


「老後2,000万円問題」で改めて退職金制度に注目? 2019年10月13日

◆若者の間で資産形成への関心高まる

人生100年時代を迎え、退職後の収入が公的年金だけでは、老後資金が2,000万円不足するという、いわゆる「老後2,000万円問題」が大きく取り上げられたことで、自分の老後のお金に関心を持つ若者が増え、証券会社の開催する投資セミナーに多くの人が集まっているそうです。


◆日本人の5割超が現在の資産や貯蓄に不満足?

内閣府が8月30日に公表した2019年度の「国民生活に関する世論調査」結果によれば、現在の資産や貯蓄について「不満」「やや不満」と答えた人の割合は計54.3%で、前年より2.1ポイント増えました。

一方、現在の所得や収入に「不満」「やや不満」は0.8ポイント減の計45.6%で、所得や収入については3年連続で「満足派」が「不満派」を上回る結果となっています。

内閣府政府広報室によると、資産や貯蓄に関する不満が高まった理由に、「老後2,000万円問題」が影響した可能性はあるということです。


◆個人型確定拠出年金の制度見直しで「安心」をアピール?

そうしたなか、厚生労働省の社会保障審議会企業年金・個人年金部会で検討された、個人型確定拠出年金(以下、「iDeCo」という)の制度見直し案にも関心が高まっています。

同部会では、すべての会社員がiDeCoに加入できるようにするとともに、現在の60歳から65歳へと加入可能年齢を引き上げる等の見直しを含む改正法案を、来年の通常国会に提出することを目指すとしています。


◆iDeCoを活用した退職金制度で、若者の採用・定着を目指す

公的年金の所得代替率が現役世代の5割程度となることを目標として公的年金制度が運用される以上、ビジネスパーソンが老後資産の形成のため何らかの自助努力をすることは、もはや不可欠です。

上記の制度見直しでは、iDeCoのみに限らず企業型確定拠出年金についても、企業の事務負担を軽減したり導入のハードルをより低くしたりする等が検討されています。

現在、従業員数300人以下の中小企業で一時金や年金のかたちで退職給付を支給する企業の割合が年々下がっていますので、こうした見直しを機に従業員の資産形成を支援する仕組みを導入し、若者に長く安定して働いてもらえる会社という魅力をアピールできるようにしてみてはいかがでしょうか。


最低賃金の引上げと活用したい助成金 2019年 9月 5日

◆最低賃金、全国平均901円に引上げ!?

厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会で、2019年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ、公表されました(7月31日)。

今年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は27円(昨年度は26円)引き上げた901円となり、最も高い東京都は1,013円(昨年度は985円)、それに次ぐ神奈川県は1,011円(昨年度は983円)と、初めて1,000円を超えることになります。

今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議のうえ答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定、10月以降に改定されます。

引上げ額が過去最大となる予定の今回の改定は、中小零細企業に厳しい状況を強いることになり、さらなる生産性向上が課題となってきます。

そこで今回は、厚生労働省が中小企業に対する支援策として設けている助成金をご紹介します。


◆業務改善助成金

本助成金は、生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対して、その設備投資など(POSレジシステム導入よる在庫管理の短縮や、顧客・在庫・帳簿管理システムの導入による業務の効率化など)にかかった経費の一部を助成するというものです。


例:【30円コース】

引き上げる労働者数:1~3人、助成上限額:50万円

助成対象事業場:事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内、および事業場規模30人以下の事業場、助成率:4分の3

平成31年度については、受付が始まっています(申請期限は翌年の1月31日まで)。


◆その他の助成金や支援策等

その他、中小企業事業主の団体やその連合団体が、その傘下の事業主のうち、労働者を雇用する事業主の労働者の労働条件の改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組みを実施した場合に、その事業主団体等に対して助成する時間外労働等改善助成金(団体推進コース)があります。

また、厚生労働省のホームページには、上記助成金を活用し、業務の効率化や働き方の見直しなどを実施して生産性向上を実現し、最低賃金の引上げを行った事例や支援施策紹介マニュアル等が紹介されていますので、参考にしてみるとよいでしょう。


令和2年1月から労働社会保険の届出がワンストップで可能に 2019年 8月10日

◆届出の契機が同じものは1回で

労働社会保険手続のルールが変わります。健康保険、厚生年金保険、雇用保険等の適用事務に係る事業主の事務負担の軽減および利便性の向上のため、健康保険法等に基づく手続きのうち届出契機が同一のものを一つづりとした届出様式(「統一様式」)を設け、統一様式を用いる場合はワンストップでの届出が可能となります。

現在、令和2年1月1日の施行に向けて省令の整備が進められています。


◆改正の内容

次の①~④に掲げる届書については、届出契機がそれぞれ同一であることから、同一の契機で届出を要する届書の届出先を経由して届出できるものとされます。


① 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「新規適用届」、雇用保険法に基づく「適用事業所設置届」並びに労働保険の保険料の徴収等に関する法律に基づく「労働保険関係成立届」

② 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「適用事業所廃止届」並びに雇用保険法に基づく「適用事業所全喪届」

③ 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格取得届」並びに雇用保険法に基づく「資格取得届」

④ 健康保険法および厚生年金保険法に基づく「資格喪失届」並びに雇用保険法に基づく「資格喪失届」


◆「労働保険関係成立届」に関する改正省令案を諮問

上記の届出のうち「労働保険関係成立届」に関する改正省令案が去る6月、労働政策審議会に諮問されました。

その内容は、徴収法第4条の2に規定する労働保険関係成立届について、対象事業(※)の事業主が、健康保険法および厚生年金保険法上の「新規適用届」または雇用保険法上の「適用事業所設置届」に併せて提出する場合においては、年金事務所、労働基準監督署または公共職業安定所を経由して提出することができるものとする、というものです。

※本省令改正により、年金事務所、労働基準監督署または公共職業安定所を経由して届け出ることができる事業は、一元適用の継続事業(個別)とされます。

この場合において、事業主が提出する概算保険料申告書についても同様に、年金事務所、労働基準監督署長または公共職業安定所長を経由して提出することができるものとされます。

なお、今回省令案が公表されたのは保険関係成立届のみでしたが、これ以外の適用事業所の設置・廃止の届出、被保険者資格の資格・喪失の届出についても来年1月の施行に向けて順次公表されると思われます。効率化の波に乗り遅れないようにしたいですね。


協会けんぽの様式が変更になりました 2019年 7月 1日

◆新システムへの移行に伴う変更

5月末より協会けんぽの様式が一部新しくなりました。新しくなった主な様式は、次のとおりです。


・健康保険 傷病手当金支給申請書

・健康保険 出産手当金支給申請書

・健康保険 出産育児一時金支給申請書

・健康保険 出産育児一時金内払金支払依頼書・差額申請書

・健康保険 埋葬料(費)支給申請書

・健康保険 高額療養費支給申請書

・健康保険 療養費支給申請書(治療用装具)

・健康保険 療養費支給申請書(立替払等)


変更内容は、主に数字を記入する欄(金額や年月日)がマス目になったところで、機械による読み取り精度を向上するためとのことです。新様式はすぐに使用することができます。また、これまでの様式も引き続き使用できるとのことです。


◆改元に伴う変更

また、改元に伴い、様式の該当部分が新元号の令和に改められています。変更前の様式も使用できますが、その際は「平成」を二重線で消し「令和」に直した上で使用してほしいと、協会けんぽでは案内しています。

なお、任意継続保険料や医療費の返納、および情報開示手数料等にかかる納付書について、改元前に発行された「平成」表記のものは、そのままでも有効に使えます。


◆デジタルファースト時代へ

一方、5月24日に、行政手続を原則として電子申請に統一するための法律(いわゆるデジタルファースト法)が成立しました。今後、社会保険関係の手続きやマイナンバーの利用などについて、関連する法律が変更され、詳細も順次公表されるものと思われますので要注目です。

時代の流れに伴い、手続きもどんどんと変わっていきます。しかし、電子申請の時代になっても、社員からの相談・問合せに一番初めに対応するのは人事労務担当者ですから、常に最新の情報に注意しておきたいですね。


【協会けんぽ関連ページ】

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g5/cat550/sb5020/010531

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/h31-4/20190416001


雇用関係助成金の不正受給対策が強化されました 2019年 5月15日

 4月1日から改正雇用保険法施行規則が施行されました。今年も例年どおりいくつかの助成金の統廃合が行われていますが、それに加えて不正受給対策の強化が盛り込まれました。内容は以下のとおりです(通達「雇用安定事業の実施等について(平成31年3月29日職発0329第2号・雇均発0329第6号・開発0329第開発0329第58号)」から抜粋)。


◆不支給期間の延長および対象の拡大

(1) 現在、過去3年以内に偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとした事業主または事業主団体もしくはその連合団体に対して雇用関係助成金を支給しないこととしているものを、過去5年以内とする。

(2) 過去5年以内に偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとした事業主または事業主団体もしくはその連合団体の役員等(偽りその他不正の行為に関与した者に限る)が、事業主または事業主団体もしくはその連合団体の役員等である場合は、当該事業主または事業主団体もしくはその連合団体に対しては、雇用関係助成金を支給しない。

(3) 過去5年以内に雇用調整助成金等の支給に関する手続きを代理して行う者(代理人等)または訓練を行った機関(訓練機関)が偽りの届出、報告、証明等を行い事業主または事業主団体もしくはその連合団体が雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとしたことがあり、当該代理人等または訓練機関が雇用関係助成金に関与している場合は、当該雇用関係助成金は、事業主または事業主団体もしくはその連合団体に対しては、支給しない。


◆返還命令等

(1) 偽りその他不正の行為により雇用調整助成金等の支給を受けた事業主または事業主団体もしくはその連合団体がある場合には、都道府県労働局長は、その者に対して、支給した雇用調整助成金等の全部または一部を返還することを命ずることができ、また、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた雇用関係助成金については、当該返還を命ずる額の2割に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

(2) (1)の場合において、代理人等または訓練機関が偽りの届出、報告、証明等をしたため雇用関係助成金が支給されたものであるときは、都道府県労働局長は、その代理人等または訓練機関に対し、その支給を受けた者と連帯して、雇用関係助成金の返還または納付を命ぜられた金額の納付をすることを命ずることができる。


◆事業主名等の公表

都道府県労働局長は、事業主または事業主団体もしくはその連合団体が偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金等の支給を受け、または受けようとした場合等は、氏名並びに事業所の名称および所在地等を公表することができる。

今後は、より遵法意識に則った対応が必要となりそうです。


一般化するリファラル採用と、その留意点 2019年 4月10日

◆「リファラル採用」とは

リファラル採用(referral recruiting)をご存知でしょうか。いわゆる縁故採用の一種で、「自社従業員に、採用候補者を紹介してもらう採用(制度)」をいいます。

◆最新調査結果

株式会社リクルートキャリア「リファラル採用で声をかけられた人の実態調査」によれば、「リファラル採用の制度がありますか」という質問に対し、「制度があり、推進している」が48%、「制度があるが、推進していない」が23%と、回答企業の7割以上で社内制度化されています。

ほかにも、「知人の会社に誘われた人のうち、実際に選考を受けた人」が54.8%にのぼるなど、広く行われている結果となりました。「リファラル採用」という言葉が広まったのは最近のことですが、従業員(以下「紹介者」)の紹介による採用は、珍しいことではありません。

◆リファラル採用のメリット

企業にとっては、リファラル採用のメリットとして、「採用のミスマッチが起こりにくい」(紹介者が詳細に企業説明をするため)、「定着率が高い」(紹介者による入社後のアフターフォローのため)、「採用コストが低い」、「通常の採用活動では応募しないような人材を採用できる」、などが挙げられます。

一方、デメリットとしては、「不採用とした場合の、人間関係悪化」、「紹介者が退職した場合の、採用者の意欲低下」などが懸念されることがあります。

◆紹介者へのインセンティブの相場

採用に至った場合、紹介者にインセンティブ(成功報酬)を支払う場合もあります。

エン・ジャパン株式会社「リファラル採用(社員紹介)意識調査」によれば、リファラル採用実施企業の44%が、紹介者へインセンティブを支給しています。また、その支給額は「3万円から10万円」が最多(52%)とのことです。

◆インセンティブ支給の留意点

紹介者にインセンティブ支給の際は、「賃金として支払う必要がある」点に留意しましょう。「被用者で当該労働者の募集に従事するもの」に「賃金、給料その他(略)報酬」以外を支払うことは、職業安定法40条(報酬の供与の禁止)違反となるからです。


【参考】

リクルートキャリア「リファラル採用で声をかけられた人の実態調査」

https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2018/181101-01/

エン・ジャパン「リファラル採用(社員紹介)意識調査」

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2017/11266.html


2019年度からの社会保障改革の原案が明らかに 2019年 1月15日

◆3年ぶりに経済・財政再生計画を全面改定

12月6日、政府が年内に決定する経済・財政再生計画の原案が明らかになりました。

前回の策定から3年ぶりの全面改定で、今回は社会保障改革に関する項目が100近く盛り込まれるなど、大幅に増加しています。

工程表の作成は、今年6月に安倍首相が経済財政諮問会議に指示していたもので、10日の会議で案が示され、年内にも決定されます。


◆1年で雇用改革を断行

まず、2019年度は何歳になっても働ける「生涯現役」の社会づくりに取り組むと明記しています。これまで65歳以上への継続雇用年齢の引上げについて検討されてきましたが、それを踏まえて改革を進めることが盛り込まれています。11月26日の会議資料によれば、混乱が生じないよう、65歳までの現行法制度は改正を検討せず、65歳以上への継続雇用につき「一定のルールの下で各社の自由度がある法制を検討する」とされています。

さらに、高齢者や女性の就労拡大を促すため、短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大を図ることも盛り込まれています。


◆3年間で社会保障改革を

高齢者雇用の拡大と併せて、年金受給開始年齢を柔軟に選べるようにする改革、在職老齢年金制度の見直しを進めることも盛り込まれました。

さらに、マクロ経済スライドの仕組みや高所得者の年金給付の在り方についても検証するとしています。上記会議資料によれば、「年金支給開始年齢の引上げは行うべきではない」とし、「年金受給開始の時期を自分で選択できる範囲は拡大を検討する」としています。また、継続雇用年齢の引上げとともに、来夏に決定予定の実行計画において具体的制度化の方針を決定し、厚生労働省の労働政策審議会の審議を経て法律案提出を検討するとしています。


◆「人生100年時代」を見据え健康寿命を延ばす取組みも強化

政府は、中長期での社会保障費の削減に向け、健康寿命を延ばす取組みも強化します。健診や保健指導の実施率を引き上げ、メタボリックシンドローム該当者やその予備軍を2022年度までに08年度比で25%減らすことを目指すとしています。


「雇用関係助成金」の郵送受付が可能になりました! 2018年11月20日

◆郵送受付が可能に

10月1日より、「雇用関係助成金」(厚生労働省)関連書類の郵送受付が開始されました。雇用関係助成金の計画書や申請書類等の郵送が可能になったことで、事業者の利便性向上が期待されます。


◆郵送にあたっての注意点

郵送にあたっては、注意すべき点もあります。

① 郵送事故防止のため、簡易書留等、必ず配達記録が残る方法で郵送すること

② 郵送の場合、申請期限までに到達していること

③ 書類の不備や記入漏れがないよう、事前によく確認すること

原則として、提出された書類により審査が行われるため、計画書や申請書の作成方法等が不明な場合は、これまで通り、持参による窓口で受付するのがよいかもしれません。


◆書類不備防止のためにはチェックリストで確認を!

郵送受付開始に伴い、「計画届・申請書等チェックリスト」が公表されています。書類の不備を防止するためのものです。

チェックリストは各助成金共通のものと各助成金それぞれについてのものがあります。すべてエクセルデータで作成されており、「申請様式番号・様式名」「添付書類(確認書類)」「備考」「掲載URL等」が一覧になっています。

各助成金には、労働移動支援助成金や特定求職者雇用開発助成金、トライアル雇用助成金、地域雇用開発助成金、障害者雇用安定助成金、人材確保等支援助成金、キャリアアップ助成金などがあり、コースごとにチェックリストが出されています。

チェックリストは、基本的な様式や添付書類をリスト化したものであるため、「ここに掲載したもの以外であっても、都道府県労働局が審査にあたって求めた書類は提出の必要があります。」といった注意書がありますが、書類不備で不支給になることがないよう、事前にチェックリストで確認したうえで、郵送するようにしましょう。


【厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html


「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の一部改正 2018年10月25日

◆平成27年改正による「賞与に係る報酬」

厚生労働省の通知「健康保険法及び厚生年金保険法における賞与に係る報酬の取扱いについて」の中で、報酬と賞与の取扱いが定められています。大まかに言って、年間を通じて支払い回数が3回までのものは「賞与」、4回以上のものは「報酬」とされています。それぞれ「標準賞与額」、「標準報酬月額」として保険料算定の基礎にされます。

しかし、事業者の中には保険料を安くするために、特殊な賞与の支払い方をする例がありました。例えば、年間100万円の賞与を?回にわけて支払うと標準賞与額100万円として保険料が算定されますが、100万円を12分割し、6月と12月だけ多く支払い、その他の月は500円支払うとします。そうすると、その賞与は「報酬」になり、かつ「随時改訂」の規定により算定され、年間の保険料は標準賞与額によるものより安くなります。「随時改訂」が3カ月平均で求めることを逆手に取っているわけです。

これを防ぐため、平成27年改正により、1年間を通じ4回以上支払われる賞与は「通常の報酬」ではなく「賞与に係る報酬」として、1年間の支払い合計額の12分の1を報酬額とすることとされました。


◆今般の改正による「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」、「賞与」の明確化

平成30年7月30日に出された通知によると、上記の通知に下記の2点が加わりました。

① 通知にいう「通常の報酬」、「賞与に係る報酬」及び「賞与」は、名称の如何にかかわらず、二以上の異なる性質を有するものであることが諸規定又は賃金台帳等から明らかな場合には、同一の性質を有すると認められるものごとに判別するものであること。

② 通知にいう「賞与」について、7月2日以降新たにその支給が諸規定に定められた場合には、年間を通じ4回以上の支給につき客観的に定められているときであっても、次期標準報酬月額の定時決定(7月、8月又は9月の随時改定を含む。)による標準報酬月額が適用されるまでの間は、賞与に係る報酬に該当しないものとすること。

厚生労働省の示すQ&Aによると、本通知の趣旨は、従前の通知に示す取扱いをより明確化し徹底を図ることです。具体的には、

①については、諸手当等の名称の如何に関わらず、諸規定又は賃金台帳等から、同一の性質を有すると認められるもの毎に判別するものであること

②については、諸手当等を新設した場合のような支給実績のないときに、翌7月1日までの間は「賞与」として取り扱うものであること

とされています。

本通知は、周知期間を確保するため、発出から半年の周知期間を設けていますが、本通知の適用日以降に受け付けた届書から本通知による取扱いを適用することとされており、適用日前に受け付けた届書の内容を見直すことは要しないとされています。


従業員の健康情報取扱規程の策定が必要になります 2018年 9月15日

◆働き方改革法で規定

働き方改革法成立を受け、主に労働時間に関する改正が話題になっています。しかし、この法律によって変わるのはそれだけではありません。

労働安全衛生法改正により産業医や産業保健機能の強化がなされ、労働基準法改正による長時間労働抑制と両輪となって労働者の健康確保が図られるようになるのです。

具体的には、労働安全衛生法に第104条として「心身の状態に関する情報の取扱い」という規定が新設され、会社に従業員の健康情報取扱規程策定が義務づけられます。


◆規程の内容等は指針で明らかに

厚生労働省の労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会では、4月下旬から事業場内における健康情報の取扱いルールに関する議論を行い、7月25日に指針案を示しました。

案では、個人情報保護法の定めに基づき、事業場の実情を考慮して、(1)情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置、(2)情報の漏えい、紛失、改ざん等の防止のための措置、(3)保管の必要がなくなった情報の適切な消去等、について適正に運用する必要があるとして、規定すべき事項を9つ示しています。


◆衛生委員会等での策定が必要

指針案によれば、「取扱規程の策定に当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討し、策定したものを労働者と共有することが必要」としています。共有の仕方については、「就業規則その他の社内規程等により定め、当該文書を常時作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける、イントラネットに掲載を行う等により周知する方法が考えられる」としています。

なお、衛生委員会等の設置義務のない事業場については、「関係労働者の意見を聴く機会を活用する等、労働者の意見を聴いた上で取扱規程を策定し、労働者に共有することが必要」としています。


◆平成31年4月1日までに準備を進めましょう


加速する「副業・兼業」容認 2018年 8月20日

◆副業にまつわる2つの最新動向

いわゆる「多様な働き方」の1つに、「副業・兼業」(複数の企業と労働契約を結ぶ働き方)があります。今年6月、この副業にまつわる動きが2つありました。


◆副業する人の労災問題、議論開始

1つめは、厚生労働省の労働政策審議会が、副業する就業者の労災について議論を開始したことです。その主な論点は以下の2点です。

・労災保険給付……本業先・副業先の賃金の合算分を基にした給付額とするかどうか

・労災認定……本業先・副業先の業務上の負荷(労働時間等)を合わせて業務起因性の判断するかどうか

労災は、副業を容認するにあたり、どの企業も直面しうる問題です。議論の経過が注目されるところです。


◆国家公務員の副業も容認へ

2つめは、国家公務員の副業が一部容認されることです。

6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」において、「国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進める」と明記されました。ここでいう「公益的活動等」とは、特定非営利法人(NPO)等による、環境保護、教育、地方活性化等の仕事を指します。

従来、国家公務員は国家公務員法や通達により、「職務に支障が出ない活動」(大学の教員、本の執筆等)しか認められていませんでした。同様に地方公務員も、神戸市や生駒市等、認めてられている例はごく一部でした。

今回の方針決定により、公務員が副業を行うことも一般化していくかもしれません。


◆副業容認は制限とセットで

報道によれば、副業をしようとする国家公務員は、各省庁の人事担当者に届け出る必要があります。また、「副業は休日に行う」「長時間労働にならない」「副業先が政府と利害関係のある団体ではない」といった制限が設けられる見込みです。

厚生労働省「モデル就業規則」最新版(今年1月公表)においても、「労務提供上の支障がある場合」や「企業の利益を害する場合」等には、会社は副業を禁止または制限できると規定されています。

企業が副業を許可制・届出制とするにあたっては、上記のような制限を就業規則に規定しておくことが重要です。


中小企業等における生産性向上の取り組みをまとめた2冊の事例集を公表 (厚労省) 2018年 7月17日

厚生労働省は、中小企業・小規模事業者の賃金引上げを図るため、生産性向上の取り組みをまとめた2冊の事例集を作成し、公表しました。そのうちの1冊は、飲食業、宿泊業など「生活衛生関係営業」の企業に特化した、初めての事例集だということです。生産性向上のヒントが見つかるかもしれません。事例集の概要は次のとおりです。


【事例集①】

『生活衛生関係営業 生産性・収益力向上の取組事例集~賃金引上げのヒント~』

⇒ この事例集では、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受け、現在、収益力の向上に取り組んでいる企業が実施した業務効率化などの事例を紹介。

生活衛生業のうち、特に、飲食業、宿泊業、洗濯業、理美容業の事例を掲載。

<事例の例:飲食業>

●スマートフォンで確認できる動画マニュアルを導入。

●これによって、作業工程が標準化し、新規アルバイトの育成が5日程度に短縮。

●作業工程の標準化や経営分析ソフトの導入によって、営業利益が1%程度増加。


【事例集②】

『生産性向上の事例集~最低賃金の引上げに向けて~』

⇒ この事例集では、業務改善助成金*の活用事例をもとに、業務の効率化や働き方の見直しなどを行って生産性の向上を実現し、賃金の引き上げを行った中小企業・小規模事業者の事例を掲載。

*業務改善助成金……中小企業等の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金の引上げを図るための助成金。

生産性向上のための設備投資やサービスの利用などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成。


非正規の待遇格差訴訟 最高裁の初判断 2018年 6月30日

2つの事件とその判決の概要

画像:資料

1.ハマキョウレックス事件(未払賃金等支払請求事件)について

物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員の運転手が「住宅手当などが正社員にのみ支給されるのは不当だ」と訴えた裁判。

一審の地裁の判決(平成27年9月)では、通勤手当の格差のみ不合理と認めたが、二審の高裁の判決(平成28年7月)では、無事故手当や給食手当などの格差も不合理と判断。

⇒ 今回の最高裁の判決では、これまでに格差が不合理と判断された通勤手当などの4つの手当に加え、皆勤手当についても、正社員に支給しながら契約社員に支給しないのは「不合理」と判断(合理的とする高裁判決は破棄し、事実関係を精査するため同高裁に差し戻し)。

一方、住宅手当については、正社員と契約社員の間に転勤の有無など差があることを踏まえ、契約社員に支給しないのは「不合理といえない」と原告の訴えを退けた。


2.長澤運輸事件(地位確認等請求事件)

運送会社「長澤運輸」を定年後に再雇用された運転手3人が、「定年前と同じ仕事なのに給与が引き下げられたのは不当だ」と訴えた裁判。

一審の地裁の判決(平成28年5月)では、「再雇用制度を賃金コスト圧縮手段に用いるのは正当ではない」と判断。しかし、二審の高裁の判決(同年11月)では、「賃下げは社会的に容認されている」と指摘し、正当と判断(運転手側逆転敗訴)。

⇒ 今回の最高裁の判決では、正社員と非正規社員の賃金格差が不合理かどうかは、「賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」とする判断を示した。その上で、精勤手当については「相違は不合理である」と支払いを命じたが、その他の基本給や大半の手当については、3人に近く年金が支給される事情などを踏まえ、格差は「不合理ではない」として請求を退けた(精勤手当に連動する超勤手当については、事実関係を精査するため高裁に差し戻し)。


★ 個別の手当についての判断が明確になりましたが、これまでの解釈の根本的な部分を抜本的に変更するような判決ではなかったといえます。

非正規の労働者を雇用する各企業の対応としては、争いの根拠となった労働契約法20条に対する理解を深めた上で、最高裁の判断を踏まえ、今一度、個別の手当について不合理な待遇差が生じていないか確認しておく必要があるでしょう。

定年後の再雇用については、定年前の賃金から20%程度を減額することは許容されるといった結果になりました。これに胸をなでおろす企業も多いようですが、これは最低限度の対応といったところです。

人手不足の昨今、企業の中には、その対策として、積極的に定年後の待遇を見直す動きも出ています。


多様な選考・採用機会の拡大に向けた取組 厚労省が経済団体に要請 2018年 5月 7日

厚生労働省は、平成30年4月、日本経済団体連合会、経済同友会、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会に対して、多様な選考・採用機会の拡大に関する周知啓発への協力を要請しました。

この要請は、本年3月に、いわゆる若者雇用促進法に基づく指針が改正されたことと、「年齢にかかわりない転職・再就職者の受入れ促進のための指針」が策定されたことを受けて行われたものです。これらの指針の概要を確認しておきましょう。


― 多様な選考・採用機会の拡大に向けた取組に係る指針の概要 ―

<いわゆる若者雇用促進法に基づく指針の改正>

●『事業主は、ICT利活用の可能性も検討しつつ、「地域を限定して働ける勤務制度の積極的な導入」、「キャリア展望に係る情報開示」といった措置を講ずるよう努めること』などの内容を追加。

●これを受けて、指針のポイントを紹介するリーフレットも公表。

『新規学卒者等の募集・採用にあたり、「地域限定正社員制度」の導入を検討しませんか?』といった呼び掛けが行われています。

<「年齢にかかわりない転職・再就職者の受入れ促進のための指針」の策定>

●企業・労働者双方において中途採用・転職・再就職ニーズの高まりを受けて、転職・再就職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行の確立が求められていることから、そのために企業に望まれる取組を示した指針を策定。

●企業に望まれる基本事項は、主に「募集・採用」、「入社後の活躍支援」、「専門性等をもつ従業員の活躍推進」の3つに関する取組とし、その内容を示しています。

●これを受けて、指針のポイントおよび中途採用の好事例*を紹介するリーフレットも公表。

『年齢にかかわりなく、必要な人材の確保を!!』という呼び掛けが行われています。


* 好事例の例 *

画像:資料

☆詳細については、気軽にお問い合わせください。他の好事例も含めて、紹介させていただきます。


雇用保険手続にはマイナンバー記載が必須(平成30年5月~) 2018年 4月 5日

厚生労働省から、重要なお知らせとして、「雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします」という案内がされています。

平成30年5月以降は、雇用保険被保険者資格取得届などマイナンバーの記載が必要な届出等について、マイナンバーの記載がない場合には、返戻する場合があるとのことです。

省略できる場合もありますので、その内容を確認しておきましょう。


―雇用保険手続の際には必ずマイナンバーの届出をお願いします(厚労省からのお知らせ)―

画像:資料

☆ マイナンバーの届出が厳格化されることになりました。


日本年金機構における年金関係の手続でもマイナンバー(平成30年3月~) 2018年 3月 2日

日本年金機構における年金関係の手続についても、マイナンバーの利用が可能とされました(平成30年3月5日から本格的に実施)。主な変更点を確認しておきましょう。


―― 年金関係の手続等に関する平成30年3月5日からの主な変更点 ――

<届書等の記載事項への個人番号の追加>

被保険者、事業主及び受給権者が提出する届書、申請書、申出書又は請求書(以下「届書等」という。)であって、基礎年金番号を記載しなければならないこととされていたものについて、個人番号による各種手続を可能とするため、個人番号又は基礎年金番号のいずれかの記載を求めることとする。

?法令上は、「個人番号又は基礎年金番号」を記載することになっていますが、日本年金機構では、「原則、個人番号を記載してもらい、個人番号の提供が困難な場合は、引き続き基礎年金番号を用いることができる」という方針です。

<届書等の添付書類の省略>

被保険者及び受給権者が提出する届書等であって、生年月日に関する市町村長の証明書又は戸籍の抄本等を添付しなければならないこととされているものについて、日本年金機構が地方公共団体情報システム機構から届出者等に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、その添付を省略できることとする。

<氏名変更の届出等の省略>

被保険者の氏名変更、住所変更及び死亡の届出(死亡の届出は国民年金第1号被保険者及び第3号被保険者に限る。)並びに受給権者の氏名変更の届出について、日本年金機構が地方公共団体情報システム機構から被保険者及び受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、その届出を省略できることとする。

<個人番号の変更の届出>

被保険者及び受給権者は、個人番号を変更したときは、速やかに、日本年金機構に届け出なければならないこととする。なお、厚生年金保険の被保険者にあっては、個人番号の変更を事業主に申し出ることとし、当該申出を受けた事業主は、速やかに、日本年金機構に届け出なければならないこととする。

<様式の変更>

年金関係の手続で使用する様式を変更する。平成30年3月5日より原則、新様式での届出となり、旧様式での届出の場合は、別途個人番号の届出をすることとなる。

具体的には、個人番号欄の追加のほか、様式のA4縦判化、複数の様式の統合(被扶養者(異動)届と国民年金第3号被保険者関係届など)といった変更を行う。


☆ 会社から日本年金機構に提出する年金関係の届出等のために、会社が社員のマイナンバーを取得するときには、利用目的の明示と本人確認措置を行う必要があります。

今一度、マイナンバーの取扱いのルールを確認しておきましょう。

本年4月から、労働保険・社会保険における現物給与の価額が改正されます

労働保険徴収法における賃金、健康保険法・船員保険法・厚生年金保険法における報酬又は賞与について、その全部又は一部が通貨以外のもので支払われるものがある場合、その価額は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」に基づいて決定し、それに基づき、労働保険料や社会保険料を計算することになります。

この「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」の一部が、本年4月から改正されます。

画像:資料

☆ 標準報酬月額の決定・改定の際に、現物給与として処理している食事代がある企業では、必ずチェックしておく必要があります。そして、この改定について、被保険者である社員の皆様にも伝えておく必要があるでしょう。


平成30年度の雇用保険率及び労災保険率が決定 2018年 3月 2日

雇用保険率は、労使折半で負担する失業等給付の料率に、会社が負担する雇用保険二事業の料率を加えたものです。毎年度、雇用保険の状況を勘案して、一定の範囲内で変更することが可能とされていますが、本年度は、前年度と同率に据え置くこととされました。

労災保険率は、全額会社負担です。業種に応じて定められており、基本的に3年度ごとに改定されます。本年度はその改定の年度にあたり、4月から改定が実施されます。

以下で、平成30年度の雇用保険率と労災保険率に関連する事項をまとめておきます。

画像:資料


●平成30年度の労災保険率の改定

労災保険率は、平成30年度から、全業種平均で1,000分の0.2引き下げられます(平均「1000分の4.7」→「1,000分の4.5%」)。業種別にみると、引き上げ=3業種、据置き=31業種、引き下げ=20業種となっています。改定されるのは全業種中の4割程度です。

○改定された業種の例

・既設建築物設備工事:1,000分の15― 改定 ? →1,000分の12

・清掃、火葬又はと畜の事業:1,000分の12― 改定 ? →1,000分の13

・倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業:1,000分の7― 改定 ? →1,000分の6.5

・卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業:1,000分の3.5― 改定 ? →1,000分の3

○改定されなかった業種の例(各率を据え置き)

・通信業、放送業、新聞業又は出版業:1,000分の2.5

・金融業、保険業又は不動産業:1,000分の2.5

・その他の各種事業:1,000分の3

<関連事項……労働保険料の被保険者負担分の控除及び年度更新>

① 雇用保険料の被保険者負担分は、被保険者に給与や賞与を支払う都度、その給与等に応じた額を計算し、その給与等から控除します。

② 年1回(毎年6月1日~7月10日)の年度更新の際には、1年度の給与等の支払総額に雇用保険率(被保険者負担+事業主負担分)と労災保険率を掛けて、その額を申告・納付します(前年度分の確定額と当年度分の概算額を計算し、差額を精算)。

☆ 雇用保険に関する保険料のうち、雇用保険二事業に充てる部分は、その全額を事業主の方々が負担しています(上記の「雇用保険率の負担の内訳」参照)。保険料を負担しているわけですから、活用できる助成金があるのなら、活用をご検討ください。

助成金についても、平成30年度に向けた新しい情報が徐々に公表されることになると思います。必要なものについては、適時お伝えするようにします。


4月施行!「改正障害者雇用促進法」のポイント 2018年 2月 8日

◆民間企業の雇用障害者数が過去最高に

昨年12月12日、厚生労働省より「平成29年 障害者雇用状況の集計結果」が発表され、民間企業における雇用障害者数(49万5,795人、前年比4.5%)、実雇用率(1.97%、前年比0.05ポイント上昇)がともに過去最高を更新したことがわかりました。

今年4月には「改正障害者雇用促進法」が施行される予定となっており、障害者雇用に対する関心はますます高まっていきそうです。


◆改正の内容

4月から施行される改正のポイントは以下の通りです。

(1)法定雇用率の引上げ

事業主は、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用することが義務付けられていますが、その率が、民間企業については現行の「2.0%」から「2.2%」に引き上げられます。

また、今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が「従業員50人以上」から「従業員45.5人以上」に変更されます(短時間労働者は1人を0.5人としてカウント)。

なお、平成33年4月までにはさらに「2.3%」への引上げが予定されています。

(2)法定雇用率の算定基礎の見直し

法定雇用率の算定基礎の対象は、これまで「身体障害者」および「知的障害者」に限られていましたが、新たに「精神障害者」が追加されます。

なお、昨年12月22に開催された「第74回 労働政策審議会障害者雇用分科会」において、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案が示され、精神障害者である短時間労働者に関するカウント方法に以下の特例措置が設けられることが明らかになりました。


【特例措置の内容】

精神障害者である短時間労働者であって、新規雇入れから3年以内の者または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者に係る雇用率のカウントにおいて、平成35年3月31日までに雇い入れられた者等については、1人をもって1人とみなす(現行は1人をもって0.5人とみなしている)こととする。


◆今後の企業の対応は?

法定雇用率の引上げ等が行われることから、各企業においては、今後どのように障害者雇用に向き合っていくのかが問われることになりそうです。


1月から「専門実践教育訓練給付金」が拡充されます 2018年 1月10日

◆最大で受講費の7割、年間56万円を給付

厚生労働省は、2018年1月より、「専門実践教育訓練給付金」の支給額と支給対象者を拡大します。

雇用保険の被保険者を対象に、支給率については受講者が支払った教育訓練経費の50%(資格取得等した場合はさらに20%上乗せして合計70%)とし、上限額も年間40万円(資格取得等した場合は年間56万円)とするものです。

社会人の学び直しを後押ししつつ、成長分野の人材を増やすねらいです。


◆支給対象は支給要件期間10年から3年に短縮

専門実践教育訓練給付金の支給対象者は現在、「雇用保険の被保険者のうち、支給要件期間が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」、「雇用保険の被保険者であった人のうち、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、かつ支給要件期間が10年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)ある人」となっています。

これを、来年1月以降に受講開始する専門実践教育訓練を対象に、上記の支給要件期間を10年以上から3年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受けようとする人は2年以上)に短縮します。


◆「教育訓練支援給付金」も拡充

失業中の人に支給する「教育訓練支援給付金」についても拡充し、来年1月以降に受講開始する専門実践教育訓練からは、45歳未満の離職者のうち一定の要件を満たす人には、基本手当日額に相当する額の80%が支給されることとなります。


◆支給対象講座や一般教育訓練給付金も拡充へ

IT等の分野で活躍する人材を増やすため、2018年度から経済産業省が新たに認定する講座や、文部科学省が2019年度から導入を目指している「専門職大学」なども新たな給付の対象とします。

このほか、一般教育訓練給付についても対象の講座拡大や助成率の引上げを来夏にかけて検討していくことにしています。


来年1月から労働者の募集や求人申込みの制度が変わります! 2017年12月18日

◆3月に改正法が成立

平成29年3月31日に職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。職業安定法の改正については、平成29年4月1日、平成30年1月1日、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日の3段階で施行されます。

今回は、来年1月1日から施行される、労働者の募集や求人申込みの制度の主な変更点についてご紹介いたします。


◆労働条件の明示について

ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、業務内容や契約期間、就業時間、賃金といった労働条件を明示することが必要ですが、今回の改正で、当初の労働条件に変更があった場合、その確定後、「可能な限り速やかに」、変更内容について明示しなければならなくなりました。

面接等の過程で労働条件に変更があった場合は、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要になります。


◆最低限明示しなければならない労働条件等

労働者の募集や求人申込みの際には、書面の交付によって明示しなければならない労働条件が定められていますが、今回の改正で、「試用期間」、「裁量労働制(採用している場合)」、「固定残業代(採用している場合)」、「募集者の氏名または名称」、「雇用形態(派遣労働者として雇用する場合」)の明示が追加事項とされました。


◆変更明示の方法

以下のような場合には、変更の明示が必要となりました。

(1)「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合

例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月

(2)「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合

例)当初:基本給25万円~30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月

(3)「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合

例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月

(4)「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合

例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月

なお、変更内容の明示については、「変更前と変更後の内容が対照できる書面を交付する」、「労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したり脚注を付けたりする」など、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。


「労働時間等設定改善指針」「育児・介護休業指針」が改正されました 2017年11月20日

◆10月1日より適用

年次有給休暇や子の看護休暇・介護休暇を取得しやすい環境整備を推進するため、「労働時間等設定改善指針」および「育児・介護休業指針」が改正され、10月1日より適用されています。

いずれも企業に対して義務を課すものではありませんが、「配慮」等が求められていますので、それぞれのポイントをご紹介いたします。


◆「労働時間等設定改善指針」の改正点

<ポイント1>

「地域の実情に応じ、労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮すること」が盛り込まれました。

<ポイント2>

「公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者について、公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討すること」が盛り込まれました。

<ポイント3>

「仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間を短縮すること、年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について、事業場の実情を踏まえ検討すること」が盛り込まれました。


◆「育児・介護休業指針」の改正点

「子の看護休暇及び介護休暇について、労使協定の締結をする場合であっても、事業所の雇用管理に伴う負担との調和を勘案し、当該事業主に引き続き雇用された期間が短い労働者であっても、一定の日数については、子の看護休暇及び介護休暇の取得ができるようにすることが望ましいものであることに配慮すること」が盛り込まれました。


従業員が「iDeCo」に加入する際に事業主が行わなければならない事務手続とは? 2017年10月11日

◆改正を契機に加入者数が増加

今年1月からの改正確定拠出年金法の施行により、個人型確定拠出年金(通称:iDeCo)は、基本的に20歳以上60歳未満のすべての方が任意で加入できるようになりました。

この改正により、今年に入ってから加入者が大幅に増加しており、平成29年6月時点における加入者数は54万9,943人(前年同期比203.8%)となっています。


◆iDeCoの仕組み

iDeCoは、公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金の1つであり、加入者の老後の所得確保の一助となる制度です。

加入者が自ら定めた掛金額を拠出・運用し、原則60歳以降に、掛金とその運用益の合計額をもとに給付額が決定し、給付を受ける仕組みとなっています。


◆事業主が行わなければならない事務手続は?

企業で働く従業員がiDeCoに加入する際、事業主が行わなければならない事務手続が発生しますが、そのポイントは以下(1)~(5)の通りです。

厚生労働省では、従業員がiDeCoへの加入を希望した場合に速やかに加入できるよう、事業主への協力を呼びかけています。

(1) 事業所登録

加入者となる従業員(2号被保険者)を使用する事業所は、国民年金基金連合会(国基連)に事業所登録を行います。

(2) 事業主証明書の記入

加入を希望する従業員から提出される事業主証明書に必要事項を記入します。

(3) 事業主証明(年1回)

年に1回、国基連が加入申出時に得た情報をもとに、加入者の勤務先に資格の有無の確認を行いますが、その際に事業主の証明が必要となります。

(4) 事業主払込の場合の掛金納付

加入者が事業主払込を希望する場合、事業主から国基連に掛金を納付します。

(5) 年末調整

所得控除があるため、加入者が個人払込を選択した場合は年末調整を行います。


最低賃金引上げ額は「平均25円」で過去最大の上げ幅に! 2017年 9月15日

◆引上げ額は全国平均で25円

7月27日に開催された厚生労働省の第49回中央最低賃金審議会において、今年度(平成29年度)の地域別最低賃金額改定の目安が公表されました。

今年度の引上げ額の全国加重平均は25円(昨年度24円)、改定額の全国加重平均額は823円(同798円)となっています。


◆全都道府県で20円を超える目安額に

各都道府県に適用される目安のランクは以下のようになっています(都道府県の経済実態の応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を示しています)。

【各都道府県に適用される目安】

・Aランク(引上げ額26円)…埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪の6都府県

・Bランク(引上げ額25円)…茨城、富山、長野、静岡、京都、広島など11府県

・Cランク(引上げ額24円)…北海道、宮城、群馬、新潟、岐阜、山口など14道県

・Dランク(引上げ額22円)…青森、岩手、福島、鳥取、長﨑、鹿児島、沖縄など16県

全都道府県で20円を超える目安額となっており、引上げ率は昨年度と同じ3.0%です。


◆改定は10月から

今後、各地方最低賃金審議会において上記の目安を参考にしつつ、それぞれの地域における賃金実態調査などを踏まえて、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定します(10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定です)。

上記の目安額通りに最低賃金が決定されると、最低賃金が時給で決まるようになった平成14年以降、過去最高額となる引上げとなります(昨年度は18円)。


平成28年度「技能検定」の実施状況と資格取得のメリット 2017年 8月18日

◆「技能検定」合格者は30万人

厚生労働省が公表した平成28年度の「技能検定」の実施状況の調査結果によると、平成28年度の技能検定は受験申請者数75万7,380人(前年度比7.3%増)のうち、合格者数は30万3,544人(同10.5%増)で合格率は40.1%(前年度38.9%)だったことが明らかになりました。

技能検定は、仕事に必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、試験に合格すると「技能士」を名乗ることができます。


◆「ファイナンシャル・プランニング」が一番人気

この技能検定制度は昭和34年にスタートし、これまでに延べ約632万人が技能士になっており、職種は現在、126職種あります。

最も受験申請者数が多い職種は「ファイナンシャル・プランニング(FP技能検定)」で46万2,304人(合格者数は13万6,035人)で、続いて多かった職種が「機械保全」「機械加工」「知的財産管理」「金融窓口サービス」となっています。


◆技能検定に合格すると助成金が出ます!

会社は技能検定制度を活用するメリットとして、「人材開発支援助成金(職業能力検定制度導入コース)」を受けられることが挙げられます。

この助成金は、正社員が業務に関連する技能検定に受験し合格すると報奨金を支給する制度を導入することで受給することができます(正社員の数によって必要な合格者数は異なります)。


◆今秋から受験料が一部減額

厚生労働省は、今年の秋にも「モノづくり分野」の技能検定の受検料の減額を実施する予定です。減額は35歳未満の受験申請者を対象に実施し、「機械加工」や「電子機器組み立て」、「工場板金」「ウェブデザイン」など約100職種の実技試験で最大9,000円割り引くとしています。

これは近年の製造業において、若年層の就業者数が減少傾向であるため、モノづくりを担う人材の確保につなげるためです。

社員の人材育成とキャリア形成のために、技能検定の活用を勧めてみてはいかがでしょうか。


改正育介法が10月より施行、育児休業期間が延長されます! 2017年 7月25日

◆10月1日施行!

今年10月1日から「改正育児・介護休業法」が施行されますが、今回の改正により、保育園などに入れない場合の育児休業期間が最長2歳まで延長可能となりました。


◆「1歳6カ月まで」が「2歳まで」に

現在の育児休業期間は、原則、子が1歳になるまでですが、保育園に入れないなどの場合は1歳6カ月まで延長することができます。

それが今回の改正により、1歳6カ月までの育児休業を取得してもなお、雇用継続のために、子が1歳6カ月に達した後に休業することが必要と認められる特別の事情があるときは、従業員から申し出ることにより、最長2歳に達するまで再延長することが可能となりました。

例えば、12月で1歳6カ月までの育休が終わってしまうのに保育園に入れないという場合でも、比較的保育園に入りやすい4月まで育休を取得できるようになれば、やむを得ず退職するということが防げるようになります。

延長が認められるのは、保育園へ入ることができない場合だけでなく、子の養育を行っている配偶者が病気等により子を養育することが困難になった場合なども対象です。

2歳までの育児休業の申出は、1歳6カ月到達日の翌日を育児休業開始予定日としなければならないこととされていることから、遅くとも1歳6カ月到達日の翌日の労務提供開始時刻までに行わなければなりません。

なお、今回の改正に伴い、育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。


◆その他の改正事項

今回の改正では、上記以外にも、いずれも事業主の努力義務ではありますが改正がなされました(10月1日施行)。

(1)子どもが生まれる予定の方などに育児休業等の制度などをお知らせ

従業員やその配偶者が妊娠・出産をしたこと等を知った場合、事業主はその方に個別に育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件等)を知らせるよう努めなければなりません。

(2)育児目的休暇の導入を促進

未就学児を育てている従業員が子育てしやすいよう、事業主は、育児に関する目的で利用できる休暇制度(例えば、配偶者出産休暇、子の行事参加のための休暇等)を設けるよう努めなければなりません。


6月から見直しが実施される「産業医の役割」 2017年 6月 1日

◆報告書の公表と省令改正

近年、メンタルヘルス対策や過重労働対策等、労働者の健康確保対策の重要性が増しているところですが、それに伴い「産業医」に求められる役割が変化し、ストレスチェックをはじめとして対応すべき業務も増加しています。

このような状況の中、昨年12月に「産業医制度の在り方に関する検討会報告書」がまとめられ、それを受けて厚生労働省が今年3月に産業医の役割等に関する省令の改正を行い、6月1日より施行されることとなっています。

企業の実務にも影響を与えることとなりますので、改正の内容を紹介いたします。


◆改正の内容

(1)健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供

事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行ううえで必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならないこととする。

(2)長時間労働者に関する情報の産業医への提供

事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名および当該労働者に係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないものとする。

(3)産業医の定期巡視の頻度の見直し

少なくとも毎月1回行うこととされている産業医による作業場等の巡視について、事業者から毎月1回以上産業医に所定の情報が提供されている場合であって、事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2月に1回とすることを可能とする。


◆「働き方改革」における位置付けは?

ストレスチェック制度の開始(2015年12月)で改めて注目を集めることとなった産業医。

今年3月公表の『働き方改革実行計画』に盛り込まれた「病気の治療と仕事の両立」の項目の中でも、“産業医の役割の重要性と機能強化”や“産業医が効果的な活動を行いやすい環境整備”がポイントとされており、今後ますます「産業医の役割」に注目が集まりそうです。


「技能実習」に関する改正法が11月施行 ~介護職種を追加するとともに監督を強化 2017年 5月12日

◆外国人技能実習機構を新設へ

政府は、外国人技能実習制度の範囲に「介護職」を加えるとともに、制度に基づき日本国内の企業や農家で働く外国人への人権侵害に対する罰則を設け、受け入れ先への監督を強化する技能実習適正化法の施行日を11月1日と定める政令を閣議決定しました。

受け入れ先の企業が今年1月に新設された認可法人「外国人技能実習機構」に実習計画を提出し、認定を受ける新制度が始まります。

また、政府は、外国人の在留資格に「介護」を新設する出入国管理及び難民認定法の改正法を9月1日に施行することも決めました。


◆実習生の増加とともに違法就労も拡大

「外国人技能実習制度」は、海外に日本の技術を伝える国際貢献を目的として、1993年に始まりました。

安倍政権は製造業などでの人手不足を補うために受け入れを進め、5年ほど前の15万人程度から、昨年6月末時点では過去最多の21万人に達しています。

ただ、低賃金で長時間労働を強いる「安価な労働力」となっているという批判もあり、長時間労働など労働基準法に違反する職場や、労災事故が増加している現場に対しての監督強化も課題となっていました。


◆受け入れ対象は拡大、違法就労への監督は強化し罰則も

施行される法律のポイントは、以下の通りです。

(1)実習生の受け入れ先を監督する外国人技能実習機構を新設する

(2)実習生ごとに実習計画をつくり、機構が内容をチェックする

(3)実習生の人権を侵害する行為への罰則を設ける

(4)実習生の受け入れ期間を最長3年から5年に延長する

受け入れ先の企業や団体を監督する「外国人技能実習機構」を新設し、受け入れ先は機構に実習計画を示し、認定を受けることが求められます。


◆入管法等の改正も9月に施行

また、改正入管法を9月に施行し、介護の現場で外国人がより多く働けるようにするため「介護」の在留資格を新たに設け、日本で介護福祉士の資格を得た人が対象となります。

一方、技能実習生として入国してまもなく実習先から逃亡し不法滞在する事例も増えているため、在留資格の偽装の取締り策を強化し、違反者には懲役や罰金が科されるようになります。


申請受付が始まった「勤務間インターバル」導入助成金 2017年 4月10日

◆最大50万円支給

2月15日より、中小企業事業主を対象とした「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」の申請受付がスタートしました。

本助成金は、過重労働の防止および長時間労働の抑制に向け、勤務間インターバル(休息時間数を問わず就業規則等において終業から次の始業までの休息時間を確保することを定めているもの)の導入に取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部(最大で50万円)を助成するものです。


◆支給対象事業主は?

支給対象事業主は次の通りです(その他、資本・出資額や労働者数に関する要件があります)。

(1)次のアからウのいずれかに該当する事業場を有する事業主であること

ア. 勤務間インターバルを導入していない事業場

イ. すでに休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入している事業場であって、対象となる労働者が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場

ウ. すでに休息時間数が9時間未満の勤務間インターバルを導入している事業場

(2)労働時間等の設定の改善を目的とした労働時間の上限設定に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できる事業主であること


◆支給対象となる取組み

以下の取組みのうち、いずれか1つ以上を実施する必要があります(原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません)。

(1)労務管理担当者に対する研修

(2)労働者に対する研修、周知・啓発

(3)外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング

(4)就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の整備など)

(5)労務管理用ソフトウェアの導入・更新

(6)労務管理用機器の導入・更新

(7)その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新

なお、支給対象となる取組みは、「成果目標」として、事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入することを目指して実施することが求められています。


◆申請受付期限は?

都道府県労働局への申請受付は12月15日が締切日となっていますが、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、それ以前に受付が締め切られる場合があります。


2017年度から年金額等が変わります! 2017年 3月 6日

◆支給額は3年ぶりの減額

2017年度の年金額が「前年度比0.1%引下げ」と発表されました。

総務省が発表した「平成28 年平均の全国消費者物価指数」が前年から0.1%下落したことが年金額に反映されたものであり、3年ぶりの改定です。

なお、「マクロ経済スライド」はデフレ時には見送るという規定があり、2016度に引き続き適用されません。

2017年度の国民年金の支給額は、満額で月6万4,941円(前年度比67円減)、厚生年金の支給額は、会社員だった夫と専業主婦のモデル世帯(40 年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合)で月22万1,277円(同227円減)となります。


◆国民年金保険料、在職老齢年金は?

2017年度の国民年金保険料(月額)は16,490円(前年度比230円引上げ)です。

2004年(平成16年)の改正で保険料を毎年280円ずつ引き上げることが定められ、2017年度はその上限(16, 900円)の年度となり、同年度以降は16,900円で固定されるはずですが、前年の物価変動率や実質賃金変動率によって増減されます。

在職老齢年金は、60 歳台前半(60 ~64 歳)の支給停止調整変更額と60 歳台後半(65 ~69 歳)と70 歳以降の支給停止調整額については46 万円(前年度比1万円減)に改定となります。

また、60 歳台前半(60~64歳)の支給停止調整開始額(28 万円)は前年度と同額です。


◆「年金額の改定ルール」の見直し

昨年12月の臨時国会で成立した「年金制度改革関連法」には、年金支給額を賃金に合わせて引き下げる新しいルールが盛り込まれました。

この新ルールでは、現役世代の負担を重視し、物価が上がった場合でも現役世代の賃金が下がれば年金支給額を減らす仕組みで、2021年度からの実施となります。


「くるみん認定」に残業時間規制等の要件を追加へ 2017年 3月 1日

◆従来は認定要件に残業時間の規制はなし

厚生労働省は、電通に勤めていた女性社員が自殺し、労災認定された問題を受けて、従業員にとって子育てをしやすい企業を示す「くるみん認定」に、残業時間規制の要件を加えることとしました。

「くるみん」は、企業が一般事業主行動計画を策定し、そこに定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした場合に「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けることができるものです。

この認定を受けると、企業は「くるみんマーク」を商品や名刺、求人広告につけることができ、イメージ向上に活用できますが、従来の認定基準には残業時間の規制がありませんでした。


◆認定基準を見直しへ

昨年秋、違法な長時間労働等が原因で女性社員が自殺した電通が「くるみん認定」を取得していたことが問題になり、同社は昨年11月に認定を辞退し、厚生労働省は認定基準の見直しを発表しました。

その内容は、2017年度からはすべての従業員が1年間の月平均で残業時間が60時間未満であることを要件にし、残業時間は80時間未満としていた「プラチナくるみん」の残業時間の基準も60時間に見直すというものです。


◆男性の育休取得率も新たな要件に

また、男性の育休取得率が10%程度であることも新たに要件にします。

従来は男性の育休取得者が1人でもいれば認定を受けられましたが、要件を見直し、男女の別なく子育てのしやすい企業を認定しようという方向です。


◆従来の認定企業も見直しへ

上記の新基準は、2017年度から導入されます。

要件の変更により、これまで認定を受けていた企業の一部は認定を見直さざるを得ない可能性もあります。


500人以下の企業でも「パートへの社保適用」が可能に! 2017年 2月20日

◆4月から実施

今年4月1日より、従業員500人以下の企業における短時間労働者にも社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用が可能となります。

これは、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」の成立(平成28年12月26日公布)を受けたものです。

すでに昨年10月から、従業員501人以上の企業では短時間労働者への社会保険適用拡大が実施されていますが、4月以降は500人以下の企業においても「労使の合意に基づき企業単位で適用拡大」が可能となります。


◆適用となる短時間労働者について

勤務時間・勤務日数が常用雇用者の4分の3未満で、(1)週の労働時間が20時間以上であること、(2)雇用期間が1年以上見込まれること、(3)賃金の月額が8.8万円以上であること、(4)学生ではないこと、のすべてに該当すれば適用の対象となります。


◆適用要件である「労使の合意」について

従業員500人以下の企業への社会保険の適用については、使用者が社会保険の適用を望み、労働者がこれを承諾することで成立します。

具体的には、労働者の過半数で組織する労働組合の同意、もしくは労働者の過半数を代表する者の同意または労働者の2分の1以上の同意が必要となります。


◆適用拡大によるメリット・デメリット

企業にとっては、保険料負担によるコスト増が大きな問題になるかと思いますが、社会保険の加入は、従業員にとって将来の年金額アップはもちろん、傷病手当金制度など健康保険の給付も充実します。

社会保険の適用により、人材確保や従業員のモチベーションのアップ、企業としての社会的評価や信頼性にもつながっていくと思われます。


「65歳以上の労働者」も雇用保険の適用対象となりました! 2017年 1月25日

◆雇用保険法の改正

昨年、雇用保険法が改正され、2017年1月から雇用保険の適用対象が「65歳以上の労働者」にも拡大されました。

65歳以上の労働者については、これまで高年齢継続被保険者(65歳に達した日の前日から引き続いて65歳に達した日以後の日において雇用されている被保険者)となっている場合を除き、雇用保険の適用除外となっていましたが、この1月からは「高年齢被保険者」として適用対象となりました。


◆会社が必要な手続きは?

1月以降、新たに65歳以上の労働者を雇用し、雇用保険の適用要件(1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがあること)に該当する場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険 被保険者資格取得届」を提出する必要があります(提出期限:被保険者となった日の属する月の翌月10日)。

また、平成28年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し1月以降も継続して雇用している場合も同様の扱いとなりますが、この場合には提出期限の特例があり、今年3月末までに資格取得届を提出すればよいこととなっています。

なお、平成28年12月末時点で高年齢継続被保険者である労働者を1月以降も継続して雇用している場合は自動的に高年齢被保険者に被保険者区分が変更されるため、ハローワークへの届出は必要ありません。


◆保険料の徴収は?

65歳以上の労働者について、雇用保険料の徴収は「平成31年度まで免除」となっています。


◆各種給付金の支給について

1月以降、65歳以上の労働者は雇用保険の適用対象となったため、高年齢被保険者として離職した場合、受給要件を満たすごとに高年齢求職者給付金が支給されます。

育児休業給付金・介護休業給付金・教育訓練給付金についても、それぞれの要件を満たせば支給されます。


厚労省のポータルサイト「スタートアップ労働条件」を活用して労務管理等の問題点を診断! 2016年12月26日

◆ウェブ診断「スタートアップ労働条件」とは?

厚生労働省は、事業場の労務管理・安全衛生管理について問題がないかをウェブ上で診断できるポータルサイト「スタートアップ労働条件」を11月1日より開設しました。

このサイトでは「労働条件の明示」や「時間外・休日労働協定の締結の有無」、「労働災害を防止するための安全管理者の選任」などの問題点を診断することできます。

これから起業する事業場はもちろんですが、現在の自社の労働条件等に問題がないかをチェックするのにも活用することができます。

診断結果に基づき、改善に向けた労働関係法令の情報が表示されるようになっていますので(法令の基礎知識や遵守すべき事項、手続き・届け出方法等)、ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。


◆主な診断内容は?

以下の項目について、自社の診断状況を診断します。

(1)募集、採用、労働契約の締結

(2)就業規則、賃金、労働時間、年次有給休暇

(3)母性保護、育児、介護

(4)解雇、退職

(5)安全衛生管理

(6)労働保険、社会保険、その他


◆どうやって診断するの?

厚生労働省の事業者のための労務管理・安全衛生管理診断サイト(「スタートアップ労働条件」https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/)にアクセスします。

サイト内は「ゲストユーザー用」と「登録ユーザー用」とに分かれおり、ゲストユーザーは40問(所要時間約15分)、登録ユーザーは54問(所要時間約20分)のすべての設問に答えると、診断結果がレーダーチャートに表示されます。

カテゴリごとの得点や各設問についての解説などを確認することができ、2回目以降の診断では前回の結果と比較することができる機能も付いています。


マタハラ防止策を講じない企業の求人はハローワークで不受理に 2016年12月15日

◆来年1月施行

厚生労働省は、昨年10月から順次施行されている若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)に基づき、マタニティー・ハラスメント(マタハラ)に対して、男女雇用機会均等法で義務付けた防止措置を講じない企業の求人をハローワークで受理しないように制度を改めます。

政令を改正して、来年1月から施行されます。


◆求人不受理の対象に「マタハラ」を追加

ハローワークでは今年3月から、一定の労働関係法令の違反があった事業所を新卒者などに紹介することのないよう、こうした事業所の新卒求人を一定期間受け付けない仕組みを創設しています。

具体的には、労働基準法・最低賃金法については、(1)1年間に2回以上同一条項の違反について是正勧告を受けている場合、(2)違法な長時間労働を繰り返している企業として公表された場合、(3)対象条項違反により送検され公表された場合、また男女雇用機会均等法と育児・介護休業法については、法違反の是正を求める勧告に従わず公表された場合等に、当該企業の新卒求人を受理しない取り組みを始めています。

今回は、その不受理の対象に、「マタハラ」に関する規定を加えるというものです。


◆両立支援で女性の社会進出を後押し

男女雇用機会均等法は、女性従業員の妊娠や出産を理由に職場で不利益な扱いをされることがないように、相談窓口を設置するなど防止体制を整備するように求めています。

厚生労働省の調査で法違反が見つかれば、是正を求める勧告を行いますが、それにも従わずに企業名が公表された場合には求人を受理しないこととします。不受理となる期間は、違反が是正されてから6カ月が経過するまでの期間となります。

育児と仕事を両立させる環境整備を企業に促し、女性の社会進出を後押しする狙いです。


◆就労実態等の職場環境に関するデータベースも整備

また、厚生労働省では、残業時間や育休の取得率など企業の職場環境に関する様々な情報を集めたデータベースを整備する計画です。

若者がいわゆる「ブラック企業」へ就職してしまうことを防ぐために、労働条件などの的確な情報に加えて、平均勤続年数や研修の有無・内容といった就労実態等の職場情報も併せて提供し、職場情報についての開示を強化するように企業側に働きかけ、学生や転職を考えている人がそうした企業に就職することを未然に防ごうというものです。


「定年後再雇用者の賃金減額」をめぐる裁判で会社側が逆転勝訴 2016年11月30日

◆東京地裁から東京高裁へ

今年5月、東京地裁において、定年後に1年ごとの契約で嘱託社員として再雇用された複数の労働者(トラックドライバー)の職務内容が定年前と変わらないにもかかわらず、会社(長澤運輸)が賃金を約3割引き下げたこと(正社員との賃金格差)は労働契約法第20条の趣旨に反しており違法との判決がありました。

賃金格差について同条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)の違反を認めた判決は過去に例がなく、「通常の労働者と定年後再雇用された労働者との不合理な格差是正に大きな影響を与える画期的な判決である」との評価もあり、人事労務担当者にとっては大きなインパクトのある判決として受け止められました。

その後、会社側が控訴していましたが、11月2日にその判決が東京高裁でありました。


◆控訴審における判断は?

控訴審判決において、裁判長は「定年後再雇用での賃金減額は一般的であり、社会的にも容認されている」とし、賃金の引下げは違法だとして差額の支払い等を命じた東京地裁判決を取り消し、労働者側の訴えを棄却しました。

労働者側の弁護士は、「減額が一般的であるとしても通常は職務内容や責任が変わっており、社会的に容認とする根拠は何もない」として、上告する方針を示しています。


◆賃金の設定には慎重な判断が必要

最高裁まで進む可能性があるため、司法における最終的な判断がどのように確定するのかは不明ですが、「控訴審の判断が妥当」と見る向きが多いようです。

しかし、この事件が定年後再雇用者の処遇についてのこれまでの常識(当然のように賃金の引下げを行うこと)について一石を投じたことには間違いはなく、最終的な結論がどちらに転んだとしても、今後、会社としては「定年後再雇用者の処遇」については慎重な判断が求められると言えるでしょう。


増加する「介護離職」の防止を支援するための助成金 2016年10月28日

◆「介護離職」が増加しています!

近年、親族などの介護を理由に離職を余儀なくされる労働者が増えています。

このいわゆる「介護離職」は、企業にとっては重要な働き手を失ってしまうというマイナス面、労働者にとっては収入を失ってしまう(転職しても年収がダウンしてしまうケースが多い)というマイナス面があり、国や厚生労働省でも「いかに介護離職を減らすか」ということに力を入れています。


◆2つの助成金の概要

今年度より、介護離職の防止を支援するための施策として、両立支援等助成金のメニューに『介護支援取組助成金』が加えられました。

この助成金は、労働者の仕事と介護の両立に関する取組みを行った事業主に対して助成を行うもので、具体的には、厚生労働省が作成している「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」に基づく取組み(仕事と介護の両立に関するアンケート調査実施、制度設計・見直し、介護に直面する前の労働者に対する社内研修・制度周知、介護に直面した労働者のための相談窓口の設置・周知、働き方改革など)を行った企業に60万円が支給されるものです(1企業1回のみ)

さらに、仕事と介護の両立に資する職場環境整備に加え、労働者の円滑な介護休業の取得・職場復帰や介護のための時差出勤制度などを実現した事業主に対して助成を行う『介護離職防止支援助成金(仮称)』が創設される予定です(9月下旬に召集される臨時国会で二次補正予算が成立した場合)。


◆「ダブルケア」の問題も発生

最近は介護を行うだけでなく、介護と同時に育児も行わなければならない「ダブルケア」の問題も発生しており、約25万人(女性約17万人、男性約8万人)がダブルケアを行っているとの調査結果が出ています(4月に発表された内閣府男女共同参画局「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」)。

現在、人手不足・人材不足が経営上の大きな課題となっており、企業としては、育児・介護等、プライベートで様々な問題を抱えている労働者をいかに辞めさせないかについて、真剣に考えなければならない時期に来ていると言えるでしょう。


「業務改善助成金」「キャリアアップ助成金」が拡充されます! 2016年10月15日

◆第二次補正予算による措置

平成28年度の第二次補正予算案が8月下旬に閣議決定されました。

最低賃金引上げのための環境整備として、経営力強化・生産性向上に向けて、中小企業・小規模事業者への支援措置を推進・拡充する国の方針を踏まえ、予算案には「業務改善助成金」および「キャリアアップ助成金」等の助成額等の拡充などが盛り込まれています。


◆「業務改善助成金」の拡充内容

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するというものです。

これまでは事業場内最低賃金が800円未満の事業場を対象としていましたが、1,000円未満の事業場にも対象が拡充されました。また、大幅な事業場内最低賃金の引上げ(90円以上)を行う事業場に対する助成措置が新たに新設されます。

なお、拡充後の本助成金の支給は、第二次補正予算の成立が条件となりますが、申請自体は予算成立前でも可能となっています


◆キャリアアップ助成金の拡充内容

キャリアアップ助成金のうちの「賃金規定等改定(処遇改善コース)」は、有期契約労働者、短時間労働者といったいわゆる非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給した場合に助成する制度です。

今回、中小企業が基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、昇給した場合、助成額が加算されることになりました。

なお、本助成金の加算措置は第二次補正予算の成立と厚生労働省令の改正等が必要となるため、現時点ではあくまでも予定となっています。


育児休業取得者の割合と男性の育休取得で受給できる新設助成金 2016年 9月20日

◆男女別の育児休業取得率は?

厚生労働省から「平成27年度 雇用均等基本調査」の結果が公表され、育児休業の取得者割合(取得率)が明らかになりました。

これによると、平成27年度に育児休業を取得した女性の割合(平成25 年10 月1日から平成26 年9月30 日までに在職中に出産した女性のうち、平成27 年10 月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合)は81.5%(前年度86.6%)、同じく男性の割合(同期間中に配偶者が出産した男性のうち、育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合)は2.65%(同2.30%)となり、男性の取得率は平成8年度の調査開始以来過去最高となったそうです。

女性の取得率は平成20年(90.6%)をピークに伸び悩んでおり、ここ9年では最低の割合となりました。


◆男性の取得率は過去最高。しかし…

男性の取得率は調査開始以来「過去最高」となりましたが、政府が目標として掲げる「2020年度に13%」には程遠い数字となっています。

何らかの抜本的な対策が講じられない限り、2020年までに取得率を13%に引き上げることは不可能と言えるでしょう。


◆今年度から新設された助成金

そんな状況の中、「両立支援等助成金」の1つとして、男性労働者に一定の育児休業を取得させた事業主に助成を行う「出生時両立支援助成金」が今年度から新設されました。

支給対象となるのは、子の出生後8週間以内に開始する連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業(1年度につき1人まで)であり、過去3年以内に男性の育児休業取得者が出ている事業主は対象外となります。

支給額は、中小企業では1人目が60万円(2人目以降 15万円)、大企業では1人目が30万円(2人目以降15万円)となっています。

男性従業員のご家庭にお子さんが産まれる予定がある場合、申請を検討してみてはいかがでしょうか。


10月から社会保険の加入対象者が拡大します! 2016年 8月 5日

◆大企業のパート労働者にも適用へ

今年10月から、厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象者が広がります。

現在は、一般的に週30時間以上働く人が社会保険の加入対象となっていますが、10月からは従業員501人以上の企業において週20時間以上働く人などにも対象が拡大されます。

なお、平成31年以降は従業員500人以下の事業所も適用予定です。


◆加入・適用のメリットは?

(1)将来もらえる年金が増える。

(2)障害がある状態になり日常生活を送ることが困難になった場合なども、より多くの年金がもらえる。

(3)医療保険(健康保険)の給付も充実する。

(4)自身で国民年金保険料・国民健康保険料を支払っている場合は現状より保険料が安くなることがある。


◆新たに加入することになる対象者とは?

(1)1週間の所定労働時間が20時間以上

(2)月額賃金が88,000円以上(年収106万円以上/残業代や交通費などは含まない)

(3)継続して1年以上雇用されることが見込まれている


◆助成金の活用も視野に

社会保険の適用拡大は、従業員だけでなく事業主の負担も増えることになります。

したがって、仕事内容を見直したり、人員削減や配置換えを考えたりする必要が出てくるケースもありますが、それと並行して助成金の活用も視野に入れるとよいでしょう。

平成28年4月から、キャリアアップ助成金が拡充されています。従業員の所定労働時間を「週25時間未満」から「週30時間以上」に延長し、厚生年金保険などの被用者保険を適用した事業主に対し、労働者1人あたり20万円(大企業は15万円)が助成されます。

なお、10月以降は、労働者の所定労働時間を5時間以上延長し、厚生年金保険などの適用対象とした場合に助成(助成額は同額)されます。


労働契約法20条違反!「定年後再雇用と処遇」をめぐる東京地裁判決の影響は? 2016年 7月20日

◆会社に賃金差額の支払いを命じる判決

新聞報道等ですでにご存じの方も多いと思いますが、5月13日に東京地裁から「定年後再雇用と処遇(賃金)」についてこれまでの“常識”を覆す判決が出ました。

判決の趣旨は「定年後に嘱託社員として再雇用された3人の労働者(トラックドライバー)の職務内容が定年前と変わらないにもかかわらず、会社(運送会社)が賃金を約3割引き下げたことは違法(労働契約法20条違反)である」というもので、会社には賃金の差額の支払いなどが命じられました。


◆判決に対する評価

上記のような賃金格差について労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)の違反を認めた判決は過去に例がなく、労働者側の弁護士は「通常の労働者と定年後再雇用された労働者との不合理な格差是正に大きな影響を与える画期的な判決である」と評価しています。

また、原告の1人は「同じような立場の人にこの判決が力となれば」と話しているそうです。


◆今後の企業実務への影響は?

判決後、会社側はすぐに控訴したため、裁判における最終的な結論がどのようになるかは現時点ではわかりませんが、仮にこの判決(=労働者側の勝訴)が高裁・最高裁で維持された場合、定年後再雇用者の賃金引下げは認められなくなるケースが出てくる可能性があり、企業実務への影響は非常に大きなものとなります。

今後の裁判で裁判官がどのような判断を下すのか(裁判がどのような結論となるのか)について、注視しておく必要があるでしょう。


【参考条文】労働契約法第20条

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。


「改正確定拠出年金法」成立! 加入対象者が大幅に拡大 2016年 6月30日

◆来年1月から施行へ

確定拠出年金法等の改正案が5月24日に成立しました。

これにより、来年1月から専業主婦を含めたすべての現役世代が実質的に加入できることとなり、新たに加入対象となる公務員や主婦らの取込みに向け、金融機関等の動きも活発化しています。


◆「個人型」の対象が大幅拡大

確定拠出年金には、会社単位で入る「企業型」と個人で入る「個人型」があります。

今回の改正により加入対象が広がるのは「個人型」です。これまでは自営業者や企業年金がない会社の社員らが対象でしたが、主婦や公務員が加わるほか、すでに企業年金に入っている会社員も併用して使えるようになります。

これにより、これまで約4,000万人に限られていた加入対象者は約6,700万人に拡大し、低所得で国民年金の保険料が免除される人たちを除いてすべての成人が加入できるようになります。


◆税制上のメリット

確定拠出年金では運用益が非課税となるほか、掛け金の全額が課税対象の所得から差し引かれるため、そのぶん所得税や住民税も安くなります。

今回の改正により、主婦と公務員だけでも最大400万人が個人型に入るとみられ、実際の加入者も現在の約500万人から約2倍に膨らむと言われています。


◆企業型の加入者に最大の恩恵

また、掛け金は多いほど有利になるので、今回の改正で最もメリットが大きいのは「すでに企業型を利用している人」と言われています。

所得税を納めていない主婦等の恩恵は運用益が非課税になるだけですが、企業型の加入者は個人型を上乗せして掛け金を増やせば、一段の節税効果も期待できるからです。


◆「自助努力」「リスク把握」も必要

一方、確定拠出年金は公的年金とは違い、加入の判断や運用する掛け金の額、運用商品を個人が判断し、運用次第で将来の年金額が変わります。運用成績が悪ければ受け取れる年金が掛け金の総額を下回るリスクもあり、加入者自身が知識をもって自助努力を行う必要があります。

また、運用資金に余裕がある人と運用資金を準備できない低所得者との年金格差が広がる可能性も指摘されており、今後の課題と言えます。


法人代表者等が事業場の産業医を兼任することが禁止に(来年4月から) 2016年 5月 6日

◆改正の趣旨

産業医については、労働安全衛生法13条1項の規定において、事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから選任することとされています。

一方で、産業医として選任できる者の事業場等における役職については、法または労働安全衛生規則で制限されていないため、「企業の代表取締役」、「医療法人の理事長」、「病院の院長」等が産業医を兼務している事例が多くあります。

しかし、労働者の健康管理は一定の費用を伴うものであるため、事業経営の利益の帰属主体(事業者)の代表者や事業場においてその事業の実施を統括管理する者が産業医を兼務した場合には、労働者の健康管理よりも事業経営上の利益を優先する観点から、産業医としての職務が適切に遂行されないおそれがあります。


◆今回の改正内容

上記の理由から、来年4月から事業者は産業医を選任するにあたって、「一定の者」を選任してはならないこととなります。

すなわち、事業者は、産業医を選任するにあたって、「法人の代表者」もしくは「事業を営む個人(ただし、事業場の運営について利害関係を有しない者を除く)」または「事業場においてその事業の実施を統括管理する者」を選任してはならないこととなります。


◆来年4月施行予定

先日、厚生労働大臣は労働政策審議会に対して、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行いました。

この諮問を受け、同審議会安全衛生分科会で審議が行われ、同審議会から「妥当である」との答申がありました。

厚生労働省は、この答申を踏まえ、省令の改正作業を進めることになり、平成29年4月1日から施行される予定です。


4月から「雇用・労働」「社会保険」はこう変わる! 2016年 4月28日

◆雇用保険料率が引下げに

雇用保険料率(失業等給付)は、労働者負担・事業主負担とも1/1000ずつ引き下げられました。また、雇用保険二事業の保険料率も0.5/1000引き下げられました。

これにより、一般の事業の雇用保険料率は11/1000(労働者負担4/1000+事業主負担7/1000)となります(平成27年度は13.5/1000)。


◆障害者に対する差別が禁止されます

すべての事業主を対象に、募集・採用、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、障害者に対する差別が禁止されました。

また、障害者一人ひとりの状態や職場の状況などに応じて合理的配慮の提供が求められることとなりました(ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りではありません)。


◆女性の活躍推進に向けた計画の策定・届出が必要に

常時雇用する労働者の数が301人以上の一般事業主は、女性の活躍推進に向けた一般行動計画の策定・届出や情報公表等が義務付けられました。

常時雇用する労働者の数が300人以下の一般事業主は、努力義務となっています。


◆介護(補償)給付の最高限度額および最低保障額が引上げに

労災保険法に基づく介護(補償)給付の最高限度額及び最低保障額が次のように変更となりました。

・最高限度額:介護を要する程度による区分に応じて→月額104,950円(+380円)、52,480円(+190円)

・最低保障額:介護を要する程度による区分に応じて→月額57,030円(+240円)、28,520円(+120円)。


◆健康保険の標準報酬月額が変更されました

健康保険の標準報酬月額の上限が、47等級(121万円)から50等級(標準報酬月額139万円。報酬月額1,355,000円以上)に引き上げられました。

併せて、標準賞与額の年間上限が540万円から573万円に引き上げらました。


◆平成28年度の年金額は据え置き

平成28年度の老齢基礎年金は、昨年度から据え置き、満額月65,008円となります。

平成28年度の国民年金保険料額は月16,260円(平成27年度15,590円)です。


4月から「不服申立て制度」が大きく変わります! 2016年 4月15日

◆約50年ぶりの改正

行政不服審査法が約50年ぶりに改正され4月から施行されることに伴い、労災保険法をはじめ、雇用保険法、労働保険徴収法、健康保険法、厚生年金保険法など、労働・社会保険の不服申立て制度が変わります。

「審査請求期間の延長」や、「不服申立て前置の一部廃止」などにより、国民の利便性が向上することが期待されています。


◆「不服申立て」とは?

行政庁の違法不当な処分その他公権力の行使・不行使について、行政庁に対してする救済手段のことです。

労働・社会保険の分野には、不服申立てに関する特別法(労働保険審査官及び労働保険審査会法、社会保険審査官及び社会保険審査会法)があり、労災保険や健康保険法などにも不服申立てについて定めた条文があります。


◆主な改正点は?

今回の改正の主なポイントは次の通りです。

(1)不服申立てをすることができる期間が60日から3カ月に延長されます。

(2)不服申立ての手続きを審査請求に一本化し、処分庁に対する異議申立ては廃止されます。

(3)処分取消の訴え(裁判所に提訴)は、審査請求・再審査請求に対する裁決を経た後でなければ提起することはできないとする「不服申立て前置」が一部廃止され、裁決を経なくても処分の取消しの訴えを提起することができるようになります。


◆不服申立ての流れ(労災保険の場合)

例えば、労災保険の「保険給付に関する決定」に不服がある者は、原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内に、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができます。

そして、審査請求に対する労働者災害補償保険審査官の決定にさらに不服がある場合には、労働保険審査会に対して再審査請求するか、処分の取消しの訴えを裁判所に提起するか、このどちらかを選ぶことができます。もちろん、処分の取消しの訴えは、これまで通り労働保険審査会の裁決後に提起することもできます。

労災保険の「保険給付に関する決定」の例を挙げましたが、労働保険・社会保険等は、ほぼ同様の仕組みとなっています。


重要改正事項目白押し! 雇用保険法等の改正で実務はどう変わる? 2016年 3月11日

◆1月下旬に国会上程

「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が1月29日に国会に上程されました。これにより、雇用保険法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等の改正が予定されています。

雇用保険の適用対象者が拡大されるなど、企業にとって影響のある改正になります。具体的な改正事項として下記の項目が盛り込まれています。


◆失業等給付に係る保険料率の見直し

失業等給付に係る雇用保険料率の引下げ(改正前1.0%→改正後0.8%)が行われます。(施行:平成28年4月1日)


◆育児休業・介護休業等に係る制度の見直し

多様な家族形態・雇用形態に対応するため、(1)育児休業の対象となる子の範囲の拡大(特別養子縁組の監護期間にある子等)、(2)育児休業の申出ができる有期契約労働者の要件(1歳までの継続雇用要件等)の緩和等が行われます。(施行:平成28年4月1日)

介護離職の防止に向け、(1)介護休業の分割取得(3回まで、計93日)、(2)所定外労働の免除制度の創設、(3)介護休暇の半日単位取得、(4)介護休業給付の給付率の引上げ(賃金の40%→67%)等が実施されます。(施行:平成29年1月1日、介護休業給付の給付率の引上げは平成28年8月1日)


◆高年齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保および就労環境の整備

65歳以降に新たに雇用される者も雇用保険の適用対象となります(保険料の徴収に関しては平成31年度分まで免除)。(施行:平成29年1月1日)

シルバー人材センターにおける業務について、都道府県知事が市町村ごとに指定する業種等においては、派遣・職業紹介に限り週40時間までの就業が可能になります。(施行:平成28年4月1日)


◆妊娠した労働者等の就業環境の整備

妊娠、出産、育児休業・介護休業等の取得等を理由とする上司・同僚等による就業環境を害する行為を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置が義務付けられます。(施行:平成29年1月1日)

その他、雇用保険の就職促進給付の拡充(再就職手当の給付率の引上げ等)が予定されていますので、企業としては今後、規定変更などの実務対応が必要となってきます。


均等法・育介法改正で「マタハラ防止」を企業に義務付けへ 2016年 2月15日

◆男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正

政府は、今国会に提出する男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正案の中に、女性らが妊娠や出産を理由に不利益を被るマタニティーハラスメント(マタハラ)の防止策の企業への義務付けを盛り込む方針を明らかにしました。

2017年4月からの実施を目指すとしています。


◆就業規則へ盛り込むことなどを義務付け

具体的には、マタハラ行為を禁止する規定を就業規則に盛り込むことや相談窓口の設置、社員研修の実施などを企業に求めることとします。

派遣社員も防止策の対象とし、違反した企業名について公表する方針です。


◆最高裁判決や厚労省調査を受けて判断

現行の男女雇用機会均等法でも、事業主に対して、妊娠や出産を理由にした解雇や降格は禁止していますが、職場の上司や同僚が「長く育休を取得されると迷惑」「辞めたらどうか」などと発言するのは、事業主が発言を指示した場合などを除けば違法とはなっていません。

マタハラをめぐっては、2014年10月に、妊娠による降格が男女雇用機会均等法に違反するという最高裁判決が出ています。また、昨年9~10月に厚生労働省が実施した調査では、妊娠や出産、育児をした女性のうちマタハラを受けた人の割合は、派遣社員48.7%。正社員21.8%、契約社員13.3%、パート5.8%となっており、経験したマタハラで最も多かったのが「『迷惑』『辞めたら?』など権利を主張しづらくする発言」でした。

政府は、現行法のままでは、上司や同僚の言動で休みを取りづらい雰囲気が作り出されている実態には対応しきれないと判断し、昨年11月に発表した“一億総活躍社会”実現への緊急対策で「妊娠、出産などを理由とする不利益取扱いを防止するため法制度を含め対応を検討する」と盛り込んでいました。


◆“一億総活躍社会”の実現に向けた政策の一環

マタハラ対策の強化は、安倍政権が掲げる“一億総活躍社会”実現に向けた政策の一環です。働く女性が妊娠・出産をしやすい労働環境をつくり、出生率1.8の実現につなげたい考えです。

どのような言動がマタハラにあたるかは厚生労働省令で詳細を定めるようですが、上司や同僚による嫌がらせ発言が対象となる見込みです。


雇用保険、65歳以上も新規加入が可能に! 2016年 1月25日

◆高齢者の雇用拡大を後押し

厚生労働省が、来年度から65歳以上の高齢者も新規で雇用保険に加入できるようにする方針を固めたそうです。

同省の雇用保険部会が昨年12月にまとめた制度改正の報告書に盛り込み、今年の通常国会に雇用保険法の改正案を提出する予定です。


◆65歳前からの継続雇用者との不公平感を是正

現行の雇用保険制度では、失業したときに、65歳未満は賃金の45~80%に相当する額を最大360日分受け取ることができ、65歳以上の場合には最大50日分の一時金を受け取ることができます。

ただ、65歳以上で転職したり、親会社から関連会社に転籍したりした場合、雇用保険に入ることができないため、この給付を受けることができません。

現在、65歳以上の雇用保険加入者は140万~150万人いると言われ、新規加入を認めることで、転職した人たちなどとの不公平感を是正しようというものです。


◆転職・再就職者も失業給付の対象に拡大

改正後は、雇用保険の加入に年齢制限を設けず、65歳以上の退職者については「高年齢求職者給付金」として、65歳前から継続して同じ事業主の下で働いていた人と同様に、失業前に受け取っていた賃金の最大50日分を支給します。

ただし、適用には「週の所定労働時間が20時間以上」「直近1年のうち6カ月以上被保険者であること」といった条件がつきます。65歳未満の失業給付は現行のままの方針です。

また、65歳以上については当面、労使が折半で負担する保険料を免除します。現行の制度でも64歳を超えた人の雇用保険料は労使とも免除しており、同様の扱いとなります。


◆求職者増と人手不足も背景

高齢化に伴い65歳以上の求職者は増え続け、人手不足も背景に、企業も高齢者を受け入れる環境整備に動いています。2014年度の新規求職者は46万4,901人で、前年度に比べて10.8%増え、新規求職者全体の7.8%を占めています。

ただ、今回の対象拡大で安易な受給を増やさないことも必要で、厚生労働省は給付金を申請する65歳以上の高齢者が実際に求職活動しているかなどの確認を厳しくする方針です。


◆「一億総活躍社会」実現への一環

このほか、介護休業を取る人への給付金も引き上げます。賃金の40%になっている現在の水準を67%に引き上げる方向で、給付金を増やして仕事と家庭の両立を支援します。

政府としては、今回の改正を、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」実現につなげる考えです。


「ストレスチェック」義務化で注目される産業医の役割 2015年12月 8日

◆今年12月から義務化

改正労働安全衛生法で定められた「ストレスチェックの義務化」が、今年12月1日より施行されます。

労働者数50人以上の事業場では来年11月末までに、最低1回はストレスチェックを実施する必要があります(労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務)が、義務化を前に、大きな役割を担う「産業医」に注目が集まっています。

その理由は、法律でストレスチェックの実施者は「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者」でなければならないとされているからです。


◆実施者を誰にするか?

東京経営者協会が今年9月に行った「ストレスチェック制度に関するアンケート」の結果によると、ストレスチェック制度の実施体制について、回答した企業の28.9%が「産業医が実施者を兼務」、25.5%が「産業医が共同実施者(外部委託)」と回答していることからも、産業医に大きな期待が寄せられていることがうかがえます。

なお、半数以上の企業がストレスチェック制度実施の課題として「産業医・外部機関との連携」を挙げています。


◆厚労省がリーフレットを公開

厚生労働省は、11月上旬に、産業医に関するリーフレット「産業医を選任していますか? 代表者が産業医を兼務していませんか?」を公開しました。

このリーフレットでは、「常時50人以上の労働者を使用する事業場においては産業医を選任しなければならない」こと、「産業医の選任・変更の際には労働基準監督署に届け出なければならない」こと、「産業医として法人や事業場の代表者が選任されている場合は早期に改善すべきである」こと等が示されています。

産業医を適正に選任していない、または産業医制度が機能していないケースは非常に多く、ストレスチェック制度を契機に見直しを図る企業が増えるものと思われます。


◆産業医制度自体の見直しも検討

なお、厚生労働省は、産業医の位置付けや役割について見直す必要性が出てきていることから、9月下旬より「産業医制度の在り方に関する検討会」を開催し、必要に応じて法令の改正も念頭に置いた検討を行う方針を示しています。

将来的に何らかの法改正が行われる可能性が高いため、今後の動きに注目しておきましょう。


「男性の育児休業取得」等に助成金を新設へ 2015年11月25日

◆来年度からの実施に向けて予算要求

厚生労働省は、仕事と家庭の両立や労働力の底上げにつなげるため、男性の育児休業取得について企業への助成金を新設する方針を固めたそうです。

また、子育て世代の女性を念頭に、専門学校などに補助金を出すなどして、託児付きの職業訓練を提供するよう促します。

これらを来年度の予算要求に盛り込み、平成28年4月からの実施を目指しています。


◆進まない男性の育休取得が背景

背景には、男性の育児休業取得が、配偶者が出産した男性全体の2.3%にとどまっており、なかなか進んでいないことがあります。

厚生労働省は、助成金で企業の背中を押し、取得を促進しようと考えています。

男性に特化して育休取得を助成金で支援するのは初めてで、女性の約6割が出産を機に退職すると言われるなか、配偶者の協力によって女性の就労を支援するねらいもあります。


◆1人目に30万円、2~5人目に15万円

現在の案では、対象は過去3年間に男性の育休取得者がいない企業で、男性従業員が配偶者の出産から8週間以内に5日以上の育児休業を取れば、1人目の従業員について30万円、2~5人目については15万円を企業に支給するそうです。

また、育休取得者の業務を引き継ぐマニュアルづくりなど、育休を取りやすい体制を整えた企業には別途30万円の助成金を支払う制度も設けるとのことです。

育児休業取得が進んでいない中堅・中小企業での取得促進が見込まれています。


◆出産後の女性の再就職も支援

一方、出産後の女性の再就職を支援する対策も拡充しようとしています。

世帯収入が月25万円以下などの条件に当てはまる求職中の女性については、受講者がハローワークと相談し、IT(情報技術)や介護など希望分野の講座を選び、受講期間中(3~6カ月)、毎月一定の手当(月10万円程度とする方向)や交通費を受け取れます。

また、受講者は訓練中、専門学校が契約した託児所などを無料で利用できるようにします。

託児費用の一部は政府が補助金として専門学校に支払い、子ども1人あたり6万6,000円とする方向です。

人手不足が続く介護分野や一般の事務職、営業職を中心に新制度の普及をはかる方針です。


中小企業退職金共済(中退共)制度が変わります 2015年11月10日

◆中小企業退職金共済法の一部改正

「独立行政法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備等に関する法律」(平成27年法律第17号)が平成27年5月7日に公布されていますが、改正中小企業退職金共済法が平成28年4月1日から施行(一部は平成27年10月1日施行)されます。

今回の改正では、勤労者退職金共済機構における資産運用のリスク管理体制を強化するとともに、制度のポータビリティの向上等を通じた事務・事業の見直し、加入者の利便性の向上等が盛り込まれています。


◆改正の内容

改正の内容は次の通りです。

1.資産運用に係るリスク管理体制の強化(今年10月1日施行)

資産運用業務に対するリスク管理機能等を強化するため、勤労者退職金共済機構に厚生労働大臣が任命する委員から構成される「資産運用委員会」を設置し、資産運用の重要事項に係る審議等を行う。

2.制度のポータビリティの向上等を通じた事務・事業の見直し(来年4月1日施行)

(1)特定退職金共済事業からの資産移換

特定退職金共済事業を廃止する団体から、事業主単位で中退共制度へ資産移換することを可能とする。

(2)確定拠出年金制度(DC)への資産移換

共済契約者(中退共制度に加入している事業主)が中小企業者でなくなった場合、事業主単位で中退共制度から確定拠出年金制度(DC)(企業型)へ資産移換することを可能とする。

(3)制度間通算における全額移換の実施

中退共制度と特定業種退職金共済制度間等の通算において、通算できる金額の上限を撤廃する。

(4)企業間通算の申出期間の延長

被共済者(中退共制度に加入している従業員)が転職等により中退共制度間等を移動した場合の通算の申出期間を、現行の2年以内から3年以内へ延長する。

(5)建設業退職金共済制度の退職金支給方法の見直し

建設業退職金共済制度における退職金が支給されない掛金納付期間を、現行の24月未満から12月未満へ短縮する。

(6)未請求退職金発生防止対策の強化

勤労者退職金共済機構が住基ネットを活用して退職金未請求者の住所把握を行うことを可能とする。


社員50人未満の企業向け!「ストレスチェック制度」関連の助成金 2015年10月29日

◆12月から義務化

企業のメンタルヘルス対策の一環として、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」がいよいよ12月より義務化されます。

社員数50人未満の事業場は当分の間「努力義務」となっていますが、社員のメンタルヘルス不調を未然に防止するという観点から、ぜひ実施したいと考えている企業も多いかと思います。

その際に、ぜひ活用していただきたいのが本助成金です。


◆どんな助成金?

社員50人未満の事業場が、医師・保健師などによるストレスチェックを実施し、また、ストレスチェック後の産業医による面接指導等の産業医活動の提供を受けた場合に、費用の助成を受けられるというものです。


◆12月から義務化

企業のメンタルヘルス対策の一環として、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」がいよいよ12月より義務化されます。

社員数50人未満の事業場は当分の間「努力義務」となっていますが、社員のメンタルヘルス不調を未然に防止するという観点から、ぜひ実施したいと考えている企業も多いかと思います。

その際に、ぜひ活用していただきたいのが本助成金です。


◆受給要件

以下の5つの要件すべてを満たす必要があります。

(1)常時使用する社員数が50人未満であり、同一の都道府県内にある複数の小規模事業場を含む事業場で集団を構成していること。

(2)集団を構成する小規模事業場の事業者が産業医を合同で選任し、ストレスチェックに係る産業医活動の全部または一部を行わせるこ

(3)ストレスチェックの実施者および実施時期が決まっていること。

(4)集団を構成するすべての小規模事業場において、ストレスチェックおよび面接指導を行う予定であること。

(5)集団を構成する小規模事業場の代表者と産業医が同一者でないこと。


◆助成額は

年1回のストレスチェックを実施した場合は、実施人数分の実費費用を助成(1社員につき上限500円)、ストレスチェックに係る産業医活動(面接指導の実施など)については1事業場あたり産業医1回の活動につき実費費用を助成(上限額21,500円・上限3回)です。


◆申請手続

支給申請をする前に、まずは、小規模事業場の集団を形成し、上記支給要件を満たしているかの確認を受けるため、独立行政法人労働者健康福祉機構への届出が必要になります。

ストレスチェック、ストレスチェックに係る面接指導などの実施後、助成金の支給申請を行い、支給決定がされた場合には、申請時の年度末までに支払われます。


●平成27年度の地域別最低賃金額改定の目安を公表 2015年 9月17日

第44回中央最低賃金審議会において、平成27年度の地域別最低賃金額改定の目安についての答申が取りまとめられ、公表されました。


地域別最低賃金額改定にかかる目安制度の概要


中央最低賃金審議会は、地域別最低賃金の全国的整合性を図るため、毎年、地域別最低賃金額改定の「目安」を作成し、地方最低賃金審議会へ提示しています。この目安は、地方最低賃金審議会の審議の参考として示すものであって、これを拘束するものでないこととされています。

なお、地域別最低賃金額の表示については、平成14年度以降、時間額のみで示すこととなっています。


平成27年度の地域別最低賃金額改定の目安

都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をA~Dの4ランクに分けて、引上げ額の目安が提示されました。ランクごとの引上げ額は、Aランク19円、Bランク18円、C・Dランク16円です。


ランク 都 道 府 県
A 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
B 茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島
C 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡
D 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、 宮崎、鹿児島、沖縄

〔参考〕地域格差に配慮した改定

引上げ額の目安は、都市部と地方との格差にも配慮して取り決めたそうです。

その結果として、ランク別の目安額は、Aランクの都府県で平成14年度以降の最高額と同額、B~Dランクの道府県では平成14年度以降の最高額であり、AランクとC・Dランクの差額は3円となっています(昨年度は差額6円でした)。

しかし、地域格差は大きく、金額的には、その差が広がることになります。


☆ 本年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は18円(昨年度は16円)であり、目安どおりに最低賃金が決定されれば、最低賃金が時給で表示されるようになった平成14年度以降で最高額となる引上げになります。 今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上答申を行い、各都道府県労働局長によって地域別最低賃金額が決定されることになります。
●雇用保険の雇用継続給付に係る支給限度額などの変更 2015年 9月10日

平成27年8月1日から、雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給限度額、育児休業給付・介護休業給付の計算に用いる休業開始時の賃金日額の上限等が変更されました。この結果、従業員の方への支給額が変更されることがあります。これを機に、各給付金の支給額の計算の仕組みも再確認しておきましょう。


――高年齢雇用継続給付、育児・介護休業給付の支給限度額等―――


<高年齢雇用継続給付の支給限度額>


平成27年7月31日まで:340,761円 ? 平成27年8月1日から:341,015円


【確 認】高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金)の支給額

支給額は、一の支給対象月(一暦月)について、賃金の低下の割合に応じて次の額です。

画像:資料


注① 支給対象月の賃金が、支給限度額(341,015円)を超えるときは、その支給対象月には支給されません。また、上記のように計算した額に支給対象月の賃金を加えた額が、支給限度額を超えるときは「支給限度額-支給対象月の賃金」が支給額となります。

注② 支給額として計算した額が、1,840円を超えないときは、その支給対象月には支給されません。

注③ 60歳到達時等の賃金の月額は、447,600円を上限とし、69,000円を下限とします。


<育児休業給付・介護休業給付の計算に用いる休業開始時の賃金日額の上限>


平成27年7月31日まで: 14,200円 ? 平成27年8月1日から: 14,210円


【確 認】育児休業給付・介護休業給付の支給額

支給額は、一の支給単位期間(休業開始日を基準として区切った1か月)について、次の額です。

画像:資料


●「マイナンバー制度」雇用保険関係の最新情報! 2015年 8月28日

◆厚労省から続々と情報が公表


8月に入り、厚生労働省から雇用保険関係のマイナンバー制度に関する情報が続々と公表されています。

まず、8月3日に「概要リーフレット」と、事業主向けの詳細資料である「マイナンバー制度の導入に向けて(雇用保険業務)」が公表され、来年1月から使用するマイナンバー制度に対応した雇用保険関係の様式案(7月時点の改正案)も公開されました。

さらに8月5日には「雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A」が公表されています。

マイナンバー制度に関する同省関係の情報発信は、国税庁などに比べると遅れ気味ではありますが、ようやく出てきたといった感じです。

なお、個人番号については厳重な管理が必要とされているため、同省ではできるだけ電子申請による届出を行うよう呼びかけています。


◆「Q&A」の内容

以下では、上記「Q&A」の内容からいくつかご紹介します(全体版は『厚生労働省 マイナンバー制度 雇用保険関係』で検索してご覧ください)。


Q7 「離職票-1」は事業主が個人番号を記載して離職者に交付するのか。


(答)「離職票-1」の個人番号欄は離職者が記載することとしており、事業主はハローワークから交付された「離職票-1」(個人番号欄は空欄)を離職者に交付していただくこととなります。


Q9 雇用保険手続について、手続の契機ごとに同一従業員の個人番号を重複して提出することになるのか。


(答)個人番号のハローワークへの届出にあたっては、事業主が従業員から個人番号を収集する際に本人確認を行った上で提出することからハローワークでは本人確認等の事務は行わないこととなりますが、仮に、個人番号が誤って登録された場合には、その後の事務処理に多大な影響を生じることとなることから、手続頻度の高い届出について、届出の契機ごとに、個人番号を記入して提出することとしています。


Q11 従業員から個人番号の提供を拒否された場合、雇用保険手続についてどのような取扱いとなるのか。


(答)雇用保険手続の届出にあたって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた(努力)義務であることをご理解いただいた上で、従業員から個人番号の提供を求めることとなりますが、仮に提供を拒否された場合には、個人番号欄を空白の状態で雇用保険手続の届出をしていただくこととなります。その上で、再度、従業員から個人番号の提供を求めた上で、個人番号の提供があった場合には、所定の様式により提出していただくこととしています。


長時間労働の削減に向けた取組内容を点検しましょう! 2015年 8月17日

全国展開する靴小売店の運営会社が、東京都内の2店舗で従業員に違法な長時間残業をさせた*として、「東京労働局過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)」は、労働基準法違反容疑で、同社労務担当取締役と店舗責任者の2人を東京地検に書類送検しました。「かとく」はブラック企業対策のため、本年4月、東京と大阪の両労働局に設置された特別対策班ですが、書類送検は本件が初めてとなりました。


画像:資料


厚生労働省では、上記書類送検の少し前に「長時間労働の削減に向けて」というリーフレット作成し、公表していたところであり、長時間労働の是正が政府の重要政策であることがうかがえます。以下で、そのリーフレットの概要を紹介します。


「長時間労働の削減に向けて」の概要額


「長時間労働の削減に向けて」では、「長時間労働の削減に向けて、あなたの会社の取組内容を、チェックしてみましょう」とした上で、これらの取組をしていない場合のリスクを示しています。


<チェック項目>

□ 36協定は限度基準などに適合したものとなっていますか?

□ 労働時間を適正に把握していますか?

□ 年次有給休暇の取得を促進していますか?

□ 産業医や衛生管理者などを選任していますか?

□ 衛生委員会などを設置していますか?

□ 健康診断や健康診断結果に基づく適切な事後措置などを実施していますか?

□ 長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対し医師による面接指導などを実施していますか?


画像:資料

<上記の取組をしていない場合のリスク>

◆労働基準監督署による書類送検

◆労働基準監督署による労災認定

◆民事訴訟による多額の賠償金の支払請求

〔右図(リーフレットより抜粋)参照〕


☆チェック項目は、労働基準法、労働安全衛生法などが遵守されているか否かを判断するためのものとなっています。


職場意識改善助成金の内容が拡充されています 2015年 7月14日

労災保険の附帯事業である社会復帰促進等事業の一環として、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に取り組む中小企業事業主を支援するため、『職場意識改善助成金』の支給が行われています。その助成内容が、平成27年度から拡充されています。


◆◆ 職場意識改善助成金(平成27年の概要) ◆◆


職場意識改善助成金には、次の3つのコースが用意されています。

画像:資料


上記の各支給額における「対象経費」は、次のような「対象となる取組」の実施に要した経費です。

・労働者に対する研修、周知・啓発

・就業規則などの作成・変更

・テレワーク用通信機器の導入・更新

・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

・労働能率の増進に資する設備・機器などの導入


☆ 就業規則の作成・変更に掛かる費用や一定の機器の導入に掛かる費用なども助成の対象になりますので、この機会に、ワーク・ライフ・バランスの見直しに取り組んでみてはどうでしょうか。

労務比率、賃金総額算定方法が変わりました。 2015年 7月 6日

平成27年4月1日以降に開始される建設の事業は、労務比率、賃金総額算定方法が変わりました。詳しくは厚生労働省配布の資料をご確認ください。


■厚生労働省 ホームページより:
『労務比率、賃金総額算定方法が変わりました』

平成27年度の公的年金の額 2015年 6月 9日

平成27年度における国民年金・厚生年金保険などの公的年金の額は、前年度との比較では、約0.9%引き上げられることになりました。

しかし、この年金額の引き上げ幅は、物価や賃金の伸び(2.7~2.3%)には追いついておらず、実質的な年金の価値は低下(目減り)したことになります。

このような年金額となったのは、特例水準の解消とマクロ経済スライドの影響です。

なお、公的年金は、基本的に、2か月分をまとめて偶数月に支払うこととされていますので、改定された年金額で支払われるのは、6月からとなります。

画像:資料


◆◆  平成27年度の年金額  ◆◆


<老齢年金の年金額(月額換算)について>

画像:資料

*厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与を含む月額換算)42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準。


☆厚生労働省は、厚生年金で平成32年度ごろまで、基礎年金で平成55年度ごろまでは、マクロ経済スライドによる年金額の調整が必要であるという見通しを立てており、その間は、年金は目減りしていくことになります。年金制度の維持のためには仕方がないことかもしれませんが、年金受給世代の方々にとっては厳しい時代に突入しました。

雇用保険の給付金の支給申請期限などの取扱いを変更 2015年 5月30日

平成27年4月から施行された雇用保険法施行規則の改正に関して、厚生労働省から、未支給の失業等給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付の支給申請等の期限について、「雇用保険の迅速な給付のため、期限内に申請等を行うことが原則」としつつ、「期限を過ぎた場合でも、時効が完成するまでの期間(2年間)について、申請等が可能である」ということが明確に公表されました。


改正の対象となる給付金等については、“やむを得ない理由がなく、単に申請等を忘れていたようなケースでも、時効が完成するまでの期間であれば、申請等を受け付ける”というように、厚生労働省(ハローワーク)が方針を変更したということになります。

もし、以前に、申請が遅れて支給されなかったことがあった場合、時効の完成前であれば、再度申請することが可能です。


◆◆ 改正の対象となる主な給付金等の申請等の期限と時効の起算点と終点 ◆◆

画像:資料

無期転換ルールの特例法が施行されました 2015年 5月15日

労働契約法による無期転換ルール*に特例を設けるために、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(平成26年法律第137号)」が制定され、平成27年4月1日から施行されています。この特例について、必要な手続きなどが明らかになっていますので、概要を紹介させていただきます。


※無期転換ルール・・・有期労働契約が反復更新され通算契約期間が5年を超える労働者は、使用者に申込をすれば、無期労働契約に転換できるというルール(平成25年4月1日以後に締結した有期労働契約が対象)。


◆◆ 無期転換ルールの特例の概要と必要な手続き等 ◆◆


1. 特例の概要

(1)特例の対象労働者

① 5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に従事する、高収入(年収1,075万円以上)、かつ大臣基準に該当する高度な専門的知識・技術・経験を持つ有期雇用労働者

② 定年後に、同一の事業主に引き続き雇用される有期雇用労働者

(2)特例の対象となる事業主

対象労働者に応じた適切な雇用管理の措置に関する計画について、厚生労働大臣から認定を受けた事業主

(3)特例の具体的な内容

次の期間は無期転換申込権が発生しない。

①の労働者⇒一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く期間(上限10年)

②の労働者⇒定年後に引き続き雇用されている期間(この期間は、通算契約期間に不算入)


2. 必要な手続き等(計画の作成・認定)

画像:資料

(※)たとえば、定年後に継続雇用する有期雇用労働者については、高年齢者雇用安定法による高年齢者雇用確保措置を講じた上で、次のような雇用管理に関する措置のうちいずれかを講じることとされています。

●高年齢者雇用推進者の選任

●職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等

●作業施設・方法の改善

●健康管理、安全衛生の配慮

●職域の拡大

●賃金体系の見直し  など

平成27年度の雇用保険率が決定(平成26年度と同率に据え置き) 2015年 4月24日

雇用保険率は、労使折半で負担する失業等給付の料率に、事業主が負担する雇用保険二事業の料率を加えたものです。この雇用保険率は、雇用保険受給者の状況や積立金の状況等を勘案し、一定の範囲内で変更することが可能とされています(弾力的変更)。 その規定に照らして判断した結果、平成27年度の率は、前年度と同率に据え置くこととされました。以下で、平成27年度の雇用保険率とそれに関連する事項をまとめておきます。


◆◆ 平成27年度の雇用保険率等 ◆◆


<平成27年度の雇用保険率と負担の内訳(平成26年度と同率に据え置き)>

画像:資料


<関連事項……労働保険料の被保険者負担分の控除及び年度更新>

① 雇用保険料の被保険者負担分は、被保険者に給与や賞与を支払う都度、その給与等に応じた額を計算し、その給与等から控除します。

② 年1回(毎年6月1日~7月10日)の年度更新の際には、1年度の給与等の支払総額に雇用保険率(被保険者負担+事業主負担分)と労災保険率を掛けて、その額を申告・納付します(前年度分の確定額と当年度分の概算額を計算し、差額を精算)。

③ なお、今年は、3年に1回の労災保険率の改定の年に当たり、平成27年度から労災保険率が改定されます。ただし、改定されるのは全業種中の6割程度で、4割程度の業種では、今までの率と同じです。

 ○改定された業種の例

  ・建築事業:1,000分の13―改定→1,000分の11

  ・倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業:1,000分の6.5―改定→1,000分の7

 ○改定されなかった業種の例(各率を据え置き)

  ・既設建築物設備工事:1,000分の15

  ・通信業、放送業、新聞業又は出版業:1,000分の2.5

  ・卸売業、小売業、飲食店又は宿泊業:1,000分の3.5

  ・金融業、保険業又は不動産業:1,000分の2.5

  ・その他の各種事業:1,000分の3

セクハラをめぐる裁判〔セクハラ発言で懲戒処分は妥当〕 2015年 4月20日

大阪市の水族館「海遊館」の男性管理職が部下の女性にセクハラ発言をしたことをめぐり、企業側が警告せず出勤停止とした懲戒処分が重すぎるかが争われた裁判で、本年2月26日、最高裁において「処分は妥当」とする判決が下されました。


画像:資料


争われた事例では、異性に触れるといった行為はなく、異性関係を暴露するなど被害者の社会的立場を悪くするような行為もなかったのですが、言葉のセクハラだけでも、それが執拗に繰り返されたような場合には、懲戒処分としても妥当ということが示されました。

この判決の影響もあり、今後は、セクハラの防止措置の徹底が求められそうです。セクハラに対する社会的認識は厳しさを増しており、企業の対応が甘いと、企業イメージが低下することも考えられます。

職場でのセクハラについては、男女雇用機会均等法により、企業がその防止措置を採ることが義務付けられていますが、今一度、その内容を確認しておきましょう。


◆◆ セクハラを防止するために企業が講ずべき措置として厚生労働省が定めている10項目 ◆◆


① 職場におけるセクハラの内容・セクハラがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

② セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

③ 相談窓口をあらかじめ定めること。

④ 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。

⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。

⑥ 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。

⑦ 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。

⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)

⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。

⑩ 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

平成27年4月1日から改正パートタイム労働法施行 2015年 4月15日

本年4月から、パートタイム労働者*の公正な待遇を確保し、また、パートタイム労働者*が納得して働くことができるようにするための改正パートタイム労働法が施行されます。

* パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の対象となる短時間労働者のこと。具体的には「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のことをいいます。


◆◆  改正のポイント  ◆◆


1 正社員と差別的な取扱いをすることが禁止されるパートタイム労働者の範囲の拡大


正社員と差別的な取扱いをすることが禁止されるパートタイム労働者の範囲が、次のように拡大されます。

画像:資料

改正後は、①②に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者でも、正社員と差別的な取扱いをすることが禁止されることになります。


2 「短時間労働者の待遇の原則」の新設

事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広く全てのパートタイム労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されます。

改正後は、こうした考え方も念頭において、パートタイム労働者の雇用管理の改善を図る必要があります。


3 パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととされます。

画像:資料


4 パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設

事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととされます。

画像:資料

なお、施行日以降、パートタイム労働者の雇用契約書には相談窓口(担当部署、担当者の役職・氏名など)を記載する必要があります。

厚生労働省が高度プロフェッショナル制度、年休取得促進案などを提示 2015年 3月18日

厚生労働省は、本年2月6日、労働政策審議会労働条件分科会で「今後の労働時間法制等の在り方について」報告書案を提示しました。この報告に基づき、労働基準法等の改正法案を作成し、平成28年4月からの実施を目指し、国会で審議するとのことです。


◆◆◆ 今後の労働時間法制等の在り方について(報告書案)の主要事項 ◆◆◆


1.中小企業の残業代の引き上げ

 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する法定の割増賃金率を、現在の25%から大企業と同水準の50%に引き上げる(この改正は、他の改正より3年遅れの平成31年4月から実施予定)。


2.年休の取得促進

 年5日以上の年休取得が確実に進む仕組みを導入する。


3.フレックスタイム制の清算期間の上限の延長

清算期間の上限を現行の1か月から3か月に延長する。ただし、1か月の労働時間が1週間当たり50時間を超えたときは割増賃金の支払い対象とする。


4.特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)

① 対象業務

「高度の専門的知識等を要する」とともに、「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」などの性質を満たすもの。具体的には、金融商品の開発やディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務、研究開発業務などの業務を提示。

② 対象労働者

・書面による合意に基づく職務の範囲内で労働する者

・平均給与額の3倍を相当程度上回ること(具体的な年収額は、有期雇用契約期間の例外対象となる、高度な専門的知識等を有する労働者(1,075万円)を参考とする)

③ 健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置等

事業場の内外で働いた合計の「健康管理時間」を把握しこれに基づいて措置を講じる。

ア)健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置として、労使委員会の5分の4以上の決議より、以下a~cのいずれかを講じることを制度導入要件とする。

 a. 24時間について継続して一定以上の休息時間を与える(勤務間インターバル規制)ものとし、かつ、1か月の深夜業は省令で定める回数以内とする

 b. 健康管理時間が1か月または3か月につき一定の時間を超えないこととする

 c. 4週を通じ4日以上かつ1年を通じ104日以上の休日を与える

イ)健康管理時間が週40時間を超え、その超えた時間が月当たり100時間を超えた労働者については医師による面接指導を義務付け、これに違反した場合は罰則を適用する。


育休復帰支援プランを作成・実施した中小事業主に対する助成金 2015年 2月20日

雇用保険二事業の助成金の一つに両立支援等助成金がありますが、そのコースに、「育休復帰支援プラン助成金(仮称)」が追加される予定です(平成27年2月から実施予定)。

概要は次のとおりです。


◆◆ 育休復帰支援プラン助成金(仮称)の概要 ◆◆◆


<趣 旨>

この助成金は、労働者の育児休業及び職場復帰を円滑にするため、育休復帰支援プランを作成し、当該プランに基づく措置を実施し、育児休業を取得した労働者を育児休業後継続して雇用した中小企業事業主に対して助成金を支給することにより、職業生活と家庭生活の両立支援に対する中小企業事業主の取組を促し、もってその労働者の雇用の安定に資することを目的とする。


<内 容>

画像:資料


政府が力を入れている仕事と家庭の両立支援対策の一つといえます。

平成26年10月から実施する予定でしたが、育休復帰プランナー養成の民間機関の入札がなかったので、実施が遅れたという経緯があります。現在は、入札も決まり、プランナーの派遣の準備も整ったようで、本年2月からの実施は確実と思われます。

新情報!● 医療費の1か月当たりの自己負担限度額を改正 2015年 1月13日

健康保険などの医療保険制度に加入している方については、原則として、自己負担3割で医療が受けられます。さらに、1か月当たりの自己負担の額が一定の限度額を超えた場合には、その超えた金額が支給される「高額療養費制度」があります(事前に手続を採れば、現物給付の方式で支給されるので、限度額まで負担すれば、それを超えて負担する必要はありません)。

この制度について、平成27年1月から、70歳未満の方に適用される限度額が改正されます。民間企業で加入する健康保険においては、次のように改正されます。


◆◆ 70歳未満の高額療養費の自己負担限度額の改正 ◆◆◆


画像:資料


※表中の【   】の多数回該当とは、医療を受けた月以前1年以内に、すでに3回以上高額療養費を受けている場合をいいます(4回目から自己負担限度額を減額)。


☆ 高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療費の自己負担に一定の歯止めを設ける仕組みです。この制度について、負担能力に応じた負担とする観点から、70歳未満の所得区分を細分化し、自己負担限度額をきめ細かく設定することとしたのが今回の改正です。


有期労働契約の無期転換ルールについて、特例を制定 2015年 1月 9日

平成25年4月1日に施行された労働契約法の改正により、有期労働契約の更新を繰り返す労働者を保護するために、いわゆる「無期転換ルール」が導入されました。


画像:資料1


この無期転換ルールについて特例を設けるために、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が制定され、平成27年4月1日から施行されることになりました。概要は次のとおりです。


◆◆ 無期転換ルールの特例の概要 ◆◆◆

<特例の対象者と特例の効果>

画像:資料2


☆無期転換ルールの導入により、特に定年退職後の高齢者について、無期転換申込権が発生する直前に企業側が雇止めをする懸念があり、かえって有能な高齢者の安定的な雇用が難しくなるとの問題点が指摘されていました。この特例により、定年退職後の高齢者の方の有期契約による再雇用等について、無期転換ルールを気にしなくてもよいことになりますが、特例の適用を受けるためには、所定の計画を作成し厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。


ご存知ですか? 社会保障・税番号(マイナンバー)制度 2015年 1月 5日

公平・公正な社会の実現、手続きの簡素化による国民の利便性の向上、行政の効率化を目的として、「社会保障・税番号(マイナンバー)制度」が実施されます。

厚生労働省も、社会保障分野への社会保障・税番号制度の導入に向けて、事業主の皆様への周知活動を始めています。

いずれ対応しなければならない問題ですので、概要を知っておきましょう。


◆◆ マイナンバー制度の概要 ◆◆◆


社会保障・税番号(マイナンバー)制度とは?

● 国民1人ひとりに唯一無二の番号(マイナンバー)を配付し、その番号によって複数の行政機関に存在する個人の情報を正確に連携させるための新しい社会基盤です。

● 平成27年10月から、国民の皆さま一人一人に「個人番号」(=マイナンバー)が通知されます。

● 平成28年1月から、社会保障、税、災害対策の行政手続で「個人番号」を使うこととなります。

● 民間事業主の方についても、従業員等に関する社会保険の手続や、税の手続きで、個人番号を取扱うことになります。


<民間企業における番号の利用例(厚生労働省の資料)>


画像:資料


※法人番号……マイナンバー制度の実施にあたり、「個人番号」とともに、「法人番号」も必要となります。今後、法人等に対して、1法人に1つの法人番号が、書面で通知されます。


☆実施までにまだ期間はありますが、将来的には、社会保険や税の手続き等において、事業主の皆様が、従業員等の個人番号を取り扱うことになります。法律上、事業主の皆様は、「個人番号関係事務実施者」とされ、情報漏えいなどについて、一定のルールを守る必要が生じます。


パートタイマー用の労働条件通知書が変更されました 2014年12月10日

◆改正法で労働条件に関する説明を義務化

改正パートタイム労働法が来年4月1日から施行されます。

改正により、事業主は、パートタイマーの雇入れ時や契約更新時に労働条件(賃金の決定方法、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員転換等の措置内容等)について説明する義務を負うこととなります。

パートタイマーを同時に複数雇い入れたりする場合には、個々に説明する方法ではなく対象労働者を集めて説明会を開催する等の方法によって説明することも認められますが、労働条件は文書等(電子メールやFAXでも可)によって交付しなければならず、これに違反した場合は10万円以下の過料に処せられます。


◆労働条件通知書の変更箇所は?

今般、厚生労働省が示すモデル労働条件通知書の様式が法改正に合わせて変更となり、同省のパンフレット「パートタイム労働法のあらまし」に掲載されています。

具体的には、新たに「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を記載するスペースが設けられました。

この「相談窓口」は、改正法により、パートタイマーからの相談に対応するための体制整備が事業主の義務とされたため、パートタイマーを雇い入れているすべての事業主が対応にあたる担当者または担当部署を決定して、整備しておかなければなりません。


◆労務管理に関する疑問は早めに相談を

「平成26年版労働経済白書」によれば、2013年の非正規労働者の割合は36.7%で、10年前と比較して6%増え、人数で見ると約400万人増加しています。

非正規労働者の増加に伴い、正社員との労働条件の差異等について不公平感を感じるパートタイマーと事業主の間でトラブルとなるケースが増えており、パートタイム労働法が改正された大きな理由の1つはこの問題を解消するためです。

来年4月1日の施行を控え、パートタイマーの労務管理に関する疑問や不安がある場合は、早めに専門家に相談し、トラブルの予防に努める必要があると言えます。


平成26年分の年末調整で注意したい改正ポイント 2014年12月 5日

◆今年気をつけるべきポイントは?

今年の年末調整では、申請様式や税法そのものの大きな改正はありませんが、国民年金法の改正により、4月1日から保険料を2年分前納できるようになったことを受け、この前納制度を利用した場合の社会保険料控除の方法を押さえておく必要があります。

また、10月20日から、自転車・マイカー通勤している人の通勤手当の非課税制度が改正され、4月1日以降に支給した通勤手当について精算が必要となりますので、注意が必要です。


◆2年前納した保険料の社会保険料控除

前納制度を利用した場合、納付した35万5,280円全額が控除対象となり、(1)納付した保険料全額を納めた年に控除する方法、(2)各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法のいずれかを選択して申告します。

(2)による場合、日本年金機構から送付される社会保険料控除証明書の他に「社会保険料(国民年金保険料)控除額内訳明細書」を作成し、併せて提出する必要があります。

この明細書は日本年金機構のホームページからダウンロードでき、年金事務所に申し出て入手することもできます。

また、この場合、平成28年3月分までの保険料を納付することとなり、3年にわたって分割して控除を受けることとなりますので注意が必要です。


◆通勤手当の非課税限度額の改正

10月20日より自転車・マイカーを利用して通勤している人の通勤手当の非課税限度額が引き上げられ、4月1日以降に支給した分から適用されることとなったため、対象者の課税額を年末調整の際に精算する必要があります。

また、年の中途で退職した人については、すでに源泉徴収票を交付済みで、これらの人は確定申告によって精算することとなりますが、4月1日以降に支給した通勤手当がある場合、改正後の非課税限度額に基づいて「支払金額」を訂正し、再度源泉徴収票を作成のうえ摘要欄に「再交付」と表示して再交付する必要がありますので、注意が必要です。


中小企業における賃上げ等の取組み状況 2014年10月10日

◆6割強の企業が何らかの賃上げを実施

経済産業省が中小企業の雇用状況に関する調査、地域の中核を担う中堅・中小企業等における賃上げ等の取組みに関する調査の結果を発表しました。

平成26年度にベースアップや賞与・一時金の増額等、何らかの賃上げ(正社員1人当たり平均賃金の引上げ)を行った企業の割合は64.5%(前年度比7.7ポイント増)でした。

ベースアップに相当する賃上げを行った企業の割合は36.2%で、賞与・一時金の増額を行った企業の割合は48.0%でした。


◆賃上げを行った理由は?

賃上げを行った理由としては、「従業員の定着・確保」と回答した企業が最も多く75.7%、「業績回復の還元」が28.9%、「消費税率の引上げ」が21.3%で続いています。

ちなみに、賃上げを行わなかった企業にその理由を聞いてみると、「業績の低迷」が71.7%で最も多く、次いで「賃金より従業員の雇用維持を優先」が33.1%、「原油・原材料価格の高騰」が33.0%となりました。

上記の結果から、人手不足により賃上げせざるを得ない状況や、業績の低迷が賃上げを妨げていること、雇用維持への努力やコストアップの影響が見てとれます。

また、地域別で見ると、賃上げを行った企業は、昨年度に比べ全国的に増加し、地域間の格差も少なくなっており、地方へ「経済の好循環」が着実に波及しつつある状況も見られたようです。


◆非正規社員の処遇改善の取組み例

同調査では、企業収益の改善を、ベースアップや初任給の引上げ等の賃金改善によって従業員に還元している事例はもとより、非正規社員の正規社員への転換や、子育て支援等の福利厚生の充実等、全国各地で各社が工夫して従業員の処遇改善に取り組んでいる事例も紹介されています。

非正規社員の処遇改善への取組例として、賃金改善(パート社員を今以上に戦力化するため時給を約10%引上げ、優秀な人材の確保を目的にパート社員について3~10%程度賃上げ、他社の賃金動向を勘案し正社員を上回る1,500円のベースアップを実施)や、正規雇用への転換(会社側から積極的に働きかけて非正規社員を正規雇用へ転換)が挙げられています。

賃金以外の処遇改善の取組み例としては、働きやすい職場づくり(介護が必要な家族がいる社員のために介護休業や介護休暇を法定の期間より大幅に拡充、女性を積極的に登用するため短時間勤務制度を導入、出産祝い金を2万円から10万円に増額)や、社員への慰労(売上好調等による労をねぎらうため、4泊6日のハワイ旅行を実施)が挙げられています。


雇用保険の教育訓練給付金が拡充! 「専門実践教育訓練給付金」について 2014年 9月30日

◆「専門実践教育訓練給付金」創設

雇用保険の教育訓練給付金が拡充され、10月から新たに、専門性の高い資格取得について、「専門実践教育訓練給付金」が創設されます(2018年度末までの期間限定)。

対象は、厚生労働大臣が指定する、業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする資格取得講座、中長期的なキャリア形成を支援する講座(企業などとの連携により最新の実務知識等を身につけられるよう教育課程が編成されている専門学校の職業実践専門課程、キャリアアップを目的とした専門職大学院)で、対象講座は今後も増える見通しとなっており、支給対象となる社員等も出てくるのではないかと思われます。

要件を満たせば、給付率が従来の「一般教育訓練給付金」(費用の20%、上限10万円)よりも大幅にアップしますので、制度の紹介をすれば喜ばれるのではないでしょうか。


◆支給対象者は?

雇用保険に原則10年以上加入している方が利用できます。


◆給付の内容は?

最長3年間にわたって支給され、給付率は費用の40%(上限:1年で32万円)です。 講座修了後に資格や学位を取得して就職すると、費用の原則20%が追加支給され、合計で費用の60%分が支給されることとなります(上限:1年で48万円)。


◆申請手続は?

専門家のキャリア・コンサルティングを受け、受講前にハローワークで手続きを行います。

給付金の申請は半年ごとに行い、その都度、講座実施期間が発行する受講証明書等を提出する必要があります。


改正安衛法で義務付けられた「ストレスチェック」に関するQ&A 2014年 9月18日

◆84の「Q&A」

先の通常国会で成立した改正法の1つに「改正労働安全衛生法」(6/25公布)がありますが、これに関連して、厚生労働省から「改正労働安全衛生法Q&A集」が公開されました。

改正項目のうち最も影響の大きいものは「ストレスチェック制度の創設」だと言われており、上記「Q&A集」でも84のうちの36(約43%)を占めています。


◆ストレスチェックに関するQ&A

以下では、Q&A(抜粋)をいくつか見てみましょう。

【全ての事業場が対象となるのでしょうか?】

→ストレスチェックの実施が義務とされるのは、従業員数 50 人以上の事業場とされており、50 人未満の事業場については、当分の間、実施が努力義務とされています。

【全ての労働者が対象となるのでしょうか?】

→ストレスチェックの対象労働者は、一般健康診断の対象労働者と同じく、常時使用する労働者とする予定です。なお、派遣労働者については、派遣元事業主において実施していただくことになります。

【どれくらいの頻度で実施すれば良いのでしょうか?】

→今後、労使や専門家のご意見を聴きつつ省令で定めていくことにしていますが、健康診断と同様に、1年以内ごとに1回以上実施していただくことを想定しています。

【健康診断のように、実施を外部機関に委託しても問題ありませんか?】

→問題ありません。委託により実施する際には、ストレチェックの結果を実施者から直接労働者に通知する必要があり、労働者の同意なく事業者に通知してはならないことなどの点に注意してください。

【ストレスチェックは面談形式で行うものですか?】

→労働者の心理的な負担の程度を把握するため、労働者自身が該当する項目を選択するチェックシート方式で行う検査です。面談形式に限ることは想定していません。

【健康診断のように、ストレチェックを実施した旨の報告を監督署に行う必要があるのでしょか?】

→ストレチェックの 実施状況を把握するため、事業者には、労働基準監督署にその実施状況について報告していただく仕組みを設けること考えています。


◆施行予定は来年12月?

今後は、平成27年2月~3月頃に省令・指針等が策定され、平成27年12月までに改正法(ストレスチェックの部分)が施行される予定です。

「キャリアアップ助成金」が大人気! 2014年 8月29日

◆大人気の助成金

平成25年度から始まった「キャリアアップ助成金」ですが、受給の要件となる「キャリアアップ計画」の作成・認定企業数が厚生労働省の予想を大幅に超えているそうです。

ここでは、どのような助成金なのかを簡単に見ていきます。


◆助成金の概要(6つのコース)

「キャリアアップ助成金」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、「正規雇用への転換」、「人材育成」、「処遇改善」等の取組みを実施した事業主に対して支給されるもので、次の6コースがあります。


  1. 正規雇用等転換コース
  2. 人材育成コース
  3. 処遇改善コース
  4. 健康管理コース
  5. 短時間正社員コース
  6. 短時間労働者の週所定労働時間延長コース

なお、コースによっては、平成26年3月1日から平成28年3月31日までの間は、支給額の増額、要件の緩和の措置がとられています。


◆「キャリアアップ計画」とは?

受給にあたりまず必要となるのが「キャリアアップ計画」の作成ですが、この「キャリアアップ計画」とは、有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取組みを計画的に進めるため、おおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が行う取組み)をあらかじめ記載するものです。


◆様々な要件、書類が必要

「キャリアアップ計画」の作成・提出後にはコースごとに様々な要件があり、書類の提出も必要となります。厚生労働省ホームページにも詳しい内容が記載されています(「キャリアアップ助成金」で検索)。


■厚生労働省:
キャリアアップ助成金

8月1日より失業給付の支給額が変わりました 2014年 8月15日

◆2013年より若干の引下げ

離職者に支給される雇用保険の失業手当の額は、毎年、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって毎年8月1日にその額が変更されますが、2014年度は、2013年度の平均定期給与額が前年比で約0.2%減少したことから、全体に若干の引下げとなりました。


◆変更後の支給額

失業手当の日額は年齢に応じて上限額が定められており、下限額は全年齢共通で定められています。

上限額は、29歳以下の方は6,390円(15円減額)、30~44歳の方は7,100円(15円減額)、45~59歳の方は7,805円(25円減額)、60~64歳の方は6,709円(14円減額)となっています。

下限額は、1,840円(8円減額)です。

なお、実際に支給される日額は、離職時の賃金日額に50~80%の給付率を掛けて算出されます。

失業手当は、失業認定期間(28日)中に自己の労働による収入がある場合、収入を得た日については減額支給されることとなりますが、この控除額も1,286円(3円減額)と、引き下げられています。


◆就業促進手当の上限額も引下げ

再就職手当・常用就職支度手当の算定における失業手当の日額の上限額は、59歳以下の方は5,825円(15円減額)、60~64歳の方は4,720円(9円減額)となります。

就業手当の1日当たり支給額の上限額は、59歳以下の方は1,747円(5円減額)、60~64歳の方は1,416円(2円減額)となります。


◆高年齢雇用継続給付の算定に係る支給限度額も引下げ

高年齢雇用継続給付の支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は各月の賃金の15%相当額、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて各月の賃金の15%相当額未満の額となり、支給限度額を超えて賃金が支給された場合には支給されません。

この支給限度額が、340,761円(781円減額)となっています。


雇用関係助成金~雇用の安定のために 2014年 8月 4日

最新版の「雇用関係助成金~雇用の安定のために」の冊子が厚生労働省のホームページにアップされています。是非ご確認ください。


■厚生労働省 長野労働局ホームページ:
雇用関係助成金のご案内 ~雇用の安定のために~【詳細版】

「改正パートタイム労働法」省令や指針に注意! 2014年 7月15日

◆改正パートタイム労働法の概要

4月23日に公布された改正パートタイム労働法(以下、「改正法」)では、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他待遇の面で正社員との差別的取扱いが禁止されるパート労働者の範囲の拡大、また、待遇の決定についてパート労働者の納得性を高めるために行う雇入れ時の説明義務等が規定されましたが、これらの具体的な取扱いは省令や指針に規定されます。

現在、厚生労働省(労働政策審議会雇用均等分科会)において、省令や指針の見直しの議論が進められており、実務への影響が大きいことからその行方が関心を集めています。


◆「一律○円」による通勤手当の支給は要注意?

改正法10条1項は、正社員との均衡確保の努力義務の対象となる賃金について「通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く」と規定していますが、「職務に密接に関連して支払われるもの」については均衡確保の努力義務の対象となるよう、省令が見直される予定です。

雇用均等分科会の資料では、「距離や実際かかっている経費とは関係なく一律の額で通勤手当として支払っているような場合については、職務関連として整理されるのではないか」とされており、7月下旬に公布される予定の改正省令でどのように規定されるか、注意を要します。


◆苦情等相談窓口の設置および周知について

改正法では、上記の通り、雇入れ時の事業主による説明義務が規定されるとともに、16条で、パート労働者からの相談に応じるための体制の整備を義務付けています。

これにより設置される相談窓口が、改正省令では雇入れ時に文書交付等により明示すべき事項に追加される見通しですので、体制の整備だけでなくその周知も行わなければならないこととなります。


株式会社和田正通信サービス様「コミュニケーション力向上基礎研修」 2014年 6月25日

今回が、株式会社和田正通信サービス様の「コミュニケーション力向上基礎研修」最終回です。


最終回には、本店から法人マネージャー、営業係長、システム係長、そして、ストアバイザー、ストアスタッフの方々にご参加いただきました。更に今回は、株式会社オートバックス様からもご参加いただきました。ありがとうございました。


思い起こせば、2月14日のバレンタインデー「お姉さんと新人スタッフ」を対象にした研修から始まり、今回で6回目の開催です。毎回、回を重ねる度にお会いする皆さんへの親近感が湧き、こうして終わってみても、また、すぐに皆さんにお会いできるような不思議な余韻が残ります。

お話する内容も、「少しでも!」「もっと!」皆さんに伝わるように少しずつ改善を重ねてまいりましたが、「果たして、皆さんが期待する内容だったのか」、「きちんとお役に立てるお話ができたのか」、そんなことを自問自答しつつ、もし、また皆さんにお会いする機会に恵まれましたならば、更に有益で、お役に立てるお話をさせていただきたいと強く願っております。


さて、今日は、最終回ですので、できるだけ沢山研修での様子をご紹介したいと思います。

熱心に!そして、楽しそうにワークに取り組まれている雰囲気が写真を通して伝わってきますね。

画像:セミナー風景


画像:セミナー風景


画像:セミナー風景


画像:セミナー風景


画像:セミナー風景


画像:セミナー風景


画像:セミナー風景


画像:セミナー資料


以下、研修終了後にいただいたアンケートの一部を紹介させていただきます。全員のアンケートをご紹介できないのが残念ですが、心と思いのこもったアンケートをありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。


そして、事務局の皆さん、本当にいろいろお世話になりました。細やかな心遣いや配慮がとても心強く、快適にお話をさせていただくことができました。


また、皆さんにお会いできる日を心より楽しみにしております。どうぞお元気でお過ごしください。


アンケート結果(PDF/5ページ/7.7MB)

「待機時間」の扱いはどうすればよい? 2014年 6月11日

◆ドライバーの待機時間に関する争い

賃金を支払わなかったトラックドライバーの待機時間(手待ち時間)について、「荷物管理を要求されて移動や連絡待ちもあり、休憩時間と評価するのは相当でない」として、労働時間に該当するとする判決が出ました(4月24日横浜地裁相模原支部)。

会社側は、「待機中は休憩も自由であり、労働時間には該当しない」と主張していましたが、裁判所はこれを認めず、従業員・元従業員計4人に対する未払い賃金約4,289万円と、これと同額の付加金の支払いを会社に命じました。

会社側の弁護士は「判決を精査したうえで今後の対応を考えたい」としており、今度控訴する可能性もあります。


◆「休憩時間」とは?

実務上は、待機時間以外にも、深夜勤務の場合の仮眠時間や昼休みの電話当番の時間などが、労働時間になるのか休憩時間になるのかが度々問題になります。

厚生労働省の通達では、「休憩時間とは単に作業に従事しない手待ち時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取扱うこと」とされています。


◆ホームページ上のQ&A

また、同省のホームページでは、「私の職場では、昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2~3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?」という問いに対し、「休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待ち時間は休憩に含まれません。ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。」と回答しています。


◆「規定化」がトラブル防止に

特定の時間帯が労働時間に該当するか休憩時間に該当するかについて曖昧になっているケースは多く、非常にトラブルが生じやすい問題ですが、「労働時間に該当する時間」、「休憩時間に該当する時間」を社内ではっきりさせておき、労使双方が納得したうえで規定化しておくことがトラブルを防止するための1つのポイントと言えるでしょう。


株式会社和田正通信サービス様「コミュニケーション力向上基礎研修」 2014年 6月10日

梅雨に入り、曇り空の一日でしたが、心配した天気もなんとか雨が降らずに無事に終えることができて、ほっとしました。


今回は、本店営業次長、法人マネージャー、総務担当者、ストアスタッフの方々に参加していただきました。


持ち味カードでコミュニケーション:

画像:セミナー資料


「持ち味カード」を使ったワークの様子をご紹介します。

「元々、自分のことを人に話したりすることが苦手なので、最初は持ち味カードを振り分けるのがすごく大変だったのですが、やっているうちになんとなく自分のことが分かってきて面白かったです。」「持ち味カードで苦手な持ち味が理解できて良かったと思います。」「持ち味カードを並べたとき、今まで自分で意識していなかったことが意外と自分の持ち味になっていて驚きました。逆にNOに並べたカードは自分の中ではそうしたいと思っているけど、実行できていないカードが多かったです。カードを並べることで自分を客観的に見ることができて、自分の可能性が広がった気がします。」など、様々なお声をいただきました。

画像:セミナー風景

画像:セミナー風景

画像:セミナー風景

画像:セミナー資料

画像:セミナー資料


行動の4つのスタイルを理解し、コミュニケーションの向上を図ろう:

画像:セミナー資料


「先にこの研修を受けた人から話を聞いたとき、自分は慎重派のCタイプかなと思っていたのですが、実際にお話しを聞いているうちに、自分の要素としては、i寄りのSタイプということが分かって驚きました。」「私はDタイプでしたが、自分が何気なく言ったり、行っていることが他のスタッフにストレスを与えたり、傷つけてしまっていることもあったのかなと思い、今日勉強できて本当に良かったと思いました。もちろん自分を理解して、相手を理解することによってお互いに気持ちよく効率や能率良く仕事が出来て、店舗全体も活性化できると思うので、みんなでワイワイ楽しくDiSCについて話してみたいと思いました。その中からさらに「そうなんだ!」という部分を理解し、今後のコミュニケーションに役立てていきたいです。」などのお声をいただきました。


持ち味カードとDiSC行動分析によるスタッフの活用:

「DiSCカード」を使ったワークの様子です。皆さんがどれだけ「DiSC」のそれぞれタイプごとの行動特性を理解していただいているかというテストをしている様子です。

画像:セミナー風景

テーブルごとに、カードの置き方や、話し合いの様子も違いがあって面白いですね。


研修終了後のアンケートでも、「自分で自覚している部分と研修で初めて知った部分があって、とても面白いと思いました。自己分析という点はもちろんですが、スタッフ育成に関してもすごく参考になりました。」「男性と女性の考え方が違うのは仕方がないと思えるようになりました。」「あなたのために今いるところで一生懸命働くという言葉が印象に残りました。今!頑張ることで、まわりも自分も幸せになれることを再実感しました。」「“●●さん●●だもんね!”という魔法の言葉をたくさん使おうと思いました。」「天国と地獄の話が印象深かったです。同じ状況でも人の心次第で天国にも地獄にもなり得るということが意識できました。同じ状況であれば、私はやはり天国のほうが良いと思いました。」など、毎回とても誠実で真摯なお声をいただき、私自身もとても感激しています。


さて、株式会社和田正通信サービス様での「コミュニケーション力基礎研修」も残すところ、あと1回です。終わってしまうのがとても淋しいですが、次回の研修も頑張らせていただきます!


以下、研修終了後にいただいたアンケートの一部を紹介させていただきます。全員のアンケートをご紹介できないのが残念ですが、心と思いのこもったアンケートをありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。また、お会いできる日を心より楽しみにしております。


アンケート結果(PDF/5ページ/2.3MB)

株式会社和田正通信サービス様「コミュニケーション力向上基礎研修」 2014年 5月23日

新緑が眩しいこの季節。研修会場に向かう私の目にも、清々しい木々の青葉が一斉に飛び込んできて、元気をもらったような気分で一日がスタートしました。


今回は、午前中に研修ご担当者様による「auマスター実技試験・auアドバイザー実技試験」対策のための「ロールプレイング研修」、午後に私の「コミュニケーション力向上基礎研修」を行うという構成でした。 午前中の「ロールプレイング研修」にオブザーバーとして参加させていただきましたが、私自身もauユーザーの一人として、とても興味深く研修の様子を拝見させていただきました。

研修の内容は、マスター試験、アドバイザー試験対策として、実際のお客様を想定して、そのお客様に最適な商品をご提供するために、限られた時間内に、いかに必要な情報をお聞きするか、そのためのコミュニケーションをいかにとっていくかという内容をロールプレイングを通して学ぶというものです。

二人一組になって、販売する人とお客様役に分かれてロールプレイングしましたが、試験が目前に迫っているせいか、研修会場は、張り詰めたような雰囲気だったものの、いざロールプレイングが始まると、普段行っていることと、事前に訓練してきた成果がしっかりその場でも活かされて、さすが、プロの方々だと感心することしきりでした。この方々が、私たちユーザーのために、日々このような努力をされてスキルアップに取り組んでいただいているお蔭で、私たちは、いつも最適な情報と商品を提供してもらっているんだと、とてもありがたく思いました。


午後の「コミュニケーション力向上基礎研修」には、ストアマネージャー、マネージャー、ストアスタッフの方に参加していただきました。


今回も、「持ち味カード」を使ったワークの様子をご紹介します。

画像:セミナー風景

写真:セミナー風景

写真:セミナー風景

写真:セミナー風景


続いて、「DiSCカード」を使ったワークの様子です。


画像:資料1

写真:セミナー風景


今回も、いろいろな立場の方にご参加いただきましたが、「カマスと小魚の話が印象的でした。人は理不尽であっても、その環境に長くいることで、受け入れてしまうことが良く分かりました」「DiSCのタイプ別に褒め方や特徴があることが分かったのでこれから仕事に活かしていきたいと思います」「天国と地獄の話は、小学校の時校長先生から聞いたことがあり、とても懐かしかったです。物事は捉え方次第で天国にも地獄にもなる。できる限りポジティブに、天国になるように考えていきたいと思いました」「持ち味カードとDiSCの分析結果がどちらも一致していて面白かったです」「自分の周りの家族、友達などもタイプを考えながら接していくと上手にコミュニケーションがとれると思います」「自分がどのタイプなのか思っていたのと違っていたので、驚きました。でも、当たっている点がたくさんあったので、すごく驚きました。上司に対してもどのタイプの上司なのか考えて行動すれば楽しく仕事ができると思いました」「人は共感してくれる人のことを好きになる。さっそく実践してみようと思います」など、今回も私自身も勉強になる、いろいろなお声をいただきました。


以下、セミナー終了後にいただいたアンケートの一部を紹介させていただきます。全員のアンケートをご紹介できないのが残念ですが、心と思いのこもったアンケートをありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。また、お会いできる日を心より楽しみにしております。


アンケート結果(PDF/5ページ/5.2MB)

「モンスター社員と未払残業請求から会社を守る方法と労働基準監督署の臨検対策」講演 2014年 5月19日

画像:講演 チラシ

初夏を思わせる、暑い日でしたが、会場の「かたぎり」様は、千曲川支流のほとりにあり、とても涼やかな清々しい風を感じる素敵な場所でした。


今回は、上田法人会丸子支部様と上田商工会様にお招きいただき、「モンスター社員と未払残業請求から会社を守る方法と労働基準監督署の臨検対策」についてお話をさせていだだきました。


参加された方々のほとんどは、経営に関わる方で、2時間という長い講演にも関わらず、終始真剣にお聞きいただきました。

講演後の質問をお受けする時間にも、多くの方から積極的にご質問いただくなど、現状直面されている問題の深刻さ、悩みの深さを実感いたしました。

第2部の懇親会でも、個々の企業様ごとに抱える様々な課題やお悩みなどを個別にご相談いただき、あっという間に時間が過ぎました。

お話の中で印象に残ったのが「今日の話は良かった。90点。あとの10点は"笑い"がほしかった。労働者のことも褒めてもらえればと思っていたら、最後にちゃんと褒めてくれたね」というお声でした。

経営に関わる方は、問題社員を抱える一方で、真面目に一生懸命頑張ってくれている社員さんに対しては感謝の気持ちを表したいと思っています。普段私が関わる多くの経営者様もそうです。

"笑い"大切ですね。辛く!面白くなく!頭が痛い!内容だからこそ、"笑い"も必要ですね。大変勉強になりました。

参加された皆様に、またお会いできる日を心より楽しみにしています。

主催に関わられた、上田法人会丸子支部、上田商工会の方々ありがとうございました。


[講演内容]

「モンスター社員と未払残業請求から会社を守る方法と労働基準監督署の臨検対策」

  1. 経営者が頭を抱えるモンスター社員の増加
  2. 労働基準監督署への駆け込みによる臨検対策
  3. 労務トラブルの解決機関
  4. モンスター社員からの未払残業代請求事件
  5. 未払い残業代が発生するしくみ
  6. 残業代を減らす工夫
  7. 総額人件費の配分を考える
  8. モンスター社員を作らないための会社の工夫
株式会社和田正通信サービス様「コミュニケーション力向上基礎研修」 2014年 4月23日

桜の季節も通り過ぎ、春本番のはずなのに、少し肌寒い陽気の一日でした。

今回は、ストアマネージャー、ストアバイザー、マネージャー、ストアスタッフの方など多彩な職制の方にご参加いただき、前回に引き続き「コミュニケーション力向上基礎研修」です。


今日は、「持ち味カード」を使ったワークをしている様子をご紹介します。


画像:資料1 画像:資料2


「持ち味」というのは、例えば、個性や長所、得意なもの、アピールできるもののようなものを言います。そして、誰でも必ず、自分の「持ち味」を持っています。そして、大切なのは、自分や一緒に働く人たちの「持ち味」をきちんと認識することです。

普段一緒にいるからと言ってお互いに相手がどんなことを思い、考え、行動しているかすべて分かっているということはないですよね。もちろん、他人のことだけでなくて、自分で自分のことも分からないことがありませんか?でも、互いにお互いの「持ち味」を知ることで、「あ~この人はこういう「持ち味」を持っているからこういうことなんだなぁ」ということが分かれば、上手にコミュニケーションができるということも考えられませんか。


下の写真は、「持ち味カード」の中から「キャリアのカード18枚」と「ジョブのカード30枚」を使って、ご自身の「持ち味診断」をしていただいている様子です。皆さん、黙々とご自身のYES、NO、YES/NOのカードを振り分けています。この振り分け方の様子でも、それぞれ個人の「持ち味」が出ます。


写真:セミナー風景1 写真:セミナー風景2


今回、いろいろな立場の方にご参加いただきましたが、「魔法の言葉が印象的でした。誰もが認められるというのは嫌な気持ちにならないと思うので積極的に使っていこうと思いました」「褒めることの大切さを知りました」「持ち味とDiSCのタイプがシンクロしたのは面白かったです」「iタイプばかりが話し合いをしても答えが見つからないというのを聞き、確かに!と思いました」「DiSCの診断結果は、血液型診断より絶対当たっていると思います」「天国と地獄の話は、同じ環境でも人の考えでその場がどちらにもなるということが印象的でした。これからは自分の為ではなく、相手の為に何ができるか考え行動したいと思いました」等・・・それぞれの立場で思うこと、感じることがあったようです。


以下、セミナー終了後にいただいたアンケートの一部を紹介させていただきます。全員のアンケートをご紹介できないのが残念ですが、心と思いのこもったアンケートをありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。また、お会いできる日を心より楽しみにしております。


アンケート結果(PDF/5ページ/3.6MBKB)

要チェック! 平成26年度の厚生労働省方針 2014年 4月15日

◆労務管理見直しの契機に

厚生労働省の来年度方針が続々と明らかになっています。自社の労務管理の方向性を見直すうえで参考にしてみはいかがでしょうか。


◆高齢者の雇用等

65歳までの雇用が原則義務化され、高齢者の賃金設計とそれに伴う全体的な賃金制度の見直しを実施・検討する企業が増えています。

また、中高年層社員に関する課題として、「介護休職・離職」があります。親の介護による休職・離職が最も多い年代層は50代ですが、40代から65歳までのすべての年代でも直面する可能性の高い課題です。

厚生労働省は、65歳までの雇用義務化等を背景に、基礎年金の保険料納付期間を延長する考えを示しています。来年の通常国会での法改正を検討しているようです。


◆多様な正社員

「限定正社員」という呼ばれ方もしますが、職種、勤務地、労働時間等が限定的な「多様な形態による正社員」が注目されています。

多様な形態の正社員の賃金・昇進等については、すでに実践している企業の例と今後の制度整備の動向等を見ながら、就業規則等の整備を検討していく必要があるでしょう。


◆助成金の拡充・新設

次の助成金について、力を入れていくようです。

キャリアアップ助成金/労働移動支援助成金/トライアル雇用奨励金/育児休業からの職場復帰を支援:キャリア形成促進助成金における育休取得能力アップコース(仮称)


◆行政指導の方向性

労働基準監督官の増員が計画されており、また、従来通り、サービス残業是正を始めとする割増賃金の適正な支払いや違法な時間外労働の是正等を実施していくとしています。

部下の長時間労働や年次有給休暇取得の状況を上司の人事評価に反映させるといった会社での取組みも必要でしょう。「働き方・休み方改善指標」や「働き方・休み方改善ハンドブック」などが作成されますので、これらも参考になるかもしれません。


◆障害者雇用の進展

平成25年度は、身体障害者、知的障害者、精神障害者のいずれも雇用者が増加しています。特に精神障害者が大きく増加し、大手企業では4年後の障害者雇用率に関する改正等をにらみ、発達障害を持つ方を採用したいというニーズが高まっています。


株式会社和田正通信サービス様「コミュニケーション力向上基礎研修」 2014年 4月10日

前回2月14日の「お姉さんと新人スタッフ」を対象にした研修は、記録的な大雪、しかもバレンタインデー?に行われました。こんなに雪が降ってきて、皆さん無事に帰れるのだろうか…と心の中で動揺しながらも、事務局の皆さんのいろいろなご配慮のお蔭でなんとか最後までたどりついた思い出深いセミナーでした。

前回に引き続き今回は、「ストアマネジャー・本店スタッフ」を対象にした、「コミュニケーション力向上基礎研修」です。


4月10日、長かった冬もやっと通り過ぎ、待ち遠しかった桜がようやく開花し、心地よい春の日差しを感じながら研修会場に向かいました。

株式会社和田正通信サービス様は、県内24店舗のauショップ運営を行い、「お客様中心によるお客様へのお役立ち、地域社会へのお役立ちのため、KDDI事業を通じて具体的に実践していく会社創り」を企業理念とする、長野市に本社を置く会社です。

2月14日から始まりました「コミュニケーション力向上基礎研修」について、当初、社長様から、県内の全スタッフに対して実施したいこと。更に「自分が生まれてきた使命って何だろう」、「今回の人生を大切に、瀬一杯頑張って、楽しむためにできることって何だろう」、「会社人として、お客様に喜んでいたくために自分ができることって何だろう」ということを改めて考えてもらいたい。そして、「あ~いい人生だったなぁ」と思えるように過ごしてもらいたい。そのためのきっかけになるような時間を作ってほしいとのオーダーをいただきました。

微力ではありますが、「私の今までの経験が皆さんの何かお役に立てば!」という思いで気合いを入れて!!頑張らせていただいております。


「コミュニケーション力向上基礎研修」のテーマは以下の3つで、午前と午後に分けて研修をさせていただきました。


写真:セミナー資料1

① 持ち味カードでコミュニケーション:

スタッフ同士がそれぞれの「持ち味」を知って、最大限活かすにはどうしたら良いか考えてみる。

また、「持ち味カード」を使ったコミュニケーションの方法を知り、具体的なイメージを持つ。







写真:セミナー資料3

② 4つの行動スタイルを理解し、コミュニケーション向上を図ろう:

「DiSC理論」を使って、自分や他の人がどのタイプであるのかを理解した上で一緒に働く人への認識を深めることで、仕事をスムーズにしたり、意志疎通が円滑にできるようになる、という理論を学ぶ。







写真:セミナー資料5

③ 持ち味とDiSC診断による新人スタッフの活用:

「持ち味カード」と「DiSC理論」から、スタッフとの関わり方のイメージを持つ。









今回参加された方の中には、この4月にストアマネジャーになられたばかりの方もいて、最初は少し緊張された面持ちでしたが、同じテーブルのお隣の方と「3分間ご挨拶」をするとすっかり表情も明るくなり、「はい!挨拶のお時間は終了です!」の合図にもなかなかお話が終わらないほど盛り上がっていました。

途中の「持ち味カード」を使ったワークでも、ご自身の持ち味を発表する場面で、一人5分の持ち時間では話し足りない方もいて、「自分のことを今まで客観的に見たことがなかったので、面白かった」「自分の強み、弱みが分かったので、もっと自信を持つにはどうしたらいいか考えて仕事をしようと思った」「今後スタッフの持ち味を考えながら接してみたい」など、ご自身のことだけでなく、スタッフとの関わり方なども含めて改めて考えるお時間になったようです。

午後の「DiSC理論」を使ったコミュニケーションの話では、ご自身のタイプを診断するワークとタイプごとの特徴、関わり方などをお話しましたが、「たぶんあのスタッフは●タイプかな」「私はこのタイプじゃないような気がする」「いやいやそうだよ」などと、各タイプを意識した話題で盛り上がるテーブルもあり、「自己分析だけでなく、スタッフがどのタイプなんだろうと意識してやってみた」「責任者になり、部下を持って右も左も分からず悩んでいたけど、お願いの仕方、褒め方など関わり方においてすべて参考になった」「これからより良い人間関係を築きたい」「それぞれのタイプを理解して上手くお店や雰囲気を変えていきたい」「相手の話をしっかりと聴き、認めて褒めるということはとても大切だと感じた」などのお声をいただき、ストアマネジャーとして、また、いろいろな立場で、それぞれの悩みや思いの中でこの研修を受けていらっしゃることを感じました。

写真:セミナー風景

以下、セミナー終了後にいただいたアンケートの一部を紹介させていただきます。全員のアンケートをご紹介できないのが残念ですが、心と思いのこもったアンケートをありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。また、お会いできる日を心より楽しみにしております。


アンケート結果(PDF/5ページ/3.7MB)

2014年度の各種保険料額(率)・年金額 2014年 3月 8日

◆雇用保険料率

1月27日に2014年度の雇用保険料率が発表されました。2013年と変わらず、下記の通りとなります。

・一般の事業…1000分の13.5(労働者負担=1000分の5、事業主負担=1000分の8.5)

・農林水産清酒醸造の事業…1000分の15.5(労働者負担=1000分の6、事業主負担=1000分の9.5)

・建設の事業…1000分の16.5(労働者負担=1000分の6、事業主負担=1000分の10.5)


◆国民年金保険料額・前納額

1月31日の厚生労働省の発表によると、2014年度の国民年金の保険料額は1月当たり210円引き上げられ、1万5,250円(月額)となります。

また、保険料を口座振替で前納した場合の額は、6カ月間で9万460円(1,040円割引)、1年間で17万9,160円(3,840円割引)、2年間で35万5,280円(1万4,800円割引)となります。現金納付またはクレジットカード納付による前納の場合は、上記とは金額が異なるため、注意が必要です。


◆国民年金・厚生年金の年金額

2014年度の年金額(老齢基礎年金)は満額で6万4,400円(月額)となり、2013年度に比べマイナス475円(0.7%の引下げ)という結果になりました。

この年金額は、2014年度の年金額改定に用いる名目手取り賃金変動率(0.3%)よりも物価変動率(0.4%)が高くなるため、名目手取り賃金変動率(0.3 %)によって改定され、算出されたものです。

なお、2013年9月までの年金額が本来支給額よりも高い金額に据え置かれていたことを受け、2015年4月までにその特例水準を解消するため年金額が引き下げられます。当初予定では2013年10月分からマイナス1.0%、2014年4月分からマイナス1.0%、2015年5月から0.5%の引下げとする予定でしたが、上記賃金変動率と合わせて0.7%の引下げとなっているものです。

なお、厚生年金の年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は、22万6,925 円(前年度比マイナス1,666円)です。

受給者の受取額が変わるのは、通常4月分の年金が支払われる6月からです。


4月から始まる「産休期間中の社会保険料免除制度」 2014年 3月 1日

◆4月から制度スタート

仕事と子育ての両立支援を図るため、産前産後休業(原則、産前42日・産後56日)を取得した場合、育児休業の場合と同様に社会保険料の免除が受けられるようになります(被保険者分および事業主分)。

この制度の対象者は、今年4月30日以降に産前産後休業が終了となる方で、4月分以降の保険料から免除の対象となりますので、社内で周知しておくことが必要でしょう。


◆書類の提出時期・提出先

事業主による届出書類の提出時期は「被保険者から申出を受けた時」、提出先は「事業所の所在地を管轄する年金事務所」とされています。

今後公表される「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書」を、「窓口への持参」「郵送」「電子申請」のうちいずれかの方法で提出します。

なお、添付書類は特に必要ないとのことです。


◆標準報酬の改定

産前産後休業終了後に報酬が下がった場合、産前産後休業終了後の3カ月間の報酬額を基にして、新しい標準報酬月額を決定し、その翌月から標準報酬が改定されます。

この場合、会社が「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を提出しなければなりませんが、産前産後休業を終了した日の翌日から引き続き育児休業を開始した場合には提出することができません。


◆その他の留意点

被保険者が産前産後休業期間を変更したとき、または産前産後休業終了予定日の前日までに産前産後休業を終了したときは、事業主は速やかに「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出する必要があります。

育児休業期間中の保険料免除期間と産前産後休業期間中の保険料免除期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されます。


「持ち味カードとDiSC行動分析によるコミュニケーション」セミナー 2014年 2月14日

株式会社和田正通信サービス様では、2013年度に「お姉さんスタッフ」制度を発足されました。この制度は、新人スタッフ教育制度のひとつで、マネージャー、チーフに続く中堅スタッフが教育担当者として新人教育にあたり、一人ひとりのスタッフが社会人として、自分の魅力、人間力を磨くことができるステージ(会社)であるために、そしてその先には会社にとってかけがえのないお客様がいることを理解し、全体的なレベルアップを図るために制定されました。


今回のセミナー開催にあたって、「通信業界は情報量が多く、スピードも速いということもありますので、新人スタッフにお姉さんを作ることでより細やかで一貫した指導を行うことを期待しています。また、新人スタッフがショップスタッフとして一日も早く一人前になることを望み、更に、新人スタッフだけではなくお姉さん自身も、人を育てるという経験を通し成長することを期待しています。それに加え、このような環境の中で、お姉さんには仕事のことだけではなく、なんでも聞ける、相談できるという関係を作っていきます。」という、新人スタッフとお姉さんとの関係制や関わりの重要性のお話をお聞きしました。


そこで、今回のセミナーでは、新人スタッフとお姉さんとのコミュニケーションを中心にした、以下の3つのテーマを設けました。

①新人スタッフとお姉さんがそれぞれの「持ち味」を知って、最大限活かすにはどうしたら良いか考えてみる。また、「持ち味カード」を使ったコミュニケーションの方法を知り、具体的なイメージを持つ。

②「DiSC理論」を使って、自分や他の人がどのタイプであるのかを理解した上で一緒に働く人への認識を深めることで、仕事をスムーズにしたり、意志疎通が円滑にできるようになる、という理論を学ぶ。

③「持ち味カード」と「DiSC理論」から、新人店舗スタッフとの関わり方のイメージを持つ。


2月14日バレンタインデー、しかも今年一番の大雪に見舞われた日に行われた今回のセミナーでしたが、これから社会に出る皆さんのフレッシュな空気と、お姉さんに選抜され、責任と期待に胸を膨らませた皆さんの空気に包まれて、一日という長いセミナーにもかかわらず、ワークを中心に、終始和やかな雰囲気で終わることができました


写真:セミナー風景1 写真:セミナー風景2


セミナー終了後にいただいた、アンケートでも「何を持ち味として仕事をしているのか明確になったので、この持ち味をもっと活かそうと思いました」「今日のセミナーを聞いて3年後、5年後はどんな自分でいたいのか考えながら仕事に取り組んでいこうと思いました」「DiSCに関しては自分と重なる点が多く驚きましたが、当てはまりすぎてとても面白かったです」「織田信長の話や豊臣秀吉の話が楽しかったです。織田信長は絶対Dタイプだと思いました」など、ご自身の今や、周囲の状況に重ねてしっかりとセミナー の内容を捉えてくださっていることが分かり、うれしく思いました。以下、少しアンケート結果をご紹介させていただきます。


新人スタッフ①(PDF/1ページ/92KB)

新人スタッフ②(PDF/1ページ/124KB)

新人スタッフ③(PDF/1ページ/98KB)

お姉さん①(PDF/1ページ/86KB)

お姉さん②(PDF/1ページ/93KB)

お姉さん③(PDF/1ページ/96KB)


セミナー内容:

①“持ち味カードでコミュニケーション”

写真:セミナー資料1 写真:セミナー資料2


②4つの行動スタイルを理解し、コミュニケーション向上を図ろう

写真:セミナー資料3 写真:セミナー資料4


③持ち味とDiSC診断による新人スタッフの活用

写真:セミナー資料5 写真:セミナー資料6


また、皆様にお会いできる日を心より楽しみにしています。

株式会社和田正通信サービス様ありがとうございました。

「労務トラブルの現状と労働基準監督署の臨検対策」講演 2014年 1月29・30日

写真:講演風景

明治安田生命保険相互会社新会社発足10周年記念行事公開講演会にお招きいただき「労務トラブルの現状と労働基準監督署の臨検対策」について、お話をさせていただきました。


今回ご参加いただいた方々は、明治安田生命保険相互会社様のお客様ですが、ご挨拶を交わす様子や、お話をされている様子に、お集まりの企業の皆様とご担当者様の信頼関係の深さを垣間見るようでした。

話は、労務トラブルに関する内容が中心でしたが、講演中だけでなく、講演後の情報交換会でも、多くの方々からとても熱心にご質問をいただき、あっというまに時間が過ぎました。

会社は、事業の発展とともにさまざまなリスクを負うようになります。今回改めて、そのリスクに備える必要性を感じたとともに、明治安田生命保険相互会社様の商品には、「逓増定期保険」、「終身保険」、「定期保険」など、会社が予期しないリスクに備えることができる商品がたくさんあることを知った良い機会にもなりました。今後、是非活用させていただきたいと思います。

明治安田生命保険相互会社様、お招きいただきましてありがとうございました。


「今すぐ知ってほしい労務トラブル対処法」講演 2014年 1月24日

今年も佐久トラックセンター協同組合様にお招きいただき、「今すぐ知ってほしい労務トラブル対処法」について講演をさせていただきました。


お招きいただくのも今年で3度目になりましたが、久しぶりにお会いした皆様には変わらず温かく迎えていただき、和やかな雰囲気の中でお話をさせていただきました。

今回は、解雇や賃金に関する具体的なトラブル事例とその具体的な対処方法や就業規則規定例などについて、お話をさせていただきましたが、参加された方々がそれぞれ身近に起こり得る内容だったこともあって、熱心にお聞きくださいました。

第2部の懇親会でも、個別に自社の事例についてご質問いただき、今回のトラブル事例が他人事ではないと感じる企業様が多いようでした。

今回の話が、少しでもご参加いただいた方々のお役にたてば幸いです。そして、事例のようなトラブルが起こらないことを願いつつ、来年もまた皆様にお会いできることを楽しみに、また、この一年頑張りたいと思います。

佐久トラックセンター協同組合の皆様、ありがとうございました。


資料:グラフ 資料:イメージ

知っていますか? ビジネスを円滑にする『アンガーマネジメント』 2014年 1月20日

◆注目を集めているスキル

「やるべきことがあるのに、イライラして集中できない」「上司に理不尽なことを言われて腹が立った」「怒らなくてもよい場面でつい声を荒げてしまった」「怒りに任せた行動で信頼を失ってしまった」……

職場では、「イライラ」や「怒り」といった感情にまつわる問題が数多くあるもの。しかし、こうした感情に適切に対処できなければ、組織内で不要な軋轢・衝突を引き起こし、生産性を大きく下げる結果にもなりかねません。

そこで最近、そんな負の感情をマネジメントするスキルが注目を集めています。その名も、『アンガーマネジメント』。研修に取り入れる企業も増えているようですが、どういったものか、ご存じですか?


◆『アンガーマネジメント』とは

一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会によれば、『アンガーマネジメント』とは、自分自身の「怒り」を理解してコントロールすること。具体的には、自分の怒りの性質や傾向を知り、一呼吸置くなどして感情を制御することです。

「イライラ」や「怒り」を爆発させる前に、いったん立ち止まることで、多くのトラブルは避けることができるそうです。


◆ビジネスに活かす『アンガーマネジメント』

「怒り」をコントロールできるようになると、人間関係が良好になり、仕事の効率も上がるなど、「怒り」のプラスへの変換、良い循環が生まれることが期待できます。

また、パワハラなどを意識して叱ることができない上司や、叱られることに慣れていない部下が増えている中で、コミュニケーション促進やストレス対策にも役立ちます。

企業において、多くの場面で“使える”スキルと言えるのではないでしょうか。


「割増率 50%以上」適用拡大の動き&三六協定チェックポイント 2014年 1月10日

◆「割増率 50%以上」中小企業へ適用拡大か?

厚生労働省の調査で、月 60 時間超の法定時間外労働に対し、割増賃金率を「25%超」としている中小企業は1割強と少なく、さらにこのうち「50%超」としていた割合は1割に満たなかったことが明らかになりました。

大企業については、平成 22 年の労働基準法改正により、月 60 時間超の時間外労働に対する割増率を 50%以上にしなければならなくなりましたが、中小企業については、現在この規定の適用が猶予されています。

厚生労働省では、今回の調査結果を踏まえて中小企業への適用拡大について検討を進める考えです。


◆「三六協定」のチェックポイント

時間外労働・休日労働に関する協定届(三六協定)を労働基準監督署に届け出ると、延長時間数の範囲内であれば、会社は1日8時間、週 40 時間を超えて時間外労働を命じることができます。

なお、三六協定とは別に、就業規則や個別の雇用契約書等に時間外労働・休日労働(所定時間外労働含む)の根拠規定を置いておくことは必要です。

三六協定に関する代表的なチェックポイントは、次の通りです。

・一定の規模があり、労務管理上、独立性があるような支社等は、別に三六協定が必要である。

・管理監督者、病欠、休職中の社員などの在籍するすべての労働者(事業場の代表者を除く)が、「労働者の過半数を代表する者」の選出に関する母数に含まれる。

・労働者の過半数代表として労働組合を締結主体とする場合、事業場ごとに、過半数以上を組織しているか(非正規労働者を当該労働組合が組織化していない場合は特に注意)。

・従業員過半数代表は、事業場ごとの投票、挙手、持ち回り決議など民主的な方法で選出する。

・特別条項が活用できるのは、1年間あたり6回以内。

・特別条項の「具体的事由」は具体的に明記する。


◆行政指導や労災認定リスクにも

三六協定の締結・届出は、毎年の業務のため流れで行ってしまいがちですが、慎重に確認しながら進めないと、行政指導を受けたり、万が一社員が過労により死傷したような場合には労災認定されて会社の義務違反が問われたりすることにつながりかねません。

上記に挙げたもの以外にもチェックすべきポイントはありますので、今一度、確認が必要です。


社内外で様々な立場の人と接するなら… 知っておきたい「アサーティブネス」 2013年12月16日

◆「アサーティブネス」とは?

「アサーティブネス」(発展的・協調的自己主張)とは、相手を尊重しながら自分の要望・意見をきちんと相手に伝える、すなわち人間関係を損なうことなく自分の要望・意見を表明するための方法論です。

言いづらい内容であってもこちらの主張をしっかり伝え、問題解決に持っていくための手法として有効です。言い換えれば、上手にコミュニケーションをとるためのスキルであるとも言えます。

近年、企業においても、「マネジメント」、「新人教育」、「リーダー養成研修」など、幅広い場面で活用されるようになってきたようです。


◆「アサーティブ・コミュニケーション」の例

「アサーティブネス」の考え方は、例えば、対社外では「長引いている打合せ相手を不快な気持ちにさせずに切り上げる」「取引先からの誘いを相手の気分を害さずに断る」、対社内では「何度言ってもミスを繰り返す部下に注意する」「上司から急に頼まれた仕事を断る」などといった多くの場面で活かすことができます。


◆「アサーティブネス」を身に付けるには?

これを身に付けるためには、自分のコミュニケーションのとり方の問題点に気づくことが第一歩です。以後は、ロールプレイングを繰り返しながら、適切な表現方法を身に付けていくことになります。

「アサーティブネス」を身に付けるためのセミナーや研修等も、多数開催されています。ご興味を持たれた方は、参加してみるとよいかもしれません。


「持ち味カードでコミュニケーションセミナー」を開催いたしました 2013年11月20日

11月20日(水)に、株式会社キティック様で「持ち味カードでコミュニケーションセミナー」をやらせていただきました。


今回は、「持ち味カード」を使って、営業、制作、経理・総務、それぞれの業務で必要とされる「持ち味」は何か、また、会社の経営方針である“期待を上回るプロモーション”「あなたに仕事を依頼して良かった」“を実現するために、個々のスタッフの「持ち味」という個性を「付加価値」にして、それをどのように「稼ぎ力」に育てていくのかといった内容を中心に、2つのワークを含めた約1時間40分のセミナーでした。


ワーク1では、事前にしていただいた、「持ち味カード個人診断」結果から、「最強の持ち味」と、「最もできていない持ち味」を選び、それぞれ発表していただきました。持ち時間4分の中で、ご自身の「持ち味」について、とても上手にお話されていました。

ワーク2では、“社長の「持ち味」ってなんだろう?”とスタッフによる社長様の「持ち味診断」です。社長様が事前に選んでいただいた「持ち味カード」を、スタッフの皆さんにガラガラポン!をしていただきました。

これがその様子です。


写真:セミナー風景


それまでは、比較的皆さん静かな様子でご自身の「持ち味」を語っていたのに、社長様の「持ち味カード」をガラガラポンする様子は、この写真からも読み取れると思いますが、とても楽しそうに「え~、社長、このカードはこっちじゃない?」「うそうそ、こっちだよ」「こんなことがあったからこっちじゃないですか」「うん。そういうとこあるね」「そうかも」と皆さん、ここぞ!とばかりにカードを並べ替えておりました。でも、すばらしい!!です。NOのカードはほとんどありませんでした。

そして、それぞれの方が選ぶ、社長様の最強の「持ち味カード」を選んで、その理由を社長様に伝えていただきました。これもとても大切なコミュニケーションです。日常において、スタッフが自分のことをどう思っているかなど聞く機会はなかなかないでしょう。今回スタッフの皆さんが選んだカードにはとても愛情が込められて、社長様の細かなしぐさや、考え方、人とのつながり、行動、言動まで、本当に事細かに観察されている様子がよく分かりました。

社長様ご自信も、自分で感じたことがない、考えもみなかったことをスタッフの皆さんから言われて、少し照れつつも、うれしいご様子でした。

これが、スタッフの皆さんが選んだ社長様の最強の持ち味カードです。

写真:セミナー風景


今回、事前に自己診断をしていただいていましたが、その結果で驚いたのが、ほぼ全員がYESのカードとして“高い志”と“使命感”を選んでいることでした。しかも、制作スタッフ全員が“使命感”を最強のYESのカードに選んでいました。スタッフの皆さんが、「自分がやらなければ!」という思いで仕事に取り組んでいることがよく分かります。


顧問様からも、「社長が会社の理念を常に訴え続けて、理解してもらう努力をしてきたことを、スタッフの皆さんが素直に受け止めているからこそ“高い志”や“使命感”という考えが生まれてきていると思います」というお話をいただきました。 そして、あるスタッフの方は「今よりも、もっと良い会社にしたい。自分の子供にも将来自信を持って良い会社だと薦められるようにしたい」と語っていました。

最後に社長様から「うちの会社の財産は人!人しかいない、そして、ここで働く人には社会人としてのモラルが必要。是非楽しく働ける職場にしていきましょう」とお話をいただいて締めくくりました。きっと、今後も社長様とスタッフが一丸となって取り組まれることと思います。


セミナー後のアンケートでも、「一緒に働く仲間たちの持ち味を知り、沢山の発見がありました」「それぞれが持つ持ち味を付加価値へと高めていけば乗り越えていけると信じて取り組みます」「NOのカードは人生の課題だと思って取り組んでいきます」「NOが多いということは、単に持ち味が少ないということではなく、これからの可能性の大きさを示していると思います」「持ち味カードから自身の持ち味を言い当てられたのは驚きましたが、今置かれている立場として周囲の人の持ち味を認識し、更に能力を伸ばしてあげたいと思います」「今度お会いする機会がありましたら、少しでも成長した自分や会社をお見せできるよう今回のセミナーを大切にしたいと思います」など、とても誠実で前向きなコメントが印象的でした。

私も今回のセミナーを通じてたくさんのパワーと元気をいただきました。またお会いできる日を楽しみにしています。

社長様、顧問様、スタッフの皆様ありがとうございました。


持ち味カードとは?

労働基準監督署による最近の送検事例 2013年11月15日

◎東京労働局が送検事例を公表

東京労働局では、労働基準監督署が送検した事例をホームページ上で公表しています。ここでは、労災事故に関連した最近の送検事例を見てみましょう。


◆労災かくしで道路旅客運送業者を書類送検

平成24年2月、タクシー会社の駐車場で労働者がハイヤーを洗車していたところ、転倒して手首を骨折し、休業4日以上に及ぶ労災事故が発生しました。

労働安全衛生法では、「休業4日以上」を要する労災については、遅滞なく所轄労働基準監督署長に「労働者死傷病報告」を提出することを義務付けていますが、この会社は労災の発生を隠ぺいするため報告書を提出していませんでした。

中央労働基準監督署は、タクシー会社と営業所長を労働安全衛生法違反の容疑で、平成25年8月に東京地方検察庁に書類送検しました。


◆工事現場の墜落死亡災害で書類送検

平成24年4月、高架橋の防風柵新設工事現場で、建設工事業者の労働者(当時19歳)が、つり足場の組み立て作業中に足場から約13メートル下の運河上に墜落して死亡しました。

労働者につり足場の組立て作業を行わせる場合は「足場の組立て等作業主任者技能講習」を修了した者の中から作業主任者を選任し、作業主任者に作業の進行状況および保護帽と安全帯の使用状況を監視させなくてはならないところ、この工事業者は、選任した作業主任者が当該現場に不在であり作業の進行状況と安全帯の使用状況を監視していないことを知りながら、被災労働者らに作業をさせていたことが判明しました。

亀戸労働基準監督署は、工事業者と工事部長を労働安全衛生法違反の疑いで、平成25年9月に東京地方検察庁に書類送検しました。


◆労基署関連のドラマがスタート

労基署が送検を行うのは特に重大な事案の場合に限られますが、「労働安全衛生法違反」以外にも、「労働基準法違反」や「最低賃金法違反」等で送検を行うことがあります。

なお、この10月から、労働基準監督官を主人公としたドラマ「ダンダリン」(日本テレビ・水曜22時~)の放送がスタートしたこともあり、今後、労働基準監督署や労働基準監督官に注目が集まるかもしれません。


「持ち味カードでコミュニケーションセミナー」を開催いたしました 2013年11月8日

11月8日(金)に、株式会社和田正通信サービス様のストアマネージャー、エリアマネージャー、 法人マネージャー、本店営業スタッフの方々を対象に「持ち味カードでコミュニケーションセミナー」を開催いたしました。


今回は、「持ち味カード」の基本的な使用方法やコミュニケーションでの活用方法のご案内を中心に、約2時間のセミナーでした。株式会社和田正通信サービス様では昨年、「DiSC行動分析によるコミュニケーションセミナー」をやらせていただきましたので、その内容も加味しながら、持ち味カードの活用との共通点も含めてお話いたしました。


ワークでは、実際に「持ち味カード」を使って、ご自身の現在の「持ち味」を診断していただき、選んだカードの中から最強の持ち味と、できていない持ち味カードを選んで、チーム内で発表をしていただきましたが、5分の持ち時間では足りないくらい皆さん楽しそうに発表されていたのが印象的でした。


また、皆さんが選ぶカードが、それぞれの立場や仕事を想像させるものが多く、カードを見ているとその方の考えや仕事の進め方、悩みなどが分かり、やはり面白いと感じました。


以下は、皆さんが、あーでもない。こーでもない。と悩みながらワークをしている様子です。

(並べ方や選ぶスピードもそれぞれ違います。それも持ち味です)

写真:セミナー風景


続いて、スタッフが選ぶ最強の持ち味カード3枚をご紹介いたします。

(いかがですか。それぞれの持ち味を感じさせますね。そして、イケメン&美女ですよね!)

写真:セミナー風景


そして、社長様にもスタッフの皆さんと同じように自己診断をしていただき、そのカードについて、皆さんから「へぇ~、社長はこうなんだ」「証拠写真だもんね!」「こりゃ違うだろ!社長は勘違いしている」「並べ替えちゃえ!」など、厳しくも優しいつっこみを入れられている様子です。

(皆さん興味津々!!楽しんで社長様の持ち味カードをイジっていますね)

写真:セミナー風景


普段、私はこんな人間ですよ。なんて口に出すのは難しいですが、カードというツールの中では、否応にも表現されて、ゲーム感覚で自己開示が可能です。

そういう意味では、とても面白いコミュニケーションツールだと感じています。


とても和気あいあいした雰囲気のなかであっというまの2時間でした。

また、セミナー後のアンケートも、全員の方からいただきました。内容もとても丁寧で、それぞれの方が真剣にセミナーをお聞きいただいた様子がよく分かり、とてもうれしくなりました。今回のセミナーが皆様の今後のお仕事に少しでもお役に立てれば幸いです。いただいたお声を栄養剤にして、さらにバージョンアップしたセミナーができるように今後も頑張りたいと思います。

株式会社和田正通信サービス様このような機会をいただきまして、ありがとうございました。

またお会いできる日を楽しみにしております。


持ち味カードとは?

長野県の最低賃金が決定しました 2013年10月16日

長野県の最低賃金が決定しました。10月19日から適用される最低賃金は713円です。詳しくは長野労働局のHPをご確認ください。


■厚生労働省 長野労働局ホームページ:
長野県最低賃金(平成25年)

「持ち味カード活用セミナー」を開催いたしました 2013年10月12日

10月11日(金)に、当事務所3階セミナールームで、「持ち味カード活用セミナー」を開催いたしました。経営者様、管理者様、総務担当者様、社労士様など、様々な立場の方々が総勢24名ご参加いただきました。


今回は、「持ち味カード」の基本的な使用方法や活用事例のご案内を中心に、2時間のセミナーを2つのワークを含めてお話させていただきました。


ワーク1では、実際に「持ち味カード」を使って、ご自身の現在の「持ち味」を診断していただく作業をいたしました。 70枚のカード(マネジメント、ジョブ、キャリア)を、「持ち味として持っている(YES)」、「持っていない(NO)」、「分からない(YES/NO)」に分けていただいたあと、お隣の方と二人一組になって、ご自身の「最強の持ち味」3枚について、なぜそれが最強の持ち味なのか、お話をしていただきましたが、初対面の方にも関わらず、持ち時間を超えてもなかなかお話が終わらず、大変盛り上がりました。


ワーク2では、「仕事が分かっていないために能力が発揮できない部下」と、「仕事のやり方は分かっているのに、継続できず能力が発揮できない部下」、この二人の部下を“仕事ができる人”に変身させるために、上司がとる必要な行動や指導は何か、「持ち味カード」を使ってグループごとに話し合っていただきましたが、皆さん、ご自身が抱える問題として、真剣に意見のやり取りの様子がみられ、白熱した議論を交わされていました。


同じワークでも、グループによって選ぶカードが全く異なり、行動や指導内容もそれぞれ切り口が異なり、大変興味深い内容でした。


セミナーの最後に、「持ち味カード」がいろいろな場面に活用できることも併せて説明いたしました。

○ アセスメント・評価(人材採用・人事配置・人事評価)

○ 人材育成(教育研修・自己啓発・行動規準づくり)

○組織活性化(経営理念浸透・チームワーク評価・職場風土改善)

活用方法は無限大です。


セミナー終了後のアンケートでは、「自身やグループ討議など内容が多彩で良かった」「今の仕事で求められる自身の持ち味は何かを考えてみたい」「あっと言う間の2時間でした」「会議体での活用を考えたい」「上司の立場からの指導方法、自分自身の行動を見直すことができた」「ワークの時間がもっとほしかった」など、いろいろなお声を頂戴いたしました。

是非、次回セミナー構成の参考にさせていただきたいと思います。


ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。


持ち味カードとは?

写真:セミナー風景

輝く人材になる「持ち味カード」活用セミナー開催のご案内 2013年9月4日

企業の成長戦略の柱のひとつでもある“人材育成”。チームワーク強化を望む企業が増えているなかで、組織内のコミュニケーションアップのツールとしても活用できる「持ち味カード」。今回のセミナーでは、持ち味カードを使って、労働者を会社が必要とする輝く人材に育てるための 「見える化」の方法と、効果的な持ち味カードの活用方法に ついてご紹介いたします。


日時: 2013年10月11日(金)午後2時~

場所: 信光ビル 3階会議室

定員: 40名(定員となり次第、締切りとさせていただきます)


申込方法、その他詳細はこちらをご覧ください。
セミナーご案内(PDF/1ページ/0.81MB)

安全大会で「社会保険・労働保険のしくみ」についてお話をしました 2013年9月2日

8月24日に某企業様の安全大会で、建設業に関わる事業所の方々がお集まりいただき、下記内容についてお話をさせていただきました。「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」によりますと、平成29年度からは、社会保険・労働保険の適用事業所であるにも関わらず、未加入になっている事業所は、下請企業に選定しない取扱いとすべだとあり、皆さんとても真剣にお聞きいただきました。ご依頼くださいました企業様、ご参加いただきました皆様ありがとうございました。


内容:

○ 社会保険・労働保険の加入のしくみ

○ 事業所の形態に応じた加入すべき公的保険

○ 元請労災と特別加入の適用について

○ 社会保険・労働保険の会社負担分

○ 特別加入者の保険料

○ 施工体制台帳等の作成の流れ


平成25年9月から保険料率が変わっています 2013年8月28日

平成25年9月分から平成26年8月分までの保険料率は、次のとおり変更されます。

現行(平成25年8月分まで) 変更後(平成25年9月分から)
一般の被保険者 16.766% 17.120%
坑内員・船員の被保険者 17.192% 17.440%

平成25年9月分からの保険料額表はこちらをご覧ください。
保険料額表(PDF/1ページ/0.18MB)

特別加入者の給付基礎日額の上限を引上げ 2013年8月27日

1. 特別加入者の給付基礎日額について、平成25年9月1日から新たに22,000円、24,000円、25,000円が選択できるようになります。

2. 平成25年9月1日以降に新規に加入する方については、加入時にすべての給付基礎日額を選択できます。

3. すでに特別加入している方については、来年度(平成26年度)から改正後の給付基礎日額が選択できます。


給付基礎日額の変更を希望する場合は、年度末(平成26年3月18日~3月31日)、または労働保険の年度更新期間(平成26年6月1日~7月1日)に手続きを行ってください。

詳細は、厚生労働省のホームページでご確認ください。


■厚生労働省ホームページ:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/130807-1.pdf

最低賃金、全国平均14円アップ 2013年8月25日

中央賃金審議会は8月7日、平成25年度の地域別最低賃金改定に関して答申を行い、全国平均で14円引上げ(763円程度)となる目安を提示しました。

最低賃金は、都道府県をA~Dの4ランクに分けて引上げ額の目安が提示されていますが、今回はAランク19円、Bランク12円、C、Dランク10円となっています。今後は、各地方最低賃金審議会がこれを参考に審議を行い、各都道府県労働局が地域別最低賃金額を決定することになります。


8月1日より変更される雇用保険の基本手当日額等 2013年8月21日

◆賃金日額・基本手当日額の変更

厚生労働省発表の「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減により毎年8月1日に見直される雇用保険の賃金日額の上限額・下限額が、2012年度の平均定期給与額が前年比で約0.5%減少したことから、いずれも若干の引下げとなりました。

これにより賃金日額に基づいて算定される基本手当日額の支給額も減額となる場合があり、対象となる方には2013年8月2日以降の認定日に返却される受給者資格者証に印字して通知されます。

なお、変更後の基本手当日額は、全年齢の下限額が1,848円です。上限額は、29歳以下は6,405円、30~44歳は7,115円、45~59歳は7,830円、60~64歳は6,723円です。

さらに、基本手当日額以外にも、今回の変更に伴い、下記の雇用保険給付について支給額等の変更が生じます。


◆就業促進手当の上限額の変更

就業促進手当(再就職手当、就業手当、常用就職支度手当)の上限額も変更となり、就業手当の1日当たり支給額(基本手当日額の30%)の上限額が、59歳以下で1,752円、60~64歳で1,418円となります。


◆高年齢雇用継続給付の支給限度額等の変更

高年齢雇用継続給付の支給限度額は34万1,542円となり、最低限度額は1,848円となります。支給対象月に支払われた賃金の額が支給限度額以上であるとき、また、高年齢雇用継続給付として算定された額が最低限度額を超えない場合は、高年齢雇用継続給付は支給されません。

なお、支給額算定に用いる60歳到達時等の賃金月額については、上限額が44万8,200円、下限額が6万9,300円となります。


◆育児休業給付の支給限度額の変更

初日が2013年8月1日以後である支給対象期間の育児休業給付については、上限額が21万3,450円となります。


◆介護休業給付の支給限度額の変更

初日が2013年8月1日以後である支給対象期間の介護休業給付については、上限額が17万760円となります。

雇用保険の基本手当日額等を引下げ 2013年8月20日

雇用保険の基本手当日額の最高・最低額や高年齢雇用継続給付の支給限度額等が8月1日から変更されました。今回の改正は次のとおりです。


◆基本手当日額の最高額及び最低賃金額等の引下げ

 (例)受給資格に係る離職の日における年齢が45歳以上60歳未満の場合

    最高額 7,870円 ⇒ 7,830円


◆高年齢雇用継続給付の支給限度額の引下げ

    (1か月)343,396円 ⇒ 341,542円


雇用関係助成金~雇用の安定のために 2013年7月16日

最新版の「雇用関係助成金~雇用の安定のために」の冊子が厚生労働省のホームページにアップされています。今年、重点課題である若年者の就業支援、非正規労働者の正規雇用への転換等に対して助成金が新設、改正されていますので、是非ご確認ください。


■厚生労働省ホームページ:
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/koyouantei.html

「報われている感」が若手・中堅社員のメンタルヘルス不全を予防する 2013年7月12日

◆職場における「報われない感」とメンタルヘルスの関連性

株式会社富士ゼロックス総合教育研究所の竹内理恵さんによると、職場における「報われない」とは「期待役割以上の仕事量や責任が与えられて果たせた、あるいは目標設定以上の仕事を達成できたにもかかわらず、それ相応の評価がされなかったり、頑張りが認められないなど」「使用者、つまり企業・組織側の求める期待役割に対する成果等を労働契約に沿って労働者が提供しても報われない場合」としています。

そして、「少数精鋭で業務を遂行する企業・組織が増えている中、周囲に聞きづらい場合があるかもしれません。しかし、1人で抱え込み、アウトプットが出せず、会社の期待役割に応えることができない結果、『報われない感』を積み重ね,健康障害に至ることを考えれば、周りに配慮しつつも、自ら意識的に相談すること」「同時に、個人が意識的に周囲とコミュニケーションが取れるような、企業・組織または職場単位での“かかわり”をデザインする工夫も大切」と指摘しています。


◆メンタル不全を発生させない“かかわり”のデザインとは?

同社の「人材開発白書」によれば、若手・中堅社員は「業務支援」「内省支援」「精神的支援」の3つの“かかわり”を得ているときに成長感やモチベーションを抱くそうです。

業務に必要な知識やスキルを与えてもらったり、仕事の手助けをしてくれる等が「業務支援」、自分自身を振り返る機会を与えてくれたり、自己を変容するきっかけを与えてくれる等が「内省支援」で、精神的な安らぎを与えてくれる等が「精神的支援」です。

特に、高い成長を実感している若手・中堅社員は「内省支援」を多く得ているそうです。


◆マネジャーの支援がカギを握る

マネジャーや職場で影響力のある人物からのフィードバックの際に、言葉や態度・表情などがキツいと、受ける側が落ち込み、自信を失い、自分の居場所がなくなると感じる等の悪影響があるだけでなく、周囲の人間にも波紋が広がるおそれがあります。

そのため、成果が出せなかったり失敗したりしても、努力や懸命さ、背景や状況などを考慮したり、今後に目を向けたりする「内省支援」を意識した“かかわり”によって支援する姿勢が求められます。

また、若手・中堅社員のためになりそうな他部門の上位者を引き合わせてあげたり、意図的に社内での“かかわり先”をデザインしたりすることで、孤立・孤独感の解消や軽減、相談相手や情報入手先の仲介役などの創出にもつながり、心身の健康面だけでなく、成果にも結び付くことが期待できます。マネジャーの、職場内での相互学習を促す場や雰囲気づくり、多様な人材を経由して間接的に支援する“かかわり方”も、有効である可能性が高いと言えます。

今年度の「地方労働行政運営方針」の内容は? 2013年7月8日

◆厚労省が今年度版を発表

厚生労働省から、5月中旬に「平成25年度 地方労働行政運営方針」(以下、「運営方針」)が発表されました。

この運営方針は年度ごとに発表されており、各都道府県労働局では、この運営方針を踏まえつつ、局内の事情に則した重点課題を盛り込んだ「行政運営方針」を策定して行政運営を実施することとなっています。


◆平成25年度運営方針の概要

(1)労働条件の確保・改善対策

健康障害防止のための法定労働条件の確保、自動車運転者等の特定の労働分野における労働条件の確保、労働契約に関するルールの啓発

(2)最低賃金制度の適切な運営

最低賃金額の周知徹底、最低賃金の引上げにより影響を受ける中小企業への支援

(3)適正な労働条件の整備

過重労働の解消と仕事と生活の調和実現に向けた働き方・休み方の見直し、医療分野の雇用の質の向上のための取組み

(4)労働者の安全と健康確保対策の推進

第12次労働災害防止計画」を踏まえた労働災害防止対策、化学物質による健康障害防止対策

(5)労災補償対策の推進

標準処理期間内での事務処理、精神障害事案および脳・心臓疾患事案に係る事務処理の迅速化・適正化


◆その他の重点施策の内容

また、「職業安定行政の重点施策」としては、近年の法改正なども踏まえ、「若者」「高年齢者」「障害者」「非正規」の雇用対策の推進などが挙げられています。

さらに、「職業能力開発行政の重点施策」としては、「若者の就職促進、自立支援対策」(「若者チャレンジ奨励金」による支援)や「ジョブ・カード制度の推進」など、「雇用均等行政の重点施策」としては、「職業生活と家庭生活の両立支援対策の推進」、「パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保等の推進」などが挙がっています。

今年の「年度更新」「算定・月変」の実務上留意すべきこと 2013年 6月10日

◆大臣が定める現物給与の価額の一部改正

社会保険の保険料は、被保険者の報酬月額および賞与額に基づいて、労働保険の保険料は、労働者の賃金総額に基づいて決定されますが、報酬、賞与または賃金(以下、「報酬等」という)の全部または一部が通貨以外のもので支払われる場合には、その現物給与の価額について、厚生労働大臣がその地方の時価によって定めることとされています。

従来、支店等に勤務する被保険者の現物給付について、本社所在地の価額が適用されていましたが、生活実態に即した価額が望ましいことから、2013年2月4日に平成25年厚生労働省告示第17号が発出され、4月1日以降、実際の勤務地の都道府県価額が適用されています(関連通達として同日発基労徴発0204第2号、保保発0204第1号、年管管発0204第1号「厚生労働大臣が定める現物給与の価額の取扱いについて」参照)。

この改正による現物給与額の変更は、固定的賃金の変更があったものとみなされますので、「月額変更届」の提出が必要となる場合があり、自社の算定・月変の手続きを行うにあたり注意を要します。

具体的な現物給与の額は、日本年金機構のリーフレットで「厚生労働大臣が定める現物給与の額」として、2013年4月1日現在のものが掲載されています。


◆年度更新に係る改正点(その1)一般拠出金への充当手続の簡素化

年度更新に係る改正点(その1)一般拠出金への充当手続の簡素化

充当には(1)労働保険料のみの充当、(2)一般拠出金のみの充当、(3)労働保険料及び一般拠出金への充当の3パターンがあり、昨年度までは、一般拠出金に充当する場合には、別途還付請求書を管轄の労働局・労基署へ提出しなければなりませんでした。

この点につき、改正により、「労働保険 概算・増加概算・確定保険料 石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」に充当意思欄が設けられ、当該欄に番号を記載することで還付が受けられるようになり、実務が簡素化されています。


◆年度更新に係る改正点(その2)還付請求書様式のOCR化

労働保険の確定保険料の額が申告済概算保険料の額を下回る場合、労働保険料の還付請求を行うことができますが、請求を受けるには、労働局や労基署に「労働保険 労働保険料 石綿健康被害救済法 一般拠出金還付請求書」を提出する必要があります。

この還付請求書の様式がOCR化され、従来の様式は使うことができなくなっていますので、還付請求を行う際は注意が必要です。

高年齢者雇用に関連した助成金の変更内容 2013年 5月19日

◆法改正にあわせた変更

改正高年齢者雇用安定法の施行にあわせて、高年齢者雇用に関連した助成金の制度も変わっています。まだ不確定な部分もありますので、今後の動向に注目です。


◆法改正を機に廃止された助成金

従来の「中小企業定年引上げ等奨励金」「高年齢者職域拡大等助成金」は平成25年3月31日をもって終了となりました。

なお、「中小企業定年引上げ等奨励金」については、平成25年3月31日までに、「65歳以上への定年引上げ」、「定年制の廃止」、「希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度」などの導入を行った中小企業事業主については、支給の対象となります。

また、「高年齢者職域拡大等助成金」についても、平成25年3月31日までに「職域拡大等計画書」を申請した事業主については、支給の対象となります。


◆法改正後も引き続き支給される助成金

「特定求職者雇用開発助成金」は、新たにハローワーク等の紹介により60歳以上65歳未満の者を継続して雇用する労働者として雇い入れた場合等に支給されるものですが、この助成金については、引き続き存在しています。


◆新設される予定の助成金

なお、「高年齢者労働移動受入企業助成金」(定年を控えた高年齢者で、その知識や経験を活かすことができる他の企業への雇用を希望する者を、職業紹介事業者の紹介により失業を経ることなく雇い入れた場合に支給)については、新しい助成金に移行する予定であり、今後、厚生労働省などから周知されるとのことです。

持ち味カード体験セミナー 2013年 5月19日

4月26日(金)に某企業の管理者様を対象に「持ち味カード体験セミナー」を実施いたしました。

こちらの会社では、今後持ち味カードを「人事評価」に活用したいとのことでしたので、まずは持ち味カードを知っていただくために、カードを使ってご自身の持ち味評価をしていただきました。

70枚のカード(マネジメント、ジョブ、キャリア)を、「持ち味として持っている(YES)」、「持っていない(NO)」、「分からない(YES/NO)」に分けていただきましたが、「お前持っていないよ。そのカード!」「自分に甘いんじゃないか」などと、お互いに突っ込みを入れながら楽しく分類されていました。

分類結果を見ながら、私から個人ごとに所見をお話すると、「どうしてカードからそんなことが分かるのか」「どこかで自分のことを見ていたのか」など、驚きの声が上がる一方で、「自分の今の問題がカードでより明らかになってしまった」などの落胆の感想もありましたが、普段自分やお互いのことを客観的に確認する作業がない中でとても新鮮に映ったようです。

このカードは、いろいろな場面に活用できることも併せて説明いたしました。

○アセスメント・評価(人材採用・人事配置・人事評価)

○人材育成(教育研修・自己啓発・行動規準づくり)

○組織活性化(経営理念浸透・チームワーク評価・職場風土改善) 活用の仕方は無限大です。

今後どのように展開できるか、私もとても楽しみです。

 

持ち味カードとは?

写真:セミナー風景

4月1日から「雇用保険被保険者離職証明書」の様式が変更 2013年 4月21日

◆様式改正の内容

2013年4月1日より「改正高年齢者雇用安定法」が施行されるのに伴い、離職理由の欄を見直し、定年により離職する者について、定年後の継続雇用に関する希望の有無等を記載する項目が新たに設けられる等、所要の変更が行われます。

また、当該離職者が定年後の継続雇用を希望していたにもかかわらず離職に至った経緯について、「a  就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ。)に該当したため…、b  平成25年3月31日以前に労使協定により定めた継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準に該当しなかったため、c  その他…」のいずれに該当するかを記載することとされています。


◆様式改正後の旧様式の取扱い

新様式には、右下に「25.04‐新」と印字されており、それ以外の者は旧様式となりますが、当面の間は旧様式も使用することができます。

しかしながら、旧様式には上記のように離職に至った詳しい理由を記載する欄がありませんので、事業主が「具体的事情記載欄(事業主用)」に記載する必要があります。

具体的には、離職理由欄の「2 定年、労働契約期間満了等によるもの(1)定年による離職(定年  歳)の横に○1を付し、カッコ内に定年年齢を記載したうえで、「定年退職(本人は継続雇用を希望したが、就業規則に定める解雇・退職事由に該当した)」のように記載することとなります。


◆契約期間満了による離職のケースにおける取扱い

例えば、60歳定年の会社で65歳まで1年ごとの契約更新で65歳までの再雇用制度が設けられていた場合で、更新基準を満たさないために期間満了で離職するときには「3 労働契約期間満了等によるもの(2)労働契約期間満了による離職」に○を付し、契約期間や更新回数、雇止め通知の有無等の必要事項を記載することとなります。

また、事業縮小等により契約更新することなく期間満了により離職するときも同じように記載します。

2013年度の各種保険料額・保険料率が決まりました 2013年 3月15日

◆国民年金の保険料額

2月5日に発出された告示(平成25年厚労告第18号)により、平成25年度の保険料額は、前年度より60円引き上げられ、15,040円になります。

これは、15,820円(国年法87条の3に定められた、平成25年度の法定の保険料額)に0.951(平成25年度の保険料改定率)を掛けて算出された額です。

なお、保険料を前納した場合には、毎月納付するよりも割り引かれた額での納付となります。それぞれ次の額となりますが、納付方法により割引率が異なりますので注意が必要です。

(1)1年間の保険料を前納
・176,700円(3,780円の割引き)…口座振替
・177.280円(3,200円の割引き)…現金納付またはクレジットカード納付

(2)6カ月間の保険料を前納
・89,210円(1,030円の割引き)…口座振替
・89,510円(730円の割引き)…現金納付またはクレジットカード納付

(3)1カ月間の保険料を早期納付(その月の保険料をその月末に納付)
・14,990円(50円の割引き)…口座振替
なお、1カ月間の保険料を現金で早期納付した場合、またクレジットカードで毎月納付する場合には割引の適用はありません。


◆協会けんぽの都道府県単位保険料率

2月6日に告示(平成25年厚労告第19号・第20号)が発出され、平成25年度の協会けんぽの都道府県単位保険料率については、据置きとされることとなりました。


◆雇用保険料率

昨年12月19日に告示(平成24年厚労告第588号)が発出され、平成24年度の料率を据え置き、一般の事業で1.35%、農林水産・清酒製造の事業で1.55%、建設の事業で1.65%となりました。


◆厚生年金保険の保険料率

今年8月分(9月納付分)までの保険料率は、一般16.766%、船員・坑内員17.192%となっていますが、9月分(10月納付分)からは、一般17.12%、船員・坑内員17.44%となります。

講演「改正高年齢者雇用安定法の概要とトラブル防止のための就業規則診断のポイント」 2013年 3月15日

3月6日(水)に、長野県中小企業団体中央会様主催の地区問題研究会におきまして「改正高年齢者雇用安定法の概要とトラブル防止のための就業規則診断のポイント」についてお話をさせていただきました。

平成24年8月29日、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が改正され、平成25年4月1日から施行されることになります。

従来は、定年後の継続雇用に関し、労使協定により一定の基準を定め、その基準を満たした者のみを継続雇用の対象とすることが可能でしたが、今年4月1日からは、原則として希望者全員を継続雇用の対象としていこうとするものです。

昨年来、労働者派遣法、労働契約法、高年齢者雇用安定法と大きな改正が立て続けにあり、企業として対応に苦慮されていらっしゃる中で、今回は、高齢者雇用安定法の改正について、主に実務的な部分と導入にあたっての話を中心にいたしました。

また、副題であります、「トラブル防止のための就業規則診断のポイント」については、高齢者雇用安定法の改正に当たり、就業規則を見直すことになりますので、この機会に合わせて自社の就業規則を点検していただければ更に有益だと思われることから、トラブルになりやすい事例を含めてお話をさせていただきました。

ご参加の皆さんありがとうございました。

トラブル防止のための就業規則診断のポイント

3月31日高年齢者雇用安定法が改正されます 2013年 2月24日

今回の改正の内容は?

従来は、定年年齢後の継続雇用に関し労使協定により一定の基準を定め、その基準を満たした者のみを継続雇用の対象とすることが可能でした。 しかし、今年の4月1日からは、その基準を廃止し、原則として希望者全員を継続雇用の対象としていこうとするものです。


改正の経緯

平成25年4月からの厚生年金の支給開始年齢の引上げにより、現行の高年齢者雇用安定法のままでは企業の多くの定年が60歳であり、平成3¥25年度には、60歳定年以降、継続雇用を希望したとしても、雇用が継続されず、無年金・無収入となる者が生じる可能性があり、年金支給と雇用との接続が課題となっていました。


昭和28年(女性は昭和33年)4月2日以後に生まれた方は、60歳から65歳になるまでの間、生年月日に応じて、受給開始年齢が引き上げられます。

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現行の高年齢雇用安定法の例外措置

現在の高年齢者雇用安定法には以下のような例外措置があります。

  • 高年齢者雇用制度において、定年を定める場合には、60歳を下回ることができない。
  • 65歳未満の定年を定めている事業主に対して、65歳までの雇用を確保するために、次のいずれかの措置を導入しなければならない。
    1. 定年の廃止
    2. 継続雇用制度の導入→労使協定により基準を定めた場合は、希望者全員を対象としない制度も可能
    3. 定年の定めの廃止

高年齢雇用安定法の改正の概要

上記、現行の高年齢者雇用安定法の例外措置(2)にある定年に達した人を引き続き雇用する「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止などを内容としています。定年の65歳への引上げを義務付けるものではありません。


継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止

継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みが廃止されます。


継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大

継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大する仕組みが設けられます。 なお子会社、関連会社の範囲は、会社法等の定義を参考に厚生労働省令で定められます。


義務違反の企業に対する公表規定の導入

高年齢者雇用確保措置義務に関する勧告に従わない企業名を公表する規定が設けられます。


施行期日:平成25年4月1日


■詳しい改正内容は、厚生労働省ホームページをご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1.html

講演「DiSC行動分析によるタイプ別コミュニケーション」 2013年 2月24日

2月22日(金)に、SG長野で“DiSC行動分析によるタイプ別コミュニケーション”と題してお話をさせていただきました。

今回は、同業のファイナンシャルプランナーの方々で、個人事業をやられている方や、企業内FPとして営業活動をされている方がお集まりでしたので、「DiSC理論」を使って、主に“お客様ごとのタイプの特性を知って、どのようにコミュニケーションを図れば効果的か”ということに焦点を当ててみました。

普段、ご自身の言動や行動について客観的に見る機会がない中で、事例をあげて自己分析をしていただきましたが、評価結果にうなずかれている方が多く、終了後のアンケートでは、「自分自身を知ること、相手を知ること、どう接したら気持ちよくコミュニケーションが図れるかは仕事においてもプライベートにおいても大切だと思いますので勉強になりました」、「自分の傾向が正にあたっているのでびっくりしました」、「明日のAPのお客様の顔を思い浮かべながら聞いていました。非常に参考になりました」「さっそく実行してみたいと思います」というお声もいただきました。

今後の皆さんの営業活動で、DiSCの考え方がお役に立てばうれしいです。

ご参加の皆さん、ありがとうございました。


[内容]

  1. アイスブレイク(カードを使ってDiSCを理解する)
  2. 行動に見る評価分析(自己分析)
  3. DiSC行動スタイル及びしぐさについて、それぞれの特性を知ろう
  4. 各タイプへの具体的な対応方法

画像:DiSCの表情   画像:DiSCの行動、しぐさ

■DiSC理論は、1920年代に心理学者ウィリアム・M・マーストン博士により提唱され、1963年、行動科学者ジョン・ガイヤー博士により、自己分析のツールに応用されたものです。 この理論を用いた人材育成ツールは、全世界84カ国で3000万人以上の利用実績がある、「行動特性分析」のグローバルスタンダードというべき存在になっています。

3月31日「均衡待遇・正社員化推進奨励金」廃止、4月から新しい助成制度に移行予定 2013年 2月17日

パートタイム労働者や有期契約の従業員について、正社員と共通の処遇制度や正社員に転換する制度を実施した事業主に支給する「均衡待遇・正社員化推進奨励金」は、3月31日で廃止になります。

4月以降は、企業内での非正規労働者のキャリアアップを促進する、新しい助成制度に移行する予定です。

なお、「均衡待遇・正社員化推進奨励金」については、下記のいずれかの制度を、労働協約、就業規則(全ての事業所)に定め、3月31日までに適用[注1]した場合は、4月1日以降も奨励金の申請ができます。その際、申請先が変更となりますので、ご注意ください。

[注1]「均衡待遇・正社員化推進奨励金の制度を適用する」とは、以下の(1)から(5)までのいずれかの取り組みを指します

  1. 正社員転換制度:対象となる労働者を正社員に転換
  2. 共通処遇制度:正社員と対象労働者を共通の処遇制度により格付け
  3. 共通教育訓練制度:正社員と共通のカリキュラムで延べ10人以上(大企業は延べ30人以上)の対象労働者1人につき6時間以上教育訓練を実施
  4. 短時間正社員制度:対象労働者に短時間正社員制度を適用
  5. 健康診断制度:対象労働者延べ4人以上に健康診断を実施

申請先:

  • 3月31日までに申請する場合は都道府県労働局 雇用均等室へ申請してください。
  • 4月1日以降に申請する場合は都道府県労働局 職業安定部へ申請してください。

■詳しい支給要件は、厚生労働省ホームページをご参照ください。
http://krs.bz/roumu/c?c=8258&m=37577&v=14452ef8

講演「定年前後の手続き~年金の基礎知識」 2013年 2月17日

2月6日(水)に、某顧問先企業様で“定年前後の手続き~年金の基礎知識”についてお話をさせていただきました。

お集まりいただいた方は40代前半から60代後半の方と年齢層が大変広く、定年まではまだしばらくお時間がありそうな方から、現在すでに年金を受給されている方など顔ぶれはさまざまです。

今回のセミナーは、普段“退職時相談”を受けるときに、多くの方から質問を受ける内容を中心に、一つずつ疑問を解決する形でお話をすすめました。特に、「雇用保険を受給している間は年金が支給停止になるけど、雇用保険も全額受給できて、年金も支給停止にならないことがある」というお話には、とても関心を持たれたようでした。

1時間30分というお時間でしたが、熱心にお聞きいただき、セミナー終了後も個別にご相談をいただくほどでした。

定年退職後のセカンドライフの計画のために、自身でいろいろな制度について知識を持ち、しっかりと時間をかけて計画を立てることが必要だと感じます。


今回、八十二銀行様から「年金ガイドブック」を資料としてご提供いただきました。この冊子は、「年金」だけでなく、失業給付の受給手続き、年金の調整のしくみや、雇用保険の給付、退職金と税金、退職後の保険など、退職前後に皆さんが抱える疑問がわかり易く説明されていて、皆さんからもとても好評をいただきました。

八十二銀行様、ご協力いただきましてありがとうございました。

講演「知っておきたい働くときの基礎知識」 2013年 2月17日

知っておきたい働くときの基礎知識表紙

1月21日(月)に清泉女学院短期大学 国際コミュニケーション科2年生のキャンパスアワー「就業前講座」で“知っておきたい働くときの基礎知識”についてお話をさせていただきました。
これは、会社に入ったり、進学したり、社会に出る前に知っておかなくてはならない社会保障や労働に関する基礎知識を学ぶ講座です。

現在、社会保険労務士会連合会では、社会に出る皆さんが安心して働けるように、働くときのルールや制度について、是非とも知っておいていただきたい内容をまとめた冊子を発行しています。今回は、この冊子を使用して講座をいたしました。

学生さんが卒業し、これからのライフステージを過ごすうえで、知らないと損をすることがたくさんあります。今回は、できるだけイメージしていただきやすいように、ライフステージごとに必要な知識(労働法・賃金・労働保険制度・社会保険制度)についてお話をさせていただきました。

ライフステージ
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写真:講演風景

最初は労働契約??という感じで意味が分からずに下を向いていた学生さんたちも、給料や休暇の話になるとだんだん興味を持ち、うなずいてくれて「こういう話をもっと早く聞きたかった」と言う感想もいただき、内容はあまり実感がなかったかもしれませんが、今後自分のライフステージごとに「そういえば!あのときあんな勉強をしたな」と思い出してくれれば、それで良いと思います。

今回、清泉女学院短期大学様のキャンパスアワーでの初の試みに参加させていただきまして、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

講演「使える助成金活用例とトラブルを防ぐ就業規則」 2013年 1月18日

佐久トラックセンター協同組合様にお呼びいただき、「使える助成金活用例とトラブルを防ぐ就業規則」について講演をさせていただきました。去年に続き2度目の講演です。

1年ぶりにお会いした皆様に温かく迎えていただき、再会に懐かしさを感じながら、話の中心は、”100%純利益である助成金をいかに活用していくか”、”従業員さんとトラブルにならないために就業規則で注意すべき点”など、固い内容でしたが、終始和やかな時間となりました。

特に第2部の懇親会では、個々の企業様ごとに抱えるさまざまな課題やお悩みなどを個別にご相談いただき、お酒の力も手伝ってより一層和やかで充実した時間を過ごすことができました。

来年もまた皆様にお会いできますように…この一年頑張りたいと思います。

佐久トラックセンター協同組合の皆様、ありがとうございました。


[講演内容]

使える助成金活用例とトラブルを防ぐ就業規則

  1. 助成金を活用するメリットを知ろう
  2. 助成金導入にあたって重要なポイント
  3. 使いやすい助成金例
  4. 助成金の活用事例
  5. 労働契約締結時に明示すべき労働条件の明示事項と就業規則の記載事項
  6. トラブル防止のための就業規則診断のポイント
  7. 改正労働法関連について
信濃毎日新聞PR欄に掲載されました 2012年12月22日

ライフプランで見直そう「守るお金」と「攻めるお金」
掲載記事(PDF/1ページ/2.2MB)

労働時間適正化キャンペーンの実施 2012年12月 1日

厚生労働省では、長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、11月に「労働時間適正化キャンペーン」を実施しています。
期間は平成24年11月1日木曜日から11月30日金曜日までの1か月間です。
厚生労働省が重点的に取組を行う事項として、以下の3つを挙げています。

  • 時間外労働協定の適正化などによる時間外・休日労働の削減
  • 状時間労働者への医師による面接指導など、労働者の健康管理に係る措置の徹底
  • 労働時間の適正な把握の徹底

労働時間の適正化に取り組むことにより、労働者の健康障害防止が図られるだけでなく、業務効率化による生産性の向上、時間外労働手当の削減なども期待できます。


■厚生労働省 労働基準関係情報メール窓口/労働時間等情報受付メール窓口
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/mail_madoguchi.html

平成24年度最低賃金が決定しました 2012年12月 1日

毎年10月1日から施行される最低賃金が改定されました。
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
最低賃金は「地域別最低賃金」と業種別に定められている「産業別最低賃金」とがあり、地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されます。
長野県新最低賃金:700円  旧最低賃金:694円


■厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-02.htm

9月から厚生年金保険料率が変わっています 2012年12月 1日

平成24年9月~(10月納付分)からの厚生年金保険料率が以下のように変更になります。

平成24年8月まで 平成24年9月から
一般被保険者 16.412% 16.766%
坑内員・船員の被保険者 16.944% 17.192%